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♡ ベイジル・S・フォーゼスト侯爵
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しおりを挟むベッドの上で上半身を起こし、シスターと話す少女の視線が此方を向いた時、胸がギュッと痛くなったのを覚えてる。
豊かなピンクブロンドは波打つ様に長く、浅い海のような透き通る水色の双眸はパッチリとしていて零れそうなくらい大きく、肌は抜けるように白い。
唇はプックリとしていて、艷やかな果実のようだ。
小さく形のいい鼻梁まで素直にまっすぐ通った鼻筋。
頬は目覚めたばかりで少しだけ青ざめていたが、それが余計に儚げに見えて、まるで彼女の周りだけが切り取られたように明るく輝いて見えた。
今まさに天使が降臨したしたかのような錯覚を起こし、ドアを開けたまましばし固まってしまったのは不可抗力だ。
人は皆、神聖なものに触れた時あまりの喜びにうち震え動けなくなると聞く。
きっと私はそういう状態だったに違いない。
だが、其の時の感動をカシスに思い出して語ると必ず
『閣下、残念過ぎです・・・』
と不憫な顔をされる。
何故だ? 解せん・・・
あの時の感動を従者であり、幼馴染でもあるアイツと分かち合いたいだけなのに?!
これに関してはセバスチャンとオーブリーも今だにほぼ同じ反応をする。
何でだ?
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