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推理ゲーム④
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「坂本龍馬」
「御名答」ユニゾンで返ってきた。
でも、完全に的中したわけじゃない。リオナさんが演じるのは、坂本龍馬の相手役である。有名どころは二人だろう。
「ええっと、おりょうと千葉さなの二者択一ですよね」
甲府にお墓があるのは、どちらの女性なのか? 私には全然わからない。おりょうか千葉さなか、勘で選ぶしかない。つまり、正解の確率は50%。
桐野さんとのデートがかかっているのだ。絶対に当てたい。そういえば、おりょうは晩年、横須賀に行ったのではなかったか。すると、千葉さなか。
でも、松戸市の何とか霊園に千葉さなが葬られている、と聞いたことがあったような……。
ううん、はっきりしない。ああ、私、日本史は得意じゃなかったしなぁ。
「さぁ、ミノリちゃん、時間がないよ。そろそろ決めようか」と、リオナさんが急かしてくる。
私は、なかなか踏ん切りがつかない。
チラリと見ると、桐野さんは平然としている。的中しても外れても、どっちでもいいって感じ。ということは、私とデートしたくないの? うーん、複雑な気分。
「さぁ、どっち?」
私は度胸を決めた。
「はい、わかりました。じゃ、おりょうさんでっ」
ドゥルドゥルドゥルドゥルっ。リオナさん、器用にドラムロールの口真似をして、たっぷり間を取ってから、
「ブーっ」と両手で×印をつくった。
「ああーっ」と、頭を抱える私。
正解は、千葉さなだった。桐野さんが丁寧に説明してくれた。
「甲府駅の近くに清運寺というお寺があって、そこに千葉さなは眠っています」
「お墓は松戸じゃありませんでしたっけ」
「ああ、八柱霊園の無縁塚ですね。清雲寺には、そちらから分骨したんですよ。それよりもミノリさん、リオナさんの指を見落としたね。バンドエイドの下は、皮がめくれているはずですよ。小太刀の稽古のせいで」
リオナさんが笑顔で、両手の指を開いてみせた。
「どうして、小太刀のお稽古を?」と、私は訊いた。
「千葉さなは、北辰一刀流小太刀免許皆伝だよ。現在、専門の先生について猛特訓中」
なるほど、そういうことか。バンドエイドの件は気づいていた。ヒントは最初から目の前にあったのだ。言われてみれば、もっともなことばかり。
ああ、悔しいなぁ。
「御名答」ユニゾンで返ってきた。
でも、完全に的中したわけじゃない。リオナさんが演じるのは、坂本龍馬の相手役である。有名どころは二人だろう。
「ええっと、おりょうと千葉さなの二者択一ですよね」
甲府にお墓があるのは、どちらの女性なのか? 私には全然わからない。おりょうか千葉さなか、勘で選ぶしかない。つまり、正解の確率は50%。
桐野さんとのデートがかかっているのだ。絶対に当てたい。そういえば、おりょうは晩年、横須賀に行ったのではなかったか。すると、千葉さなか。
でも、松戸市の何とか霊園に千葉さなが葬られている、と聞いたことがあったような……。
ううん、はっきりしない。ああ、私、日本史は得意じゃなかったしなぁ。
「さぁ、ミノリちゃん、時間がないよ。そろそろ決めようか」と、リオナさんが急かしてくる。
私は、なかなか踏ん切りがつかない。
チラリと見ると、桐野さんは平然としている。的中しても外れても、どっちでもいいって感じ。ということは、私とデートしたくないの? うーん、複雑な気分。
「さぁ、どっち?」
私は度胸を決めた。
「はい、わかりました。じゃ、おりょうさんでっ」
ドゥルドゥルドゥルドゥルっ。リオナさん、器用にドラムロールの口真似をして、たっぷり間を取ってから、
「ブーっ」と両手で×印をつくった。
「ああーっ」と、頭を抱える私。
正解は、千葉さなだった。桐野さんが丁寧に説明してくれた。
「甲府駅の近くに清運寺というお寺があって、そこに千葉さなは眠っています」
「お墓は松戸じゃありませんでしたっけ」
「ああ、八柱霊園の無縁塚ですね。清雲寺には、そちらから分骨したんですよ。それよりもミノリさん、リオナさんの指を見落としたね。バンドエイドの下は、皮がめくれているはずですよ。小太刀の稽古のせいで」
リオナさんが笑顔で、両手の指を開いてみせた。
「どうして、小太刀のお稽古を?」と、私は訊いた。
「千葉さなは、北辰一刀流小太刀免許皆伝だよ。現在、専門の先生について猛特訓中」
なるほど、そういうことか。バンドエイドの件は気づいていた。ヒントは最初から目の前にあったのだ。言われてみれば、もっともなことばかり。
ああ、悔しいなぁ。
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