最強で美人なお飾り嫁(♂)は無自覚に無双する

竜鳴躍

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オオワシ王国のお城で

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オオワシ王国に着いて、冒険者ギルドにモンスターを納品したら、お城にお呼ばれしてしまった。

新婚旅行の途中だし、人探し中だし、仰々しくしたくなかったんだけど、身バレしたらやっぱこうなるよね。



「これはこれは!フェニックス王国のカナリア殿下にミリオン妃殿下!勇者夫婦でもあるあなた方が我が国に新婚旅行でいらっしゃるとは!どうぞゆっくりしていってください!」

「ありがとうございます。」
僕たちは謁見の間でアルカイックスマイル。



はっはっは、とクラウド陛下は大柄で豪快な方だ。
恰幅が良い、筋肉質な髭のおっさんで熊みたい。


オオワシはそういえば前世ではロシアとか北の方だっけ。

明るい色彩の刺繍がふんだんに施された民族衣装が素敵だ。
みんな帽子を被ってる。

今は夏だから、夏の装いかな。
さっき通って来た道も、冬には雪深くなるだろう。


というか、この世界やっぱり異世界なんだな。
前世の生物に似ていたりするけど、北ならコブラいないしな。



「勇者ミリオンのお噂はかねがね。道すがらキングコブラを倒してくださったとか。ありがとうございます。」

第一王子で王太子殿下のアンドレは、くるくる金髪にルビーのような真っ赤な瞳。


うわあ、僕わかるよ。
この人浮気者で軽薄だ。

僕の手をとって、手にキスされた。うわー、気持ち悪い。


「アンドレ王太子殿下。ミリオンは私の妃ですので。」

「ただの挨拶ですよ?束縛する男は嫌われますよ。こんな狭量な男などやめて、どうです。私など。」


「あぁ、えー。」



「お兄様。婚約者のネイル=モスグリーン公爵令嬢が見えましたよ?」

色素の薄い金髪に青い眼の青年が謁見の間に入ってくる。
彼が弟殿下だと思われるが、どうひいき目に見ても、彼の方がしっかりしている。

しかし、彼の右の腕はなかった。




「おお、これはいけない。それではまた。」


「父上、せっかくですので我が国へ来た記念に、祝いの席を手配しました。急ですので、招集は難しいと思われますが、お会いしたい貴族も多いでしょう。来れる方だけでいいということで招待状を送りました。」


「スカイ。ありがとう。お前に任せておけば安心だな。去年の事故で腕を失わなければ、お前を王太子にしたかったのだが…。」

「そんなことを言ってはダメです。それはそうと、街を案内したいのですが。」


親切だとは思うんだけど、放っておいてくれた方がありがたいんだけど。


立場上、ダメだよねぇ…。





城を出る時、中庭を挟んだ渡り廊下の方で、先ほどの王太子と真っ赤なドレスをつけた派手な女が見えた。

「お気を付けください。兄は、我儘で…、人のものでも気に入ったら奪おうとする悪癖があります。それに、飽きっぽいのです。カナリア殿下なら大丈夫だとは思いますが。くれぐれもご注意を。」


右腕ないくらい別に良くない?

君が次期陛下になった方がいいんじゃない?
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