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濡れ結ぶ⑤

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「平気……、もっと、して」

 僕は笑顔で頷いた。

「サキさん、とてもきれいです。僕にセクシーな表情をたっぷり見せてください」

 僕は身体をつなげたまま、美しい両脚をまとめて両腕で抱える。彼女の上体と両脚は直角を描いた。
 両脚を閉じているので、バナナとザクロの密着度は増している。これも深々と貫ける体位だ。

「いきますね」

 美しい両脚を抱えたまま、腰の動きを再開した。リズミカルに深々と貫いていると、彼女はセクシーな悲鳴を上げ始める。

「あああっ」

 水蜜桃やザクロなど、僕は女性の部位を果実にたとえているが、楽器にもたとえられるはずだ。それも、とびきり官能的な楽器である。抱き方次第で、素晴らしい響きを奏でさせることができる。

 僕はリミッターを外して、サキさんを翻弄する。ザクロの奥底を突き続け、繰り返しエクスタシーに送り込む。

 やがて、サキさんの悲鳴を上げて、電池が切れるように失神してしまった。こんなにハードなセックスは初めてだったのだろう。清楚な知的美女には、少々やりすぎたのかもしれない。

 幸い、サキさんの意識はすぐに回復した。僕の胸にしがみつき、頬を摺り寄せてくる。

「こんなに気持ちがよかったの、本当に初めてよ。シュウくんは他の男と全然ちがう」
「ありがとうございます。何よりの誉め言葉ですよ」

 僕はサキさんの柔らかな身体をしっかり抱きしめる。僕たちの関係はコールボーイとお客様である。でも、さらに一歩踏み込もうと思う。

 ハリウッド映画のスパイのように、ピロートークでさりげなく情報収集を図る。言ってみれば、「逆ハニートラップ」だ。ジェームズ・ボンドやイーサン・ハントとまではいかないが、B級映画の私立探偵よりはうまくやってのけた。

 僕が最も確認したいのは、カズの死は事故なのか、それとも事件なのか、ということだ。

 轢き逃げ犯は殺意をもって、カズを狙ったのか? 例の〈半グレ集団〉のからみなのか?

 サキさんによると、警察は現時点では、どちらとも決めかねているらしい。
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