最強で美人なお飾り嫁(♂)は無自覚に無双する

竜鳴躍

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サンドイッチの味

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なんで?

どうして??

グロス様が千歳君で。


ミリオンがユリだったはずだ。

社長令嬢ってだけで皆は表向きちやほやしてたけど、性格は我儘で、えり好みしている間に婚期を逃し、社内の男を漁っている40代の女。

若い頃はそれなりに綺麗だったが、性格の悪さが滲み出て、嫌な年の取り方をして。
派手な化粧が見苦しかった女。

千歳君のストーカー。

刑事にバレて、捕まる寸前だった。
その前に僕は過労で死んだから結末までは見ていないけど。


でも、ミリオンが作ったという目の前のサンドイッチには見覚えがあって。


もしかしたら、僕は今まで間違ってたんじゃないか。


既にミリオンのグラスに毒を仕込んでいるのに。


怖くなって。


サンドイッチを齧って。




その、手作りのマスタードソースの味に。



ああ。


ミリオンが千歳君だったんだ。

どうして、僕は間違ったんだ。

千歳君の親友の資格なんて僕にはない。



必死になって叫んだけど、もうワインは彼の体の中。

崩れ落ちる彼の姿に絶望して。



僕が彼の両親を殺した。

僕が彼を殺した。

何より大切だったはずの彼を。




―――――グロスが、ユリだったのだ。

そう確信しながら、僕ももうその共犯者なのだと。





すぐにかけつけたカナリア殿下は、ミリオンの体を抱きしめた。




僕に彼を愛する資格はない。
愛を語る資格などない。




もしもグロスに騙されなければ。

僕らは従兄弟として、幸せだっただろうか。


彼らから奪った過去の日に、3つ年下の僕は二人の後をついて歩いて、一緒に公爵家の庭で遊んだことがある。



もう、あの関係には戻れない。

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