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彼女のこと②
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びーちゃんは上下スウェット姿で、おでこに冷えピタを貼っています。家の中へ入ると、リビングは少しゴミの匂いがしました。部屋の中が特別汚いという訳ではないけれど、床にはコンビニのゴミ袋がいくつも転がっています。
「あ…、ごめんね。片付けたんだけどちょっと手が回らなくて…」と言ってびーちゃんが屈んでその袋を拾おうとした時、クラクラしたのか床に手を着きました。
「びーちゃん!大丈夫ですか!?」
咄嗟に支えたその体はやっぱり熱っぽいです。無理して起きてきたんでしょう。とりあえず布団に寝かせなきゃ…と、荷物を置いてびーちゃんの腕を掴みました。びーちゃんは「大丈夫だから!」と抵抗しましたが、「寝てなきゃダメです!」と言って部屋を教えてもらえました。部屋を教えるのを少し渋っていた気が…。
びーちゃんの部屋の扉を開けると、中は質素で少々散らかっています。でもリビングのようなゴミの匂いはしなくて、代わりに僕の好きなびーちゃんの匂いが充満しています。
《とにかく、早くベッドに寝かせて…っと。ん?これは最近人気のヤンキー漫画…びーちゃんはこういうジャンルが好きなんですね》
びーちゃんをベッドに連れていくと、腕で目元を覆って仰向けに寝転びました。やはり辛かったんですね。それはそうと…やけに部屋の中に転がってる物が目に入ります。
《!!!?》
《こっ、これは…電動髭剃り?ほ、ほう…女子でもやはり毛は生えるし剃りますからね。でもメンズ用でいかつい…ん?ベッドの下のあれは…、メンズヘアカタログ?まあ…、髪型をガラッと変えたい気分の時もありますよね》
いやいや、以前なら納得していたこの状況も、もっこり疑惑を含めるとこれはもう…【ほぼ確ではまいか】。99.8%から99.9%になった気がします。
「…う、あつい」
「!!あ、びーちゃん…?スポドリ飲みますか?」
「う、うん…」
もぞもぞと身動ぎをしているびーちゃんに冷えたスポドリにストローを刺して渡しました。それを飲むと、少し熱さが落ち着いたようです。
仮に疑惑が本当だったとしたら、びーちゃんが自分の部屋に僕を入れるのを少し渋っていたのはバレると思ったから…?でも、絶対バレたくないなら家の中へも入れない気が…。
「…えーくん」
「はっはい!」
「うち、歳の離れた兄貴と2人暮らしなんだ。母親は小さい頃にどっか行って、父親は単身赴任で県外にいてお金入れてくれててさ」
「…え、そ、そうだったんですか」
「兄貴も社会人だからあんまり家に居なくて…いつも1人の時が多いから、普段は平気だけど体調崩すと心細いんだ。だから今日えーくんが来てくれて嬉しかった」
「……びーちゃん」
「でも…こんな汚い部屋は見られたくなかったなぁ。引いたでしょ?」
相変わらず手で顔を覆ったまま、掠れた声でびーちゃんはそう呟きました。僕はつい勢いよく「引いてません!!」と全力で否定していました。
それを見て、いつものようにプッと吹き出したびーちゃん。「ありがと」と言って安心したように眠ってしまいました。その時見せてくれた笑顔は頬を赤らめて、涙目でうるうるしていて…胸が詰まりそうでした。
《こんなの、ほぼ確定でびーちゃんは男の子なはずなのに…分かった上でなんで僕はこんなにドキドキしているんだ…》
僕はしばらくの間、眠りについたびーちゃんの引き締まった手をぎゅっと握っていました。僕が手を握った瞬間から気持ちよさそうにスヤスヤ寝ているから、なんだか離すことができなかったです。
「あ…、ごめんね。片付けたんだけどちょっと手が回らなくて…」と言ってびーちゃんが屈んでその袋を拾おうとした時、クラクラしたのか床に手を着きました。
「びーちゃん!大丈夫ですか!?」
咄嗟に支えたその体はやっぱり熱っぽいです。無理して起きてきたんでしょう。とりあえず布団に寝かせなきゃ…と、荷物を置いてびーちゃんの腕を掴みました。びーちゃんは「大丈夫だから!」と抵抗しましたが、「寝てなきゃダメです!」と言って部屋を教えてもらえました。部屋を教えるのを少し渋っていた気が…。
びーちゃんの部屋の扉を開けると、中は質素で少々散らかっています。でもリビングのようなゴミの匂いはしなくて、代わりに僕の好きなびーちゃんの匂いが充満しています。
《とにかく、早くベッドに寝かせて…っと。ん?これは最近人気のヤンキー漫画…びーちゃんはこういうジャンルが好きなんですね》
びーちゃんをベッドに連れていくと、腕で目元を覆って仰向けに寝転びました。やはり辛かったんですね。それはそうと…やけに部屋の中に転がってる物が目に入ります。
《!!!?》
《こっ、これは…電動髭剃り?ほ、ほう…女子でもやはり毛は生えるし剃りますからね。でもメンズ用でいかつい…ん?ベッドの下のあれは…、メンズヘアカタログ?まあ…、髪型をガラッと変えたい気分の時もありますよね》
いやいや、以前なら納得していたこの状況も、もっこり疑惑を含めるとこれはもう…【ほぼ確ではまいか】。99.8%から99.9%になった気がします。
「…う、あつい」
「!!あ、びーちゃん…?スポドリ飲みますか?」
「う、うん…」
もぞもぞと身動ぎをしているびーちゃんに冷えたスポドリにストローを刺して渡しました。それを飲むと、少し熱さが落ち着いたようです。
仮に疑惑が本当だったとしたら、びーちゃんが自分の部屋に僕を入れるのを少し渋っていたのはバレると思ったから…?でも、絶対バレたくないなら家の中へも入れない気が…。
「…えーくん」
「はっはい!」
「うち、歳の離れた兄貴と2人暮らしなんだ。母親は小さい頃にどっか行って、父親は単身赴任で県外にいてお金入れてくれててさ」
「…え、そ、そうだったんですか」
「兄貴も社会人だからあんまり家に居なくて…いつも1人の時が多いから、普段は平気だけど体調崩すと心細いんだ。だから今日えーくんが来てくれて嬉しかった」
「……びーちゃん」
「でも…こんな汚い部屋は見られたくなかったなぁ。引いたでしょ?」
相変わらず手で顔を覆ったまま、掠れた声でびーちゃんはそう呟きました。僕はつい勢いよく「引いてません!!」と全力で否定していました。
それを見て、いつものようにプッと吹き出したびーちゃん。「ありがと」と言って安心したように眠ってしまいました。その時見せてくれた笑顔は頬を赤らめて、涙目でうるうるしていて…胸が詰まりそうでした。
《こんなの、ほぼ確定でびーちゃんは男の子なはずなのに…分かった上でなんで僕はこんなにドキドキしているんだ…》
僕はしばらくの間、眠りについたびーちゃんの引き締まった手をぎゅっと握っていました。僕が手を握った瞬間から気持ちよさそうにスヤスヤ寝ているから、なんだか離すことができなかったです。
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