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エンディング レオお兄様①
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「もうすぐスノウの卒業式か。早いな。」
いざとなれば、私の妻として家にいてもいいと言ったが、最近のあの子は既に心を決めている気がする。
今日も元気よく学園に登園した。
『お兄様行ってきまーす!』
『気を付けるんだぞー。男はみんな狼だからな!』
『またまたぁー。』
『大丈夫です、レオ様!私が送迎致しますので!』
『いや、スノウは私の馬車で…。』
うーん。
可愛い可愛い、小さな私の天使は私の手のひらから巣立ってしまったようだ。
見送る私も、どこかほっとしていて。
やはり私は『兄』だったのだろうと、心を整理した。
法廷官吏の仕事は、証拠をそろえ、裁判を行うだけではない。
貴族籍の管理や、更生中の者の経過観察も行う。
「やあ。サマンサ様。ご無沙汰しております。今日はシスターの衣装ではないのですね。」
短く切った髪にリボンをして、水色のドレスが良く似合う。
ウイッチ討伐時に妹殿と扮した踊り子も可愛らしかったが、やはりこの女性には清楚なドレスが一番似合うようだ。
そしてその彼女の隣には、王太子の側近であるケント=ダイヤモンド公爵令息がいる。
ふふ、どうやら彼はようやく射止めたらしい。
「はっ……はい。シスターもやりがいをもっていましたが…。彼が、貴族に戻ってもできると。貴族の方が出来ることも多いと…、なので!還俗しても頻繁に教会には顔を出すつもりなのです!」
「司教様とクランベル伯爵の同意書です。お願いします。」
「はい。承りました。すぐに次期ダイヤモンド公爵夫人ですね。お幸せに。」
「私のような傷物に務まるか…。ケント様にご迷惑をおかけするかもしれませんが、精いっぱい努めますわ。」
「両親もサマンサのことを歓迎しています。サマンサと幸せになりますよ。ありがとう。」
2人を見送り、書類の片づけをする。
(いいなあ…。)
ウイッチのせいで不幸になってしまった人たちの中には、命を絶ってしまった者もいるが、彼女たちの分まで二人には幸せになってもらいたい。
さて、と…。
私は途中の人気のパティストリーで菓子を購入し、午後の外勤先へ向かった。
「いらっしゃい、レオ様。」
屋敷から。領地から外へ出ることが出来ない、ルティ。
元カルマン=アップル。
伸びた黒髪は首のあたりで括られている。
同じ顔だが、カルマンの方がずっと美人だ。
いや、ルティと言わねば。
「ルティ。最近はやりのパティストリーの一番人気を買って来た。」
「ありがとう!お茶を淹れますね。」
柔らかく笑えるようになった。
ルティの経過観察として、公爵邸を訪れるのが、最近の私の楽しみだ。
いざとなれば、私の妻として家にいてもいいと言ったが、最近のあの子は既に心を決めている気がする。
今日も元気よく学園に登園した。
『お兄様行ってきまーす!』
『気を付けるんだぞー。男はみんな狼だからな!』
『またまたぁー。』
『大丈夫です、レオ様!私が送迎致しますので!』
『いや、スノウは私の馬車で…。』
うーん。
可愛い可愛い、小さな私の天使は私の手のひらから巣立ってしまったようだ。
見送る私も、どこかほっとしていて。
やはり私は『兄』だったのだろうと、心を整理した。
法廷官吏の仕事は、証拠をそろえ、裁判を行うだけではない。
貴族籍の管理や、更生中の者の経過観察も行う。
「やあ。サマンサ様。ご無沙汰しております。今日はシスターの衣装ではないのですね。」
短く切った髪にリボンをして、水色のドレスが良く似合う。
ウイッチ討伐時に妹殿と扮した踊り子も可愛らしかったが、やはりこの女性には清楚なドレスが一番似合うようだ。
そしてその彼女の隣には、王太子の側近であるケント=ダイヤモンド公爵令息がいる。
ふふ、どうやら彼はようやく射止めたらしい。
「はっ……はい。シスターもやりがいをもっていましたが…。彼が、貴族に戻ってもできると。貴族の方が出来ることも多いと…、なので!還俗しても頻繁に教会には顔を出すつもりなのです!」
「司教様とクランベル伯爵の同意書です。お願いします。」
「はい。承りました。すぐに次期ダイヤモンド公爵夫人ですね。お幸せに。」
「私のような傷物に務まるか…。ケント様にご迷惑をおかけするかもしれませんが、精いっぱい努めますわ。」
「両親もサマンサのことを歓迎しています。サマンサと幸せになりますよ。ありがとう。」
2人を見送り、書類の片づけをする。
(いいなあ…。)
ウイッチのせいで不幸になってしまった人たちの中には、命を絶ってしまった者もいるが、彼女たちの分まで二人には幸せになってもらいたい。
さて、と…。
私は途中の人気のパティストリーで菓子を購入し、午後の外勤先へ向かった。
「いらっしゃい、レオ様。」
屋敷から。領地から外へ出ることが出来ない、ルティ。
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伸びた黒髪は首のあたりで括られている。
同じ顔だが、カルマンの方がずっと美人だ。
いや、ルティと言わねば。
「ルティ。最近はやりのパティストリーの一番人気を買って来た。」
「ありがとう!お茶を淹れますね。」
柔らかく笑えるようになった。
ルティの経過観察として、公爵邸を訪れるのが、最近の私の楽しみだ。
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