47 / 160
♡ 王子の苦悩
46
しおりを挟むしつこく俺の首に手を回してキスしようとしてくる、派手な格好の雑誌社の女の肩を両手で押し戻して、
「やめてくれよ、気持ち悪い。俺、結婚してるんだからさ」
そう言った途端、夏美の乗った乗用車が眼の前を横切り、待ち合わせのコンビニに突っ込んで炎上したのを目撃した。
「なっちゃん?! 嘘だ!」
女を突き飛ばして、コンビニに走った。
グチャグチャにへこんだ運転席のドアノブに手をかけた途端、タールの焼けたような匂いがして物凄い轟音と共に火が上がったのが見えたけど、この中に夏美が居るんだから助けなきゃ。それしか考えられなくなってた。
もう1度轟音がして砕けて飛び散ったフロントガラスが手にも顔にも当たり、熱くて革が焼け焦げるような匂いが鼻に付く。
開かないドアに焦れて肘でヒビが入ったドアのガラスをぶち割って上半身を車に突っ込んだら、目を閉じた夏美の血だらけの顔が目に映って・・・もう1回爆発音がして・・・
後は覚えてない。
目が冷めたら赤ん坊に転生してた。
しかも自分の書いてたWEB小説の世界に。
『は? 嘘だろ。夏美は? なんでこんな事に? え王子って俺が?』
そんなバカな、絶対に夢に違いない。
だって小説のストーリーを夢でよく見てたりするから絶対そうだよな。
もしかすると病院に運ばれて、意識不明の状態なのかもしれないし。
イヤ絶対にそうだ。
だってもしこの世界が俺の書いた小説だとしたら、夏美に会えなくなるじゃないか!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
205
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる