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学園祭

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なんだかんだ準備が終わり、学園祭のシーズンとなった。

季節は秋。

秋は美味しい季節であり、景色も美しい。

これからだんだんと寒くなっていけば、色づいた葉が落ちて、一気に冬になっていく。



2-Aはメイド&執事喫茶だ。



生徒会として見回り活動もあるし、ツェルマット嬢はミスコンにも出るので、交代で出番。





「………見るなぁ!!!!俺のリリーをみるなぁ!!!!!」

「もうっ、チャールズ殿下!?」



太ももまで露になったはしたないメイド服の中はペチコートで、白いニーソックスが絶対領域を醸し出している。


真っ白な髪に、黒いリボンのついたカチューシャ。



チャーリーは執事服でだらだらと鼻血を出している。



「もぉおおお、殿下、いくらリリー様が可愛いからってやめてくださいよねっ。」

「そうですよっ。」

クラスメイトに教室から追い出される。

「チャーリーは当番終わったんだから、見回り活動行ってきてよ!僕見回りに行けない分、委員長の分も頑張るんだから!」


プリプリ頬を膨らませて、リリーはチャーリーを追い出した。


自分が一人で見回りに行くのも危ないからダメだと止めたのだ。

だったら、クラスの出し物を頑張りたい。



リリーを可愛らしくノリノリで着飾らせたクラスメイトの令嬢たちも、No1嬢を逃がすわけにはいかないのだ。




学園祭に天使が舞い降りた。







ブラウン王子のいる3-Aの教室は、バザーである。

生徒たちが制作した刺繍や小物類が並んでいる。

普段、刺繍をしない嫁をもらう予定の令息たちも、ちょっとした繕いものは嗜みとして必要だということで、令嬢に習いながらなんとか作った。


「ねえスタンリー。赤ちゃんのお靴できたよ、かわいくない?」

「……あの。まだ、できてないですよね?」


「スタイもかわいいでしょ?」



「できていないですよねっ?」


「…できてたらいいんだけどね、予行練習っていうか。僕ったら母性が早くもあふれ出ているみたい。でも、ベビー用品って売れるんだよ。売り上げは教会に寄付するから、いっぱい売れるといいよね。」



「ブラウン王子って、なんだか表情がますます柔らかくなったような…。」

「気づかないだけで、実は…ってパターンもありますよね。妊夫は気づきにくいし。」


うんうん、とクラスメイトは生暖かく新婚夫夫を見守っている。





そして――――――。






ミスコンでは、初代女王が誕生しようとしていた。
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