7 / 14
はつえっち/らぶえっち
しおりを挟む
いつかはこんな時が来る。真司も覚悟はしていた。
だって二人は本気で好き合っていたし、瑠璃子は身体は弱かったが魅力的な女の子だったからだ。
真司は18歳の男の子で中坊の頃よりは落ち着いたとはいえ、それはそれはエッチしたかったのである。
でも、いざその時が来ると真司は緊張で喉がカラカラになった。
イチゴの庭亭にはちゃんとラブホテルみたいなプライベートエリアがあって、真司たちが持っていたゲーム内マネー、ゴールドで泊まれた。
ベッドが妙にカラフルで、ファンタジーの世界なのに液晶の多機能テレビがあった。
瑠璃子は「はつえっち、はつえっち」と言いながら正拳突きを繰り出していた。緊張すると奇行に走るのは瑠璃子の癖(くせ)だ。
真司も負けてなかった。多機能テレビに備え付けられていたマイクを取るとカラオケをスタートさせ、『愛しのエリー』を熱唱した。声はちょっと裏返っていた。
終わったあと瑠璃子に「それ誰の歌?」と聞かれた。
興に乗ってきた真司が『夏を抱きしめて』を歌おうとしたら「まだ夏じゃないしそんなことしに来たんじゃないんだから」と瑠璃子に止められた。真司は古い歌が好きだった。
カラフルなベッドの上で二人は向き合った。
「僕、エッチは初めてだ」
「私だって初めてだよ」
「痛くないかな?」
「痛くないし、血も出ません」
瑠璃子はきっぱりと言い切った。
「この時のために、ちゃんと保険室の森本先生にたのんであそこを調整してもらったんだから」
「あっ……そうだったんだ。処女処理したんだ」
「だから、本当にエッチしたら血も出るけどVRなら血も出ません」
VRセックスでは実際の肉体には変化は無い。
そのため処女性交で出血や痛みを伴う女性はデジタル処理で処女膜を除去することが多かった。
特定の恋人とだけエッチをする女性より、むしろ奔放にフリーセックスする女性の方がVRでしかエッチをしないと言う人が多い。
明るくあけっぴろげでセックスアピールの強い美人さんが、結婚して妊活すると実はリアルの肉体は処女だったなんてケースも珍しくなかった。
VRセックスは現実の性行為と比べてもほぼ遜色はなかった。しかも完璧な避妊と性病予防を実現している。
だから楽しみのセックスはVRで行うのがこの時代の常識だった。
二人が裸になって向き合うまで、カラオケからまだ十数分を要した。
その情事は情熱的でそれでいて優しく、宴は夜遅くまで続いた。
やっぱり、最初に音を上げたのは瑠璃子だった。
「真ちゃん……私……もうダメぇ」
「うん、もっとしたいけど今日はここまで」
二人ともものすごい汗をかいていた。備え付けの冷蔵庫から冷えたコーラを瑠璃子に渡す。
ぐびっぐびっっと小さな口で瑠璃子はコーラを飲んだ。
真司もペットボトルのコーラをラッパ飲みした。
「真ちゃんありがとう……私今日のことは忘れない」
「僕も忘れないよ。でももっとしよう、もっともっと瑠璃ちゃんを感じたい」
瑠璃子は小さく首肯すると、うれし泣きをしてしまった。どうも最近の彼女は涙腺が緩くてしかたがなかった。
ベッドの上で全裸で二人、横になった。真司の手がそっと瑠璃子の頭を撫ぜる。
目を細めながら瑠璃子が言った。
「今日は良い夢が見れそう……いつも不安になるの、このまま寝たら死んじゃうんじゃないかって」
「僕がそばで見ててあげるよ」
「でも、真ちゃん寝不足になっちゃうよ」
「瑠璃ちゃんの寝顔を見てると疲れが取れるんだ、眠ったみたいに」
それは嘘ではなかった。
やがて瑠璃子はうつらうつらし始め、眠りに落ちていった。
真司はその寝顔をしばらく見ていた。幸せそうな寝顔だった。
瑠璃子が眠ってからしばらくして彼女はログアウトした。脳との接続が切れたのだ。
もしかしたら陽子が瑠璃子をベッドに移したのかもしれない。
それを見届けたあと真司もログアウトした。
明日、また学校で会える。加奈子にもお礼を言わないとな。
そう言えば加奈子もSEXOをやっているような話を聞いた記憶がある。
瑠璃子と真司が通う群青学園高等部の半分くらいの生徒はSEXOプレイヤーだった。
ゲーム研究会を中心に大きなギルドを結成しているという話だ。
瑠璃子はあまりたくさんの人と交流することを望まないが、彼女は実は人気があった。
また少しずつ皆と遊んでもいいかもな。と真司は思うのだった。
かつては18歳にならないとゲームをすることができなかったSEXOも倫理コードにプロテクトをかければ18歳未満でもプレイできるようになった。
もっとも倫理コードにプロテクトがかかっているとVRセックスはできないのだが。
18歳のプレゼントにSEXOを送るって、そう言えばVRセックスしてくださいって誘ってるに等しいな。
そんなつもりはなかったんだが、瑠璃子はどう思ったのだろう、ちょっと恥ずかしくなり赤面してしまう真司だった。
注 アルファポリス版は性描写をカットしております。
だって二人は本気で好き合っていたし、瑠璃子は身体は弱かったが魅力的な女の子だったからだ。
真司は18歳の男の子で中坊の頃よりは落ち着いたとはいえ、それはそれはエッチしたかったのである。
でも、いざその時が来ると真司は緊張で喉がカラカラになった。
イチゴの庭亭にはちゃんとラブホテルみたいなプライベートエリアがあって、真司たちが持っていたゲーム内マネー、ゴールドで泊まれた。
ベッドが妙にカラフルで、ファンタジーの世界なのに液晶の多機能テレビがあった。
瑠璃子は「はつえっち、はつえっち」と言いながら正拳突きを繰り出していた。緊張すると奇行に走るのは瑠璃子の癖(くせ)だ。
真司も負けてなかった。多機能テレビに備え付けられていたマイクを取るとカラオケをスタートさせ、『愛しのエリー』を熱唱した。声はちょっと裏返っていた。
終わったあと瑠璃子に「それ誰の歌?」と聞かれた。
興に乗ってきた真司が『夏を抱きしめて』を歌おうとしたら「まだ夏じゃないしそんなことしに来たんじゃないんだから」と瑠璃子に止められた。真司は古い歌が好きだった。
カラフルなベッドの上で二人は向き合った。
「僕、エッチは初めてだ」
「私だって初めてだよ」
「痛くないかな?」
「痛くないし、血も出ません」
瑠璃子はきっぱりと言い切った。
「この時のために、ちゃんと保険室の森本先生にたのんであそこを調整してもらったんだから」
「あっ……そうだったんだ。処女処理したんだ」
「だから、本当にエッチしたら血も出るけどVRなら血も出ません」
VRセックスでは実際の肉体には変化は無い。
そのため処女性交で出血や痛みを伴う女性はデジタル処理で処女膜を除去することが多かった。
特定の恋人とだけエッチをする女性より、むしろ奔放にフリーセックスする女性の方がVRでしかエッチをしないと言う人が多い。
明るくあけっぴろげでセックスアピールの強い美人さんが、結婚して妊活すると実はリアルの肉体は処女だったなんてケースも珍しくなかった。
VRセックスは現実の性行為と比べてもほぼ遜色はなかった。しかも完璧な避妊と性病予防を実現している。
だから楽しみのセックスはVRで行うのがこの時代の常識だった。
二人が裸になって向き合うまで、カラオケからまだ十数分を要した。
その情事は情熱的でそれでいて優しく、宴は夜遅くまで続いた。
やっぱり、最初に音を上げたのは瑠璃子だった。
「真ちゃん……私……もうダメぇ」
「うん、もっとしたいけど今日はここまで」
二人ともものすごい汗をかいていた。備え付けの冷蔵庫から冷えたコーラを瑠璃子に渡す。
ぐびっぐびっっと小さな口で瑠璃子はコーラを飲んだ。
真司もペットボトルのコーラをラッパ飲みした。
「真ちゃんありがとう……私今日のことは忘れない」
「僕も忘れないよ。でももっとしよう、もっともっと瑠璃ちゃんを感じたい」
瑠璃子は小さく首肯すると、うれし泣きをしてしまった。どうも最近の彼女は涙腺が緩くてしかたがなかった。
ベッドの上で全裸で二人、横になった。真司の手がそっと瑠璃子の頭を撫ぜる。
目を細めながら瑠璃子が言った。
「今日は良い夢が見れそう……いつも不安になるの、このまま寝たら死んじゃうんじゃないかって」
「僕がそばで見ててあげるよ」
「でも、真ちゃん寝不足になっちゃうよ」
「瑠璃ちゃんの寝顔を見てると疲れが取れるんだ、眠ったみたいに」
それは嘘ではなかった。
やがて瑠璃子はうつらうつらし始め、眠りに落ちていった。
真司はその寝顔をしばらく見ていた。幸せそうな寝顔だった。
瑠璃子が眠ってからしばらくして彼女はログアウトした。脳との接続が切れたのだ。
もしかしたら陽子が瑠璃子をベッドに移したのかもしれない。
それを見届けたあと真司もログアウトした。
明日、また学校で会える。加奈子にもお礼を言わないとな。
そう言えば加奈子もSEXOをやっているような話を聞いた記憶がある。
瑠璃子と真司が通う群青学園高等部の半分くらいの生徒はSEXOプレイヤーだった。
ゲーム研究会を中心に大きなギルドを結成しているという話だ。
瑠璃子はあまりたくさんの人と交流することを望まないが、彼女は実は人気があった。
また少しずつ皆と遊んでもいいかもな。と真司は思うのだった。
かつては18歳にならないとゲームをすることができなかったSEXOも倫理コードにプロテクトをかければ18歳未満でもプレイできるようになった。
もっとも倫理コードにプロテクトがかかっているとVRセックスはできないのだが。
18歳のプレゼントにSEXOを送るって、そう言えばVRセックスしてくださいって誘ってるに等しいな。
そんなつもりはなかったんだが、瑠璃子はどう思ったのだろう、ちょっと恥ずかしくなり赤面してしまう真司だった。
注 アルファポリス版は性描写をカットしております。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる