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僕と彼女はそんな関係ではありません

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「お父様、僕と彼女はそんな関係ではありません。僕は襲われただけです。」


スタンリーが手を握ってくれて、ブラウンは勇気を出した。

「ほほほ、どちらでもいいですわ。それで、子が出来たのですからどうされますの?」



口紅を引いた真っ赤な唇をにぃっと曲げる。



「サリエルと申したな?ブラウンはそなたと子が出来るわけはないのだ。王家に向かって謀るとは。」


「あら。公平公正な陛下ともあろう方が、碌に調べもせず、この場でそうおっしゃるの?ねえ、みなさま。私が教室でブラウン王子と睦あっているの、ご覧になりましたよね?」



会場がざわつぐが、魅了が解けた生徒たちは首を傾げている。


――――――?何か、おかしい???





「私も、今日は皆に発表があるのだ。出ておいで。」


「はっ。」




会場にいる者が、はっと息をのむ。

暗めのストロベリーブロンドのベリー王子とその背後にブライト騎士団長。


そして、隣国からの客人の王妹の忘れ形見と――――。


「ブラウンも。」



「はい。」


第二王子のブラウンは目を覆っていた布をとり、そしてしっかりと前を見た。


その目は美しい青い宝石。





「隣国の聖女、リリー=ホワイト侯爵により我が息子たちは復活した。よって、今日のこの時をもって、第一王子ベリーが王太子として立太子する。それから、私の妹の忘れ形見であるこのチャールズは、身寄りを無くした故、私の末の王子として養子縁組をした。ブラウンがなぜ、そなたとありえないか…だが。」


陛下はブラウンとスタンリーの手をとり、二人が嵌めているそろいの指輪を皆に見せる。



「緊急事態だった故、皆には事後報告になってしまったが、既に2か月ほど前に第二王子ブラウンは、大司教の祝福も受け、そこのスタンリーの妻となった。スタンリーが王家に婿に来る形で、ゆくゆくはベリーの補佐をすることになる。つまりとっくに男の体とはいえないのに、お前とどうこうなるわけがない。」





「……なっ!?そこの、爵位も見た目もすべてが平凡の地味男と!!!? 何故!」


サリエルの淑女然とした雰囲気が禍々しくなる。


「見た目なんか関係ないの!僕のことを理解して、守ってくれるスタンリーが、僕には一番なんだから!」

ねっ、とぎゅっとスタンリーに抱き着き、背伸びをしてキスを請う。



仕方ないですね、と言わんばかりに、スタンリーはブラウンの腰を抱き寄せて口づけをした。


「きぃぃいいいいいいいい!!!!!!!!!!!」







「ねえ、サリー。もうこんなまどろっこしいこと終わりにしましょう。」


もう一人の黒髪の女が、カツンとヒールを鳴らした。



来た!




「憎い憎い憎い憎いリリー。あなたも、あなたを守るものも、全部ぶち壊してあげるわ。」





顔は違う。

だけど、絶対にあれがスザンナだ。




「そうね……。我らの闇の魔力、とくと見るがいい。」

サリーが手を挙げて合図をする。




黒い髪の黒い軍勢が、城の外を取り囲んだ。
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