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推理ゲーム③
しおりを挟む私がうんうん唸っていると、桐野さんが助け舟を出してくれた。
「言うまでもないことだけど、リオナさんが演じるのは、女性の役ですよ」
「そうですね。あと、甲府にお墓参りというのもヒントですね。つまり、架空の人物ではなくて、実在していた人物」
「ええ、その調子です。いい線いっていると思いますよ」
「あれー、桐野くん、彼女を応援するんだ。ロリコン美少女とのデートにノリノリですかぁ?」
ロリコンって、リオナさん。そりゃ、私は童顔ですけどね。
あれ、でも桐野さん、本当にノリノリ? だとしたら、めちゃくちゃうれしい。
「リオナさん、相変わらず人が悪いですね」
苦笑する桐野さんの横顔を見ながら、私は胸の高鳴りを意識する。よし、これは絶対、リオナさんの役を的中させないと。でも、女性でありながら、甲府の歴史上の人物? それって、誰?
ダメだ。誰一人、思い浮かばない。そんな私の表情を読んだのか、桐野さんが言った。
「リオナさん、僕からヒントを出しても構いませんよね」
「どうぞ、お好きなように」
「えっ、ということは、桐野さんには答えがわかったんですか?」と、私。
「ええ、わかりましたよ」と、こともなげに頷く。「まず、リオナさんの相手役が演じるのは、大変な人気者です。彼を主役にした映画とドラマは数えきれないほど制作されています。小説や漫画にもなっています」
人気者。歴史上の人物で人気者。私は思いつくまま、口に出していく。
「……織田信長、……豊臣秀吉、……徳川家康」
「ブーっ」と、リオナさん。ニヤニヤと笑っている。
思わずカチンときたけど、グッとこらえて考える。ひたすら、思いを巡らせる。そうだ、甲斐の戦国武将といえば、この人。
「武田信玄」
リオナさん、無反応。
「上杉謙信,今川義元」
「ミノリさん、戦国時代から離れてみましょうか」見かねた桐野さんから助け舟。
「聖徳太子,中臣鎌足,中大兄皇子」
「ブーっ、そもそも聖徳太子は、実在の人物じゃありません」
えっ、リオナさん、嘘でしょ? 聖徳太子ってフィクションなの?
「肖像が紙幣に使われていたのに、実在していなかったんですか?」
私の疑問には、桐野さんが応えてくれた。
「聖徳太子の本名,廐戸王は実在していましたが、聖徳太子は政治的な目的で、後世につくられた架空の人物です。専門家の間では随分前から定説ですし、日本史の教科書でも、〈廐戸王(聖徳太子)〉と書かれています。誤解を怖れずにいえば、聖徳太子というのは虚像ですよ」
ふうん、推古天皇の摂政も、冠位十二階を定めたのも、遣隋使を派遣したのも虚像ですか。もやもやしたものが残るし、全然納得できない。
「とりあえず、聖徳太子は不正解です。時代をグッと下ってみましょうか」
「下るということは、江戸時代ですか?」
「もっと下って」
「じゃ、明治維新?」
「そのあたり」と、桐野さん。
「さすがに、もうわかったでしょ?」と、リオナさん。
うん、その頃の一番の人気者といえば、すぐ一人に絞ることができる。
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