零下3℃のコイ

ぱんなこった。

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なんで?

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キーンコーンカーンコーン

「風音~今日バイト??」

「そうだよー。玉木は部活か?」

「おう!がんばれよー!」

「お前もな~」

放課後、生徒が行き交う廊下を歩いていたら、ジャージ姿の玉木が通って行った。

あいつバスケ部なんだよな、すごいなー。

僕は残念なことに運動が苦手だから…ははは。

「んーー…!」

それにしても、なんか今日は疲れたな…。女子に慣れるための練習ってこんなに気疲れするのか?

でもさ、いずれ雪菜さんと話す時がきて、もし付き合ったりしたら、話すなんて当たり前で手繋いだりハグしたり、それ以上のことも…?

んん!?なんか想像できない!!

「んーよし!バイト行こ!!」

そういや、チャイムが鳴ったら日下部も急いでどこかに行ったし…雪菜さんと用事かな。

「よし、シフトの時間までまだ余裕あるな」

僕のバイト先は駅近で、少し隠れた道にあるオシャレなこじんまりしたカフェで…ドリンクやフードも結構映えて美味しいから若い男女のお客さんが多い。

僕も甘いもの好きだから、楽しく働いてる…

甘いもの…

「そういえば、日下部も甘いの好きって言ってたな…あんまり周りの男子で甘いの好きな奴いないから新鮮…」

いやいや、もう僕しばらく日下部と雪菜さんのことばっか考えてるよ。考えるのやめよ…。

「はぁ、とうとう考えすぎて幻覚が…」

え!!!?

「え、違う。あれって…幻覚じゃない、よな。雪菜さんだよな?」

バイト先のカフェへ向かう道。僕の視界に入ったのは、同じ学校の制服の…長い黒髪で色白な綺麗な横顔の女の子。

そして、その子の隣には…長身の茶髪でメガネをかけた…男の人がいる。

これだけ見てきたんだから、間違えない。視力はいい方だし。

あれは雪菜さんだ…。でも、隣の男は誰だ?
日下部じゃない。絶対。しかも制服でもない、私服だし少し大人っぽい。

しかも、何話してるか聞こえないけど…2人の距離感が近いというか…

「腕、組んでる…?」

どういうこと!?誰だ!?あの男の人は…

「え、え、嘘。もしかして…あんな距離感で、親しそうで楽しそう…って、まさか」

まさか、浮気…?

「はっ!!」

もしかして、日下部はそれを知ってて別れたいとか!?だからあんなに苦しそうな…!?

いや、でも。もし雪菜さんが浮気してて、それを知ってるなら、それを言えば無理やり日下部が別れればいいんじゃ…

でも、だったら、なんで無理して付き合ってるんだ?

「…分からない、え?」

2人は腕を組んだまま、駅の方へと消えていった。

どうしよう、気になってバイト集中できないかも… いや集中しないと…。

「…っ日下部、どういうことだよ?」

明日、聞いてもいいのかな…。
だってもし知らなかったら教えた方が…

「うわー…なんてものを見てしまったんだ」

僕って…まだまだ知らないことが多いのかもしれない。
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