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♡ あなたとお茶を3
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しおりを挟む「と、いうようなお話を今日は父としましたの」
そう言いながら綺麗な所作で音も立てずにティーカップをソーサーに戻すシルフィーと、その向かいで難しそうな顔をするベイジル閣下。
「確かに、その検査結果だと王宮の事務官が直接学院にスカウトしに来るレベルだと思う」
「はぁ~そうなんですか・・・」
「うん、学生でそこまで水晶玉の色が染まる者はそういない筈だ」
難しい顔のままで首を傾げるとオールバックにしてあるヘイゼル色の前髪が一筋落ちてくる。
『『はぁ~格好いい』』(勿論、シルフィー達限定)
うっとりと見惚れているシルフィーに気がついて、咳払いをする将軍閣下。
「ゴホン」
「あ。失礼しました、見惚れてました・・・」
「え? 何に?」
辺りを慌てて見廻すベイジル閣下。
離れた執務机の前で書類を封筒に入れるオーブリーと、紅茶のお代わりをサーブするセバスチャン以外に人は居ないし、殺風景な執務室には花すらない。
「え? 勿論ベイジル様にですけど?」
「・・・・////」
「今日は御髪の形が違うのですね」
「ああ、うん。今日は午前中に陛下との謁見があったから。ちょっとばかし畏まった格好をしなくちゃいけなくてね。忘れていたよ」
そう言いながら、髪型をグシャグシャと崩すように触るベイジル。
後ろでオーブリーが
『せっかくシルフィー様が見惚れてるんだから、その髪型を壊すんじゃありませんよ~!』
と腹の中で毒づき、ティーポットを持ったまま横目で
『何をテンパってるんですか~!!』
と呆れ顔になるセバスチャンである。
そしてオバちゃんは、
『ウ~ン、王宮魔道士なー・・・』
と首を捻っていたのであった。
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