ネガタエプロジェクト

meru智

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プロローグ 絶望はすぐそこで

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と、言っても
二日後まで暇なので人工物の島をうろうろしていた。
いくつかのダンボールの中には、
たくさんの食事とそれから寝袋とテントが用意されていた。
ここでプレイヤーとして参加する人の為に準備をしたのだろう。
ちらほらと絶望の顔して帰る人や、
何かを思って思いとどまる人。
色々思うことがありながら、
最終的に今現在残っているのは30名程度になった。

(命を賭けてまで、参加するってことは世界を叛逆してまで変えたい人たちなんだよな?おじさんやおばさんまで居る。中には小学生まで。もし俺よりも立派な願いで叶えたい人が現れたらどうする?俺は命を売ることができるのか?俺は法を変えたいと願っている。でもそれは単純な願いに過ぎない。ナナハがイジメで死んだ。それだけだ....もしナナハが死んでなければ、法を変えたいなんて思っていなかっただろう。そう思うと俺は惨めなのかもしれない)

とりあえず食事をしようと食品が詰め込まれている段ボールに近づいた。
考え事をしていたせいか近くに人がいることも気付かずにぶつかってしまった。

「痛っ!」
「ご、ごめんなさい!怪我はありませんか?」
「大丈夫ですよ。私考え事をしていて前を見ていませんでしたわ」
「こちらこそすみません。俺も考え事をしていてぼーっとしていました」
「そうですよね...みんな思うところはありますよね。私の叶えたいものなんてきっと周りに比べたらちっぽけなんだと思います。それでも私には帰る場所なんてないのです....」

(帰る場所がない、そう聞いてなんて言葉を返そうかと考え込んでしまった)

「そういえばお名前まだでしたよね!私の名前は白鷺 萌音(しらさぎ もね)よろしくお願いします」
「俺の名前は井林生雲、よろしくおねがいします。でもきっとお互い殺し合わなくちゃいけないからあんまり情を入れない方がいいと思います。」
「...そうですよね。私としたことが軽率でしたね。それでは、失礼しますね。」

そう言って食品を手に取って数本歩いたところで彼女が振り返ってこう言った。

「ねぇ、井林さん。この世界は綺麗だと思いますか?私にはとても綺麗に見えます。だって...」

そういって涙を堪えてるのか分からないような表情で、そして何もかもを嘘で包み隠すような声で

「この世界はみんな『汚い』部分を『綺麗』と言うのですから」

そんな言葉を残して彼女は振り向き様に泣いているのを見逃さなかった。
(正直彼女の言ってることは何一つ理解ができなかった。この世界は汚い。汚いものは汚いのだ。イジメが綺麗とてでも言いたいのか?自殺が綺麗なのか?彼女はどんな世界を見てきた?)

でも、この答えが分かったのは案外すぐだった。
人を疑い怪しい人物に入れて殺すゲーム。



(なぁ、俺はこの世界が憎いよ白鷺。お前もお前らも。あははははは!)



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