51 / 77
オオワシ王国のお城で
しおりを挟む
オオワシ王国に着いて、冒険者ギルドにモンスターを納品したら、お城にお呼ばれしてしまった。
新婚旅行の途中だし、人探し中だし、仰々しくしたくなかったんだけど、身バレしたらやっぱこうなるよね。
「これはこれは!フェニックス王国のカナリア殿下にミリオン妃殿下!勇者夫婦でもあるあなた方が我が国に新婚旅行でいらっしゃるとは!どうぞゆっくりしていってください!」
「ありがとうございます。」
僕たちは謁見の間でアルカイックスマイル。
はっはっは、とクラウド陛下は大柄で豪快な方だ。
恰幅が良い、筋肉質な髭のおっさんで熊みたい。
オオワシはそういえば前世ではロシアとか北の方だっけ。
明るい色彩の刺繍がふんだんに施された民族衣装が素敵だ。
みんな帽子を被ってる。
今は夏だから、夏の装いかな。
さっき通って来た道も、冬には雪深くなるだろう。
というか、この世界やっぱり異世界なんだな。
前世の生物に似ていたりするけど、北ならコブラいないしな。
「勇者ミリオンのお噂はかねがね。道すがらキングコブラを倒してくださったとか。ありがとうございます。」
第一王子で王太子殿下のアンドレは、くるくる金髪にルビーのような真っ赤な瞳。
うわあ、僕わかるよ。
この人浮気者で軽薄だ。
僕の手をとって、手にキスされた。うわー、気持ち悪い。
「アンドレ王太子殿下。ミリオンは私の妃ですので。」
「ただの挨拶ですよ?束縛する男は嫌われますよ。こんな狭量な男などやめて、どうです。私など。」
「あぁ、えー。」
「お兄様。婚約者のネイル=モスグリーン公爵令嬢が見えましたよ?」
色素の薄い金髪に青い眼の青年が謁見の間に入ってくる。
彼が弟殿下だと思われるが、どうひいき目に見ても、彼の方がしっかりしている。
しかし、彼の右の腕はなかった。
「おお、これはいけない。それではまた。」
「父上、せっかくですので我が国へ来た記念に、祝いの席を手配しました。急ですので、招集は難しいと思われますが、お会いしたい貴族も多いでしょう。来れる方だけでいいということで招待状を送りました。」
「スカイ。ありがとう。お前に任せておけば安心だな。去年の事故で腕を失わなければ、お前を王太子にしたかったのだが…。」
「そんなことを言ってはダメです。それはそうと、街を案内したいのですが。」
親切だとは思うんだけど、放っておいてくれた方がありがたいんだけど。
立場上、ダメだよねぇ…。
城を出る時、中庭を挟んだ渡り廊下の方で、先ほどの王太子と真っ赤なドレスをつけた派手な女が見えた。
「お気を付けください。兄は、我儘で…、人のものでも気に入ったら奪おうとする悪癖があります。それに、飽きっぽいのです。カナリア殿下なら大丈夫だとは思いますが。くれぐれもご注意を。」
右腕ないくらい別に良くない?
君が次期陛下になった方がいいんじゃない?
新婚旅行の途中だし、人探し中だし、仰々しくしたくなかったんだけど、身バレしたらやっぱこうなるよね。
「これはこれは!フェニックス王国のカナリア殿下にミリオン妃殿下!勇者夫婦でもあるあなた方が我が国に新婚旅行でいらっしゃるとは!どうぞゆっくりしていってください!」
「ありがとうございます。」
僕たちは謁見の間でアルカイックスマイル。
はっはっは、とクラウド陛下は大柄で豪快な方だ。
恰幅が良い、筋肉質な髭のおっさんで熊みたい。
オオワシはそういえば前世ではロシアとか北の方だっけ。
明るい色彩の刺繍がふんだんに施された民族衣装が素敵だ。
みんな帽子を被ってる。
今は夏だから、夏の装いかな。
さっき通って来た道も、冬には雪深くなるだろう。
というか、この世界やっぱり異世界なんだな。
前世の生物に似ていたりするけど、北ならコブラいないしな。
「勇者ミリオンのお噂はかねがね。道すがらキングコブラを倒してくださったとか。ありがとうございます。」
第一王子で王太子殿下のアンドレは、くるくる金髪にルビーのような真っ赤な瞳。
うわあ、僕わかるよ。
この人浮気者で軽薄だ。
僕の手をとって、手にキスされた。うわー、気持ち悪い。
「アンドレ王太子殿下。ミリオンは私の妃ですので。」
「ただの挨拶ですよ?束縛する男は嫌われますよ。こんな狭量な男などやめて、どうです。私など。」
「あぁ、えー。」
「お兄様。婚約者のネイル=モスグリーン公爵令嬢が見えましたよ?」
色素の薄い金髪に青い眼の青年が謁見の間に入ってくる。
彼が弟殿下だと思われるが、どうひいき目に見ても、彼の方がしっかりしている。
しかし、彼の右の腕はなかった。
「おお、これはいけない。それではまた。」
「父上、せっかくですので我が国へ来た記念に、祝いの席を手配しました。急ですので、招集は難しいと思われますが、お会いしたい貴族も多いでしょう。来れる方だけでいいということで招待状を送りました。」
「スカイ。ありがとう。お前に任せておけば安心だな。去年の事故で腕を失わなければ、お前を王太子にしたかったのだが…。」
「そんなことを言ってはダメです。それはそうと、街を案内したいのですが。」
親切だとは思うんだけど、放っておいてくれた方がありがたいんだけど。
立場上、ダメだよねぇ…。
城を出る時、中庭を挟んだ渡り廊下の方で、先ほどの王太子と真っ赤なドレスをつけた派手な女が見えた。
「お気を付けください。兄は、我儘で…、人のものでも気に入ったら奪おうとする悪癖があります。それに、飽きっぽいのです。カナリア殿下なら大丈夫だとは思いますが。くれぐれもご注意を。」
右腕ないくらい別に良くない?
君が次期陛下になった方がいいんじゃない?
108
お気に入りに追加
1,936
あなたにおすすめの小説
騎士は愛を束ね、運命のオメガへと跪く
夕凪
BL
(本編完結。番外編追加中)
サーリーク王国郊外の村で暮らすエミールは、盗賊団に襲われた際にオメガ性が顕現し、ヒートを起こしてしまう。
オメガの匂いに煽られた男たちに体を奪われそうになったとき、狼のように凛々しいひとりの騎士が駆け付けてきた。
騎士の名は、クラウス。サーリーク王国の第二王子であり、騎士団の小隊長でもあるクラウスに保護されたエミールは、そのまま王城へと連れて来られるが……。
クラウスとともに過ごすことを選んだエミールは、やがて王城内で湧き起こる陰謀の渦に巻き込まれてゆく。
『溺愛アルファの完璧なる巣作り』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/504363362/26677390)スピンオフ。
騎士に全霊で愛されるオメガの物語。
(スピンオフにはなりますが、完全に独立した話ですので前作を未読でも問題ありません)
出世したいので愛は要りません
ふじの
BL
オメガのガブリエルはオメガらしい人生を歩む事が不満だった。出世を目論みオメガ初の官僚としてバリバリと働いていたは良いものの、些細な事で体調を崩す様になってしまう。それがきっかけで五年程前に利害の一致から愛の無い結婚をしたアルファである夫、フェリックスとの関係性が徐々に変わっていくのだった。


白熊皇帝と伝説の妃
沖田弥子
BL
調理師の結羽は失職してしまい、途方に暮れて家へ帰宅する途中、車に轢かれそうになった子犬を救う。意識が戻るとそこは見知らぬ豪奢な寝台。現れた美貌の皇帝、レオニートにここはアスカロノヴァ皇国で、結羽は伝説の妃だと告げられる。けれど、伝説の妃が携えているはずの氷の花を結羽は持っていなかった。怪我の治療のためアスカロノヴァ皇国に滞在することになった結羽は、神獣の血を受け継ぐ白熊一族であるレオニートと心を通わせていくが……。◆第19回角川ルビー小説大賞・最終選考作品。本文は投稿時のまま掲載しています。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
運命だなんて言うのなら
riiko
BL
気が付いたら男に組み敷かれていた。
「番、運命、オメガ」意味のわからない単語を話す男を前に、自分がいったいどこの誰なのか何一つ思い出せなかった。
ここは、男女の他に三つの性が存在する世界。
常識がまったく違う世界観に戸惑うも、愛情を与えてくれる男と一緒に過ごし愛をはぐくむ。この環境を素直に受け入れてきた時、過去におこした過ちを思い出し……。
☆記憶喪失オメガバース☆
主人公はオメガバースの世界を知らない(記憶がない)ので、物語の中で説明も入ります。オメガバース初心者の方でもご安心くださいませ。
運命をみつけたアルファ×記憶をなくしたオメガ
性描写が入るシーンは
※マークをタイトルにつけますのでご注意くださいませ。
物語、お楽しみいただけたら幸いです。
番を持ちたがらないはずのアルファは、何故かいつも距離が近い【オメガバース】
さか【傘路さか】
BL
全10話。距離感のおかしい貴族の次男アルファ×家族を支えるため屋敷で働く魔術師オメガ。
オメガであるロシュは、ジール家の屋敷で魔術師として働いている。母は病気のため入院中、自宅は貸しに出し、住み込みでの仕事である。
屋敷の次男でアルファでもあるリカルドは、普段から誰に対しても物怖じせず、人との距離の近い男だ。
リカルドは特殊な石や宝石の収集を仕事の一つとしており、ある日、そんな彼から仕事で収集した雷管石が魔力の干渉を受けない、と相談を受けた。
自国の神殿へ神が生み出した雷管石に魔力を込めて預ければ、神殿所属の鑑定士が魔力相性の良いアルファを探してくれる。
貴族達の間では大振りの雷管石は番との縁を繋ぐ品として高額で取引されており、折角の石も、魔力を込められないことにより、価値を著しく落としてしまっていた。
ロシュは調査の協力を承諾し、リカルドの私室に出入りするようになる。
※小説の文章をコピーして無断で使用したり、登場人物名を版権キャラクターに置き換えた二次創作小説への転用は一部分であってもお断りします。
無断使用を発見した場合には、警告をおこなった上で、悪質な場合は法的措置をとる場合があります。
自サイト:
https://sakkkkkkkkk.lsv.jp/
誤字脱字報告フォーム:
https://form1ssl.fc2.com/form/?id=fcdb8998a698847f
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる