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♡ 王宮魔導師長再び
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しおりを挟む「魔素溜まりって、お爺様達のような魔法使いの管轄でしょう? 私なんかまだまだ学生で司書見習い以下のアルバイトですよ。しかも平民寄りのしがない男爵家の出身ですし・・・」
「そこまで卑下せんでもいいじゃろ?」
苦笑いをするワイプ魔導師長。
「だって、魔素溜まりとか生まれて初めて現れたんですよ。そんな私に相談とか言われても図書館の資料以上の知識なんかありませんし・・・」
こちらは眉を顰め、目はジト目のまま答えるシルフィー。
「そうさなあ~確かにここ最近はデカいのは生まれんかったからのう。丁度100年くらい前に出来たときは当時の聖女がその力で浄化したんじゃ」
「聖女・・・」
「そうじゃ。ワシ等魔道士達とは根本的に違うんじゃよ聖女は。桁違いの魔力だけなら私等魔道士と変わらんのじゃ」
「だけなら?」
「そうじゃ」
ワイプは神妙な顔になり頷いた。
「聖女はその手に神聖な力を持っておる」
「手?」
ワイプは頷くと、
「その手から生み出すものには全て神聖力が宿るんじゃ。嬢ちゃんにも覚えがあるじゃろう? 騎士団の差し入れじゃ。あれを食べるとやたら皆が元気になるじゃろう? あれこそが聖女の癒しのパワーじゃな・・・嬢ちゃんは間違いなく聖女じゃ」
シルフィーがバツの悪そうな顔で魔導師長の顔を見ると、分かっていると言わんばかりに強く頷くワイプ。
「だがのう、実は嬢ちゃんが聖女だということをワシは王家には伝えたくないんじゃ」
「え? どういう事ですか?」
ワイプは小さく頭を振った。
「ワシは『聖女の浄化』が聖女の命を奪うことも知っとるんじゃよ」
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