91 / 136
合同企画スタート(2)
しおりを挟む
笠井さんや理玖くんから一通りの説明を受け、最後にスケジュールの話と担当する内容が振り分けられた。
私と横山くんはアプリの企画を任され、華乃子ちゃんは仕上がった企画書をそのまま実装していく担当となる。
もちろんevolveのエンジニアたちと一緒に制作を進めていくため、少し緊張してきた。
午後からはevolveの社員たちがこの場に来るため顔合わせが予定通り行われるようだ。
こちらの合同企画を私たちは主としてこれから取り組む訳だが、もちろん現在抱えているクライアントの案件を唯斗たちに丸投げする訳ではないため、しばらくは忙しい日々が続きそうだった。
「百瀬さん。よろしくお願いします」
「うん、こちらこそだよ。横山くんのこと頼りにしてる」
「僕も百瀬さんがいてくれて安心しました。1人だったらどうしようって思ってたので」
「企画考える段階では私と横山くんしかうちからは出ないから2人仲良くしよ~」
その後、少しだけ唯斗や直井ちゃんがこなしてくれている案件の仕事をした後、お昼休憩を挟んで約束の14時になるタイミングでevolveから選抜されたメンバーたちがやって来た。
その中にはもちろん横山くんのお父さんや安井さんもいる。
私の隣に立つ華乃子ちゃんはギロリと安井さんを睨みつけるように見つめていた。
「ちょ、見すぎじゃないかな?!華乃子ちゃん」
「ちゃんと牽制しないと。しかも彼女いる男を奪おうと彼女に宣言してくる女なんてろくな人間じゃないんだからこのくらいしないとダメよ」
華乃子ちゃんからはガルルルという声が聞こえてきそうなほどだ。
それが少しおかしくて笑ってしまうと、何笑ってんのよ、と華乃子ちゃんが私の腕を肘でつついた。
「百瀬さん。お久しぶりですね」
「お、お久しぶりです」
笠井さんや横山くんがいるというのに安井さんは真っ直ぐ私の元にやって来た。
あんな一件があったというのに、全く悪びれもせず堂々としているところはもはや尊敬してしまう。
安井さんの話を既にしていたため、私の隣に立つ華乃子ちゃんからはピリピリとした空気を感じた。
そんなことも気にしていないように安井さんは私を真っ直ぐ見つめて微笑んでいる。
理玖くんや笠井さんもヒヤヒヤしたように私に視線を向けているものの、他の社員たちは何も知らないためあまり無下にできない。
冷たい笑顔を張りつけ何を考えているか分からないため少しだけ怖いと感じた。
「百瀬さんと一緒にお仕事ができるなんて嬉しいです。知ってる方がいると安心できますね」
「そうですね。企画成功のためよろしくお願いします」
当たり障りのない会話をしていると、私の隣に立つ華乃子ちゃんからの視線に今気づいたようにそっと顔を向けた。
キリッとした強めな雰囲気の華乃子ちゃんは綺麗に弧を描くように口角を上げて安井さんに微笑む。
「はじめまして、プログラマーの関です。よろしくお願いしますね」
「⋯⋯エンジニアの安井です。よろしくお願いします」
2人の間にはバチバチという音が聞こえるくらい火花が散っているように見えた。
その様子を見て少しだけ面白そうに笑う笠井さんと眉間に皺を寄せた理玖くんの表情が視界に入る。
(なんで面白がってるんだ笠井さんは⋯⋯)
「百瀬さんと親しいんですか?」
「ええ。同期ですし、プライベートでも親交がある友人です。いろんな話をする仲ですよ」
「そうなんですね」
さすがの私にも分かる。
これは間違いなく華乃子ちゃんの安井さんへ対する牽制だ。
その牽制にきっと安井さんも気づいているというのに、終始余裕そうに微笑んでいてその真意が読み取れず怖い。
安井さんは顔立ちはとても整っており美人で人当たりも良いため、他の社員たちにとってはいい仕事相手なんだろう。
だからこそあまり悪い空気にしたくないし、仕事に響かせたくない。
一触即発の寸前のところで私たちに声をかけてきたのは意外な人物だった。
「安井。挨拶はそこまでにしとけ。会議が始まるぞ」
「⋯はい。分かりました」
横山さんに呼ばれた安井さんは大人しく私たちにペコッとお辞儀をして席に戻っていく。
離れていく背中を見つめてふーっと息を吐くと、隣で華乃子ちゃんが難しそうに眉間に皺を寄せていた。
「既に感じ悪いんだけど。人当たりの良さそうな笑顔浮かべて腹の中真っ黒そう」
「ちょ、正直すぎるって華乃子ちゃん」
「いやだって陽葵も見たでしょ?陽葵にあんなこと言ってきたっていうのに、何堂々と話しかけてきてるわけ?!どんだけ神経図太いのよ」
隣で私よりぷんすかしてくれる華乃子ちゃんを見ていると、不謹慎だが嬉しい。
すると私たちの元に理玖くんや笠井さん、そして横山くんが集まってきた。
理玖くんや横山くんが心配そうな顔をする横で笠井さんの口角は少しだけ上がっている。
目の前で起こった出来事が面白かったのか、薄情な人だ。
「百瀬さん大丈夫でした?」
「うん、ありがとう。大丈夫だった」
「陽葵ちゃんがなんか言われて心配してたけど関さんがあまりにもかっこよすぎて。ナイス牽制!」
「あんな人に陽葵を傷つけられたくないですからね!協力しますよ四ノ宮さん」
「ありがとう関さん。頼りにしてるよ!」
なぜか理玖くんと華乃子ちゃんの間に謎の協定が結ばれたのかメラメラと燃えているようだ。
同じ目的に向かう戦友のように謎の絆が生まれた瞬間に立ち会った。
「というか笠井さんなんで楽しそうなんですか」
「いや、悪ぃ。百瀬が頑張ってるなぁと思って」
私と横山くんはアプリの企画を任され、華乃子ちゃんは仕上がった企画書をそのまま実装していく担当となる。
もちろんevolveのエンジニアたちと一緒に制作を進めていくため、少し緊張してきた。
午後からはevolveの社員たちがこの場に来るため顔合わせが予定通り行われるようだ。
こちらの合同企画を私たちは主としてこれから取り組む訳だが、もちろん現在抱えているクライアントの案件を唯斗たちに丸投げする訳ではないため、しばらくは忙しい日々が続きそうだった。
「百瀬さん。よろしくお願いします」
「うん、こちらこそだよ。横山くんのこと頼りにしてる」
「僕も百瀬さんがいてくれて安心しました。1人だったらどうしようって思ってたので」
「企画考える段階では私と横山くんしかうちからは出ないから2人仲良くしよ~」
その後、少しだけ唯斗や直井ちゃんがこなしてくれている案件の仕事をした後、お昼休憩を挟んで約束の14時になるタイミングでevolveから選抜されたメンバーたちがやって来た。
その中にはもちろん横山くんのお父さんや安井さんもいる。
私の隣に立つ華乃子ちゃんはギロリと安井さんを睨みつけるように見つめていた。
「ちょ、見すぎじゃないかな?!華乃子ちゃん」
「ちゃんと牽制しないと。しかも彼女いる男を奪おうと彼女に宣言してくる女なんてろくな人間じゃないんだからこのくらいしないとダメよ」
華乃子ちゃんからはガルルルという声が聞こえてきそうなほどだ。
それが少しおかしくて笑ってしまうと、何笑ってんのよ、と華乃子ちゃんが私の腕を肘でつついた。
「百瀬さん。お久しぶりですね」
「お、お久しぶりです」
笠井さんや横山くんがいるというのに安井さんは真っ直ぐ私の元にやって来た。
あんな一件があったというのに、全く悪びれもせず堂々としているところはもはや尊敬してしまう。
安井さんの話を既にしていたため、私の隣に立つ華乃子ちゃんからはピリピリとした空気を感じた。
そんなことも気にしていないように安井さんは私を真っ直ぐ見つめて微笑んでいる。
理玖くんや笠井さんもヒヤヒヤしたように私に視線を向けているものの、他の社員たちは何も知らないためあまり無下にできない。
冷たい笑顔を張りつけ何を考えているか分からないため少しだけ怖いと感じた。
「百瀬さんと一緒にお仕事ができるなんて嬉しいです。知ってる方がいると安心できますね」
「そうですね。企画成功のためよろしくお願いします」
当たり障りのない会話をしていると、私の隣に立つ華乃子ちゃんからの視線に今気づいたようにそっと顔を向けた。
キリッとした強めな雰囲気の華乃子ちゃんは綺麗に弧を描くように口角を上げて安井さんに微笑む。
「はじめまして、プログラマーの関です。よろしくお願いしますね」
「⋯⋯エンジニアの安井です。よろしくお願いします」
2人の間にはバチバチという音が聞こえるくらい火花が散っているように見えた。
その様子を見て少しだけ面白そうに笑う笠井さんと眉間に皺を寄せた理玖くんの表情が視界に入る。
(なんで面白がってるんだ笠井さんは⋯⋯)
「百瀬さんと親しいんですか?」
「ええ。同期ですし、プライベートでも親交がある友人です。いろんな話をする仲ですよ」
「そうなんですね」
さすがの私にも分かる。
これは間違いなく華乃子ちゃんの安井さんへ対する牽制だ。
その牽制にきっと安井さんも気づいているというのに、終始余裕そうに微笑んでいてその真意が読み取れず怖い。
安井さんは顔立ちはとても整っており美人で人当たりも良いため、他の社員たちにとってはいい仕事相手なんだろう。
だからこそあまり悪い空気にしたくないし、仕事に響かせたくない。
一触即発の寸前のところで私たちに声をかけてきたのは意外な人物だった。
「安井。挨拶はそこまでにしとけ。会議が始まるぞ」
「⋯はい。分かりました」
横山さんに呼ばれた安井さんは大人しく私たちにペコッとお辞儀をして席に戻っていく。
離れていく背中を見つめてふーっと息を吐くと、隣で華乃子ちゃんが難しそうに眉間に皺を寄せていた。
「既に感じ悪いんだけど。人当たりの良さそうな笑顔浮かべて腹の中真っ黒そう」
「ちょ、正直すぎるって華乃子ちゃん」
「いやだって陽葵も見たでしょ?陽葵にあんなこと言ってきたっていうのに、何堂々と話しかけてきてるわけ?!どんだけ神経図太いのよ」
隣で私よりぷんすかしてくれる華乃子ちゃんを見ていると、不謹慎だが嬉しい。
すると私たちの元に理玖くんや笠井さん、そして横山くんが集まってきた。
理玖くんや横山くんが心配そうな顔をする横で笠井さんの口角は少しだけ上がっている。
目の前で起こった出来事が面白かったのか、薄情な人だ。
「百瀬さん大丈夫でした?」
「うん、ありがとう。大丈夫だった」
「陽葵ちゃんがなんか言われて心配してたけど関さんがあまりにもかっこよすぎて。ナイス牽制!」
「あんな人に陽葵を傷つけられたくないですからね!協力しますよ四ノ宮さん」
「ありがとう関さん。頼りにしてるよ!」
なぜか理玖くんと華乃子ちゃんの間に謎の協定が結ばれたのかメラメラと燃えているようだ。
同じ目的に向かう戦友のように謎の絆が生まれた瞬間に立ち会った。
「というか笠井さんなんで楽しそうなんですか」
「いや、悪ぃ。百瀬が頑張ってるなぁと思って」
4
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
禁断溺愛
流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる