32 / 49
4
嫌だ
しおりを挟む
家を飛び出したのはいいものの…おい、風音。僕はどこへ向かってるんだ?
日下部に会いたい…そう思っていてもたってもいられなくなって……外に出てきたけど。
大体どこにいるか分かんないし、あんな話の後で連絡しても返してくれるかどうか…。
そもそも、日下部は僕のことは何とも思ってないんだから、いきなり今会いたいとか言われても…断られるだけかもしれない。
「あっ…カフェ…行ってみよ」
まさか、バイト先にいるなんてことないだろうけど…前に行きたい的なこと言ってたし、もしかしたらの可能性も…。
でも…元々、僕は雪菜さんのこと好きだったのに…日下部は今のこの気持ちを知ったらどう思うんだろう。
ていうか…知った所で、ごめんって言われるだろうけど…。
「いやいや、頑張れって姉ちゃんも言ってくれたし、頑張るって思ったんだろ、自分…!」
叶わない確率の方が高くても…やっぱり何もしないままじゃ、あの頃の僕と同じだ。
「着い……えっ!!?あ、あれ……」
バイト先のすぐ近くまで着いた時、入り口に男の人が2人立っているのが見えた。2人とも背が高くて、1人は学生服…って。
い、いた…。
ほぼいないと思ってたのに。
日下部が立ってる…。
と、もう1人は…雪菜さんのお兄さん?
え、なんであの2人が一緒に…?
「いや幼なじみなんだから、一緒にいたって不思議じゃないし…」
でも、なんで僕は足を止めてしまったんだろう。
「…あ、」
2人はカフェから出てきたばかりのようで…何か言葉を交わしてる。そして、光也さんの手が日下部の頭に伸びて、そのまま優しく撫でた。
なんだろう、何話してるんだろう…。
ただ頭を撫でるなんて、仲が良い人同士なら有り得るだろうし…でもそれだけじゃない。
日下部が、頷きながら無理せずに笑ってる…。何も取り繕ってないような笑顔だ。何をしてどんな話でそうなったんだ?
なんかどうしよう。
嫌だって思ってしまう…。
でも、日下部はあの人のことを好きで…
「…っ!!あ」
その場で固まっていたら、不意にこちらを向いた日下部と視線が合わさった。
光也さんはその場で別れたらしく、日下部に手を振ってから反対側へと歩いて行く。
「…風音くん?」
日下部だけが、僕に気付いてこちらへ足を踏み出した。
なんて言ったら…何をどう話したらいいか…吹っ飛んだ。
「…っ」
「あっ、ちょっと!待って…!」
来た道を戻るように、僕は振り返って走り出す。もう頭の中がごちゃごちゃだ。
「はぁはぁ…っ、待って!なんで逃げるの!風音くん!!」
え、なんでそんな追いかけてくるんだよ…!
もうこの関係やめたら、構わないって言ってたくせに…!
「うわ…っ!!」
「…っは、ぁはぁ、つ、かまえた、」
「はぁ…っ、な、んで」
カフェが見えなくなるくらいまで走った時、追いつかれた僕は日下部に腕を掴まれて、立ち止まった。
僕を掴む手は、少し汗ばんでる。
しかも必死に息を吸って…なんでそこまでして。
「…っなんで、追いかけてきたの、」
「風音くんこそ、なんで逃げるの?」
「…っそ、れは」
日下部に会いたい…そう思っていてもたってもいられなくなって……外に出てきたけど。
大体どこにいるか分かんないし、あんな話の後で連絡しても返してくれるかどうか…。
そもそも、日下部は僕のことは何とも思ってないんだから、いきなり今会いたいとか言われても…断られるだけかもしれない。
「あっ…カフェ…行ってみよ」
まさか、バイト先にいるなんてことないだろうけど…前に行きたい的なこと言ってたし、もしかしたらの可能性も…。
でも…元々、僕は雪菜さんのこと好きだったのに…日下部は今のこの気持ちを知ったらどう思うんだろう。
ていうか…知った所で、ごめんって言われるだろうけど…。
「いやいや、頑張れって姉ちゃんも言ってくれたし、頑張るって思ったんだろ、自分…!」
叶わない確率の方が高くても…やっぱり何もしないままじゃ、あの頃の僕と同じだ。
「着い……えっ!!?あ、あれ……」
バイト先のすぐ近くまで着いた時、入り口に男の人が2人立っているのが見えた。2人とも背が高くて、1人は学生服…って。
い、いた…。
ほぼいないと思ってたのに。
日下部が立ってる…。
と、もう1人は…雪菜さんのお兄さん?
え、なんであの2人が一緒に…?
「いや幼なじみなんだから、一緒にいたって不思議じゃないし…」
でも、なんで僕は足を止めてしまったんだろう。
「…あ、」
2人はカフェから出てきたばかりのようで…何か言葉を交わしてる。そして、光也さんの手が日下部の頭に伸びて、そのまま優しく撫でた。
なんだろう、何話してるんだろう…。
ただ頭を撫でるなんて、仲が良い人同士なら有り得るだろうし…でもそれだけじゃない。
日下部が、頷きながら無理せずに笑ってる…。何も取り繕ってないような笑顔だ。何をしてどんな話でそうなったんだ?
なんかどうしよう。
嫌だって思ってしまう…。
でも、日下部はあの人のことを好きで…
「…っ!!あ」
その場で固まっていたら、不意にこちらを向いた日下部と視線が合わさった。
光也さんはその場で別れたらしく、日下部に手を振ってから反対側へと歩いて行く。
「…風音くん?」
日下部だけが、僕に気付いてこちらへ足を踏み出した。
なんて言ったら…何をどう話したらいいか…吹っ飛んだ。
「…っ」
「あっ、ちょっと!待って…!」
来た道を戻るように、僕は振り返って走り出す。もう頭の中がごちゃごちゃだ。
「はぁはぁ…っ、待って!なんで逃げるの!風音くん!!」
え、なんでそんな追いかけてくるんだよ…!
もうこの関係やめたら、構わないって言ってたくせに…!
「うわ…っ!!」
「…っは、ぁはぁ、つ、かまえた、」
「はぁ…っ、な、んで」
カフェが見えなくなるくらいまで走った時、追いつかれた僕は日下部に腕を掴まれて、立ち止まった。
僕を掴む手は、少し汗ばんでる。
しかも必死に息を吸って…なんでそこまでして。
「…っなんで、追いかけてきたの、」
「風音くんこそ、なんで逃げるの?」
「…っそ、れは」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
66
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる