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聖女はどこだよ
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スカイ殿下はいいやつで、本当にあちこち教えてくれた。
ボルシチみたいなシチューおいしー。
しかしあの綿毛…。
駄女神め。
助けて、って言うならヒントくらいほしい。
「殿下。このへんで心優しい少女で死にそうなくらい酷い目にあってる子がいるはずなんだけど、心当たりない?」
ないよねー。
ないですよね。
「先ほど来た兄上の婚約者……。」
ん?いるの?
「彼女は2人目で、解消になった令嬢が1人。去年落石事故でモスグリーン公爵が亡くなり、本当の公爵令嬢だったオリーブ嬢の姿が見えなくなった。今の婚約者は、亡くなった公爵が娶った後添えの連れ子でね。血筋から行けば、婚約解消をする必要はないんだが…。オリーブ嬢は『出来損ないの令嬢』だと言われていてね。すっかり、邸に引きこもって姿を見せなくなってしまったんだ。」
スカイ王子は寂しそうな表情をする。
もしかして、兄の婚約者だったから我慢してたけど、大好きだったのだろうか。
「出来損ないというが、多少人よりスローペースなだけだ。出来ないところがあったとしても、彼女は等しく民の幸せを願い、人を恨んだり、誰かのせいにすることない、とても美しい心を持っていた。」
「何よ、何よッ!私のことをブスだなんて、酷いわッ!」
帰ってくるなり、オリーブに真っ赤なドレスを投げつける。
留め金でオリーブは頬を少し切ってしまった。
「聞いてよ、お母様!アンドレ様ったらフェニックス王国の第三王子妃を自分のものにするんだって仰って!私なんか第三王子妃に比べたらブスだって言うのよ!」
「まあ、かわいそうなネイル。大丈夫よ、二人は新婚旅行で世界中を回るらしいの。すぐにいなくなるわ。いなくなれば熱も冷めますよ。」
「そうよね、お母様。でもむしゃくしゃするわ。」
「ッ!」
ネイルはオリーブの髪を掴み、床にたたきつけるとその背を踏みつけた。
「むしゃくしゃするときは二人でパーッとパーティをするに限るわね。」
「お前は愚図で目障りなんだから屋根裏部屋に行きなさいよ!朝まで出てきちゃだめだからね!キャハ!」
……今日もごはん抜き。
オリーブは屋根裏に押し込められる。
隙間風が入り、暖房もない。
ベッドにあるのは薄いシーツだけ。
暖かい服も持っていない。
オリーブは屋根裏に行くと、持っている服やシーツをかき集めて、ベッドの上で縮こまった。
こんな生活が続いたら、いつかお父様やお母様のところへ行けるかしら…。
ボルシチみたいなシチューおいしー。
しかしあの綿毛…。
駄女神め。
助けて、って言うならヒントくらいほしい。
「殿下。このへんで心優しい少女で死にそうなくらい酷い目にあってる子がいるはずなんだけど、心当たりない?」
ないよねー。
ないですよね。
「先ほど来た兄上の婚約者……。」
ん?いるの?
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スカイ王子は寂しそうな表情をする。
もしかして、兄の婚約者だったから我慢してたけど、大好きだったのだろうか。
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「何よ、何よッ!私のことをブスだなんて、酷いわッ!」
帰ってくるなり、オリーブに真っ赤なドレスを投げつける。
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「聞いてよ、お母様!アンドレ様ったらフェニックス王国の第三王子妃を自分のものにするんだって仰って!私なんか第三王子妃に比べたらブスだって言うのよ!」
「まあ、かわいそうなネイル。大丈夫よ、二人は新婚旅行で世界中を回るらしいの。すぐにいなくなるわ。いなくなれば熱も冷めますよ。」
「そうよね、お母様。でもむしゃくしゃするわ。」
「ッ!」
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「むしゃくしゃするときは二人でパーッとパーティをするに限るわね。」
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