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アレフィンバラ中央通りともんじゃ焼き
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ドドドドドと音がしそうな勢いで瑠璃子はアレフィンバラの城門に突撃した。城門をくぐると「わぁぁっ! すご~い」という歓声が上がった。
真司たちも後に続いて城下町へと進んだ。
昨日でチュートリアルを終えた真司たちは、ゲー研部長の丸夫に会うべく、セントアレフの首都アレフィンバラを訪ねていた。
「確かに、こりゃ凄いな」
真司も思わずつぶやいた。辺り一面人、人、人、初期設定エリアのギリシャ神殿に続いての衝撃のCGだった。
SEXOの日本語エリアの中では一番人が多いんじゃないかと言われるアレフィンバラはまさにVR世界の大都会だった。
「奥に進んだところに噴水のある広場があるんだけどね。そこはもっとすごいよ」
加奈子はニコニコしながら驚く真司たちに説明を始めた。
「ここは、アレフィンバラのメインストリートの入り口、奥に行くとアレフ大公のお城があってね。お城の前は巨大な庭になってるの」
城門をくぐってみてわかったのだが、かなり広大な面積を城壁は覆っていた。
城門も高いと思ったがアレフ大公のお城はもっと高いらしく、このストリートからでも尖塔が見える。
「おおっ! お店がいっぱい」
メインストリートの両脇にはいくつものお店が営業していた。石造りのファンタジー風建築物なのだが、看板にはおなじみの世界的バーガーチェーンや牛丼チェーンのマークが並んでいた。
「この辺の建物の地価はものすごく高いの、ここにお店を出せれば一流商人プレイヤーとして認められるからそれを目標にしている人も多いんだよ」
「あれっ? でもちらほらとちっちゃなお店があるよ」
「うん、あれは屋台、屋台は安く出せるからね、あれは一般のプレイヤーのお店だよ。色々あるんだから」
三人は屋台を見て回った。プレイヤー向けの装備のお店や、採集した素材アイテムを売る屋台の中に混じって屋台料理を出すお店があった。
「おおっ! これはもんじゃだねぇ」
瑠璃子がソースの匂いが香ばしい、一件の屋台に飛び込んだ。
「まいど~いらっしゃいませぇ」
日焼けしたお姉さんがジュウジュウと音をたて、もんじゃを焼いていた。
鉄板のすぐ手前が客席になっていて、煌びやかなフルプレートアーマーに身を包んだ少年がアツアツのもんじゃを食べていた。
「う~ん、何にしようかな?」
瑠璃子が迷っているとプレートアーマーの少年が「明太もんじゃ大甘で、揚げ玉とベビースター入れてね」と注文した。
「あいよ」とお姉さんが注文の品を作り始める。
「おお~イチゴシロップ入れるんだ。意外な組み合わせ」
「ウチは群馬系のもんじゃなんだよ。月島の高級おつまみ系じゃなく、駄菓子系のもんじゃなんだよ」
「私、駄菓子大好き」
「うんとねぇ……明太子にお餅と……揚げ玉と……あとベビースターもキャベツも多めでね」
「おいおい、頼みすぎると後で後悔するぞ」
真司はそう言ったが、瑠璃子はもうもんじゃに夢中になっていて、真司の忠告もどこ吹く風といったところだった。
「イチゴシロップは止めとくかい?」
お姉さんが聞くと「ううん、大甘でお願い」と瑠璃子はやる気満々だった。
「勇気あるね」とお姉さんは言うと、瑠璃子のもんじゃに豪快にシロップをかけた。
イチゴシロップとソースの混じった独特な芳香が漂う、これはこれで美味しそうだった。
「う~ん、甘くて美味しい~コレはホントに駄菓子系の味だね」
「うんうん、おやつに丁度良いな」
お姉さんは実に手際よく、真司と加奈子のぶんのもんじゃもあっという間に焼き上げた。
小さな屋台の座席は少年と真司たちが座るともう満席だった。
そのまま皆でもんじゃパーティになだれ込んだのだった。
小一時間ほどもんじゃの屋台でおしゃべりともんじゃを楽しんだ一行はセントアレフの城下町の建物の間を縫うように進んで、郊外にある群青学園の公式ギルド群青騎士団のギルドホールへと向かった。
ホールにたどり着く数分前に加奈子がウィスパーチャットで丸夫に連絡を入れていたせいか、真司たちがホールの玄関にたどり着くと、そこには丸夫が立っていた。
「お~真司、よく来たな」
恰幅の良い、いやむしろ肥満と言ってよい豊かな身体を揺すって、丸夫は真司の手を取って力強く握手した。
「丸夫君っ! いえ~い」
瑠璃子と丸夫はハイタッチして小躍りしてみせた。
「ノリノリだね、瑠璃子ちゃん、ゲームは楽しんでるかい?」
「もう最高、ゲームは面白いし、食べ物は美味しいしで、さっきももんじゃ食べてきたの」
そう言ってはしゃぐ瑠璃子のことを丸夫は菩薩の様な顔で見つめた。微笑ましくみえるが、丸夫の目線が揺れるおっぱいにあることを真司は見抜いていた。
「なるほど、二人はギルドには所属はしないってことだな」
「うん、悪いな」
「いや、気にすんなよ。でもゲームで困ったことがあったらなんでも言ってくれ、その時はウチからヘルプを出す」
「ありがと~丸夫君、やっぱり丸夫くんは太っ腹だね」
「まあね。実際太いからね」
丸夫のジョークでずいぶん場は和んだ。
「でも、一応、他のクラスメートとかにも顔見せはしといた方が良いし、今日は二人の歓迎会を開きたいんだが、真司はどうだ?」
瑠璃子と真司は顔を見合わせる。
「ああ、でも身内だけのパーティでいいぜ、せいぜいクラスメートを呼ぶくらいでいいよ」
「わかった、二人がそうしたいなら、身内パーティにするよ」
「瑠璃子ちゃんもドレスを着て参加するといい」
「ドレス? そんなの持ってないよ」
「僕が貸してあげよう」
「丸夫君はテイラーなんだよ」
加奈子の顔は笑っていた。意外でしょ? と目で言っていた。
「テイラーって? あの服とか作る?」
「そうそう」
そう言われてみれば丸夫の服装もこ洒落た貴族風のいでたちだった。
「裁縫とかすんのか? マジで意外だ」
「こう見えても、丸夫君のファッションセンスにはみんな一目置いているんだよ」
「だから瑠璃子ちゃんのドレスは任せておけ、いやむしろ任せろ」
丸夫の目が妖しく光るのを真司は見逃さなかった。
やっぱり丸夫は瑠璃子のおっぱいを見ていた。
真司たちも後に続いて城下町へと進んだ。
昨日でチュートリアルを終えた真司たちは、ゲー研部長の丸夫に会うべく、セントアレフの首都アレフィンバラを訪ねていた。
「確かに、こりゃ凄いな」
真司も思わずつぶやいた。辺り一面人、人、人、初期設定エリアのギリシャ神殿に続いての衝撃のCGだった。
SEXOの日本語エリアの中では一番人が多いんじゃないかと言われるアレフィンバラはまさにVR世界の大都会だった。
「奥に進んだところに噴水のある広場があるんだけどね。そこはもっとすごいよ」
加奈子はニコニコしながら驚く真司たちに説明を始めた。
「ここは、アレフィンバラのメインストリートの入り口、奥に行くとアレフ大公のお城があってね。お城の前は巨大な庭になってるの」
城門をくぐってみてわかったのだが、かなり広大な面積を城壁は覆っていた。
城門も高いと思ったがアレフ大公のお城はもっと高いらしく、このストリートからでも尖塔が見える。
「おおっ! お店がいっぱい」
メインストリートの両脇にはいくつものお店が営業していた。石造りのファンタジー風建築物なのだが、看板にはおなじみの世界的バーガーチェーンや牛丼チェーンのマークが並んでいた。
「この辺の建物の地価はものすごく高いの、ここにお店を出せれば一流商人プレイヤーとして認められるからそれを目標にしている人も多いんだよ」
「あれっ? でもちらほらとちっちゃなお店があるよ」
「うん、あれは屋台、屋台は安く出せるからね、あれは一般のプレイヤーのお店だよ。色々あるんだから」
三人は屋台を見て回った。プレイヤー向けの装備のお店や、採集した素材アイテムを売る屋台の中に混じって屋台料理を出すお店があった。
「おおっ! これはもんじゃだねぇ」
瑠璃子がソースの匂いが香ばしい、一件の屋台に飛び込んだ。
「まいど~いらっしゃいませぇ」
日焼けしたお姉さんがジュウジュウと音をたて、もんじゃを焼いていた。
鉄板のすぐ手前が客席になっていて、煌びやかなフルプレートアーマーに身を包んだ少年がアツアツのもんじゃを食べていた。
「う~ん、何にしようかな?」
瑠璃子が迷っているとプレートアーマーの少年が「明太もんじゃ大甘で、揚げ玉とベビースター入れてね」と注文した。
「あいよ」とお姉さんが注文の品を作り始める。
「おお~イチゴシロップ入れるんだ。意外な組み合わせ」
「ウチは群馬系のもんじゃなんだよ。月島の高級おつまみ系じゃなく、駄菓子系のもんじゃなんだよ」
「私、駄菓子大好き」
「うんとねぇ……明太子にお餅と……揚げ玉と……あとベビースターもキャベツも多めでね」
「おいおい、頼みすぎると後で後悔するぞ」
真司はそう言ったが、瑠璃子はもうもんじゃに夢中になっていて、真司の忠告もどこ吹く風といったところだった。
「イチゴシロップは止めとくかい?」
お姉さんが聞くと「ううん、大甘でお願い」と瑠璃子はやる気満々だった。
「勇気あるね」とお姉さんは言うと、瑠璃子のもんじゃに豪快にシロップをかけた。
イチゴシロップとソースの混じった独特な芳香が漂う、これはこれで美味しそうだった。
「う~ん、甘くて美味しい~コレはホントに駄菓子系の味だね」
「うんうん、おやつに丁度良いな」
お姉さんは実に手際よく、真司と加奈子のぶんのもんじゃもあっという間に焼き上げた。
小さな屋台の座席は少年と真司たちが座るともう満席だった。
そのまま皆でもんじゃパーティになだれ込んだのだった。
小一時間ほどもんじゃの屋台でおしゃべりともんじゃを楽しんだ一行はセントアレフの城下町の建物の間を縫うように進んで、郊外にある群青学園の公式ギルド群青騎士団のギルドホールへと向かった。
ホールにたどり着く数分前に加奈子がウィスパーチャットで丸夫に連絡を入れていたせいか、真司たちがホールの玄関にたどり着くと、そこには丸夫が立っていた。
「お~真司、よく来たな」
恰幅の良い、いやむしろ肥満と言ってよい豊かな身体を揺すって、丸夫は真司の手を取って力強く握手した。
「丸夫君っ! いえ~い」
瑠璃子と丸夫はハイタッチして小躍りしてみせた。
「ノリノリだね、瑠璃子ちゃん、ゲームは楽しんでるかい?」
「もう最高、ゲームは面白いし、食べ物は美味しいしで、さっきももんじゃ食べてきたの」
そう言ってはしゃぐ瑠璃子のことを丸夫は菩薩の様な顔で見つめた。微笑ましくみえるが、丸夫の目線が揺れるおっぱいにあることを真司は見抜いていた。
「なるほど、二人はギルドには所属はしないってことだな」
「うん、悪いな」
「いや、気にすんなよ。でもゲームで困ったことがあったらなんでも言ってくれ、その時はウチからヘルプを出す」
「ありがと~丸夫君、やっぱり丸夫くんは太っ腹だね」
「まあね。実際太いからね」
丸夫のジョークでずいぶん場は和んだ。
「でも、一応、他のクラスメートとかにも顔見せはしといた方が良いし、今日は二人の歓迎会を開きたいんだが、真司はどうだ?」
瑠璃子と真司は顔を見合わせる。
「ああ、でも身内だけのパーティでいいぜ、せいぜいクラスメートを呼ぶくらいでいいよ」
「わかった、二人がそうしたいなら、身内パーティにするよ」
「瑠璃子ちゃんもドレスを着て参加するといい」
「ドレス? そんなの持ってないよ」
「僕が貸してあげよう」
「丸夫君はテイラーなんだよ」
加奈子の顔は笑っていた。意外でしょ? と目で言っていた。
「テイラーって? あの服とか作る?」
「そうそう」
そう言われてみれば丸夫の服装もこ洒落た貴族風のいでたちだった。
「裁縫とかすんのか? マジで意外だ」
「こう見えても、丸夫君のファッションセンスにはみんな一目置いているんだよ」
「だから瑠璃子ちゃんのドレスは任せておけ、いやむしろ任せろ」
丸夫の目が妖しく光るのを真司は見逃さなかった。
やっぱり丸夫は瑠璃子のおっぱいを見ていた。
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