世間の風潮に逆行して50才で免許とろうとしたら、自動車学校で予想以上の苦難が待っている体験談

ぽんたしろお

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第三章

自動車学校、怒濤の入学っ!

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お役所系の仕事の流れがよくわからない…。
「なんちゃら許可書」が届くまで二週間ほどかかる、と電話口の職員さんは確かに言った。
なのに、だ。
その電話から四日ほどで書類が届いたのである。

二週間と聞いたときには愕然としたけれど、二週間入学まで猶予ができたとそう思い始め、うっかり油断していたときだったので、学校に通う気構えが緩んでいた。
自動車免許試験所は、私に心理戦を仕掛けて試しているのか?と疑いたくなった。


運転適性相談終了書ーこれが正式名称だ、「なんちゃら許可書」でなかった。受理番号が書いてある。自動車学校に入学するのに大変な思いをした知らない仲間がいるのだな、と思った。

早速、自動車学校に連絡を入れた。自動車学校も私から二週間ほどかかると伝えてあったので、驚いたようだがすぐに入学手続きの日を教えてくれた。
すったもんだで自動車学校に入学したいと学校に伝えてから一か月、「運転適性相談終了書」以外の書類と学校に払う大金の準備は万端である。

私は、書類を揃えて二日後、自動車学校の生徒になった。

私の選んだのはAT限定免許のコース(補習〇時間無料付き)である。
MTでの高度な運転を覚える自信は半世紀生きてきて、全くなかった(断言)。AT限定でも苦労するだろうとわかっていたので、迷うことなく補習〇時間無料コースの高い授業料を払った。
地方の自動車学校だったので、補習無制限コースは残念ながら設定されていなかった。あったら、絶対それを選んでいたのだが。

自動車学校に入学初日、最初の授業があると知らされていた。
漠然と運転するための初歩、ハンドルや、ブレーキ、アクセルなどの場所を教えてくれる「基本のき」を学ぶのだろうと勝手に思っていた。
しかし、その日入学手続きを終えた3人が案内されたのは、ちゃちなドライブゲームみたいな運転シミュレーターだった。

内心、あせる。しつこく言うが、私はハンドル以外の運転に必要なアクセルやシフトレバーの場所も意味も知らないのだ。
ブレーキの意味は知っていた。車を止めるためのものだ、でもどこにあるのよ???
頭の中の疑問を声に出す余裕はなかった。
ちゃちとはいえ「運転席」に座るように命じられ、混乱状態でシートベルトを左側からのばそうとして、はっとする。身に沁みついた「助手席」の感覚である。
右側からシートベルトをのばすという行為すら、「運転」をさせられると感じて、すでに心は泣いていた。

ちゃちなシミュレーターは、私の混乱を無視して機械的な声で
「アクセルを踏みましょう」
「ウインカーを出しましょう」
「道路状況の確認をしましょう」
「ハンドルを左にきってみましょう」
と次々指示を飛ばしてきた。
アクセルふむ?どれぐらい踏めばいいの?ずっと足のっけているの?
ハンドルを左に切る、切る?ってどういうこと
ウインカーってどこにあるのーーーーーっ!?
目の前の画面には、運転席から見える風景が動画で映し出され、おそらく私が何をやっていいかわからないまま触ってるもろもろの動作を無視して、自動車の運転シミューレションは勝手に自動車を動かしていた。
50分後、後ろに立っていた教官が
「はい、お疲れ様です。シートベルト外して降りてください。これで、実習1時間目は終了になります」
と言ったのである。

え?これが実習の1時間としてカウントされちゃうの?私は何を学んだというの?
混乱する頭は、爆発寸前で思考停止。
ほんとに、自動車を運転できるようになるのだろうか?という疑問が思考停止した脳に上書きされて、世界はぐるんぐるんと回っていた。

という、私の思考状態とは関係なく、教官からバトンタッチしたらしい事務職員の人が自動車学校の中の案内を始めた。
私、運転できるようになるの、これで?の自問自答を繰り返しながら、機械的に案内を受ける。
そして、
「これからの予定は担当教官と相談してください」
という声で若干、私は現実に戻った。

ちなみにこの自動車学校は一人の教官が基本的に最後まで面倒をみてくれる担任制システムをとっている。
まぁ、私のような覚えが悪い生徒に対応できるのは、おそらく教官の中でも特別な訓練を受けているだろうから(勝手な妄想です)、担任制でなくても私には担任がついたに違いないーそこまで私の心はねじ曲がっていたのだ。

何度も言うが、私が何を感じようが、自動車学校というベルトコンベアに乗せられた私は、実習の担任教官に会ったのである。
「明日、枠が開いています。大丈夫ですか?」
「はぁ…」
「では、明日から自動車に乗りましょう」
「はい…(まじかよ!?)」
ちゃちなドライブシミュレーターで打ちのめされた私「が」、翌日から実車!を運転するんたどよ。
心の中の私は、号泣していた。
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