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婚約発表の夜会の日が来ました

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「ただいまっ。間に合ってよかったぁ。あー、ミリオンだ。ミリオンの匂いがする!」

帰って来たカナリアは僕をぎゅってする。

まだ事故みたいなキスしかしてないけど、ハグは子どもの頃からしょっちゅう。


何日ぶりかに会うカナリアはちょっと乾いた空気の旅の匂いがした。

顔を見上げると、青緑の海の色の瞳が優しく僕を映す。


顔が良いなあ。


僕は美人って言われるけど、カナリアみたいに男らしく整っているのは美丈夫っていうんだろうな。

前世の僕は身綺麗にしてただけで、イケメンと言われたけど自分ではそうは思わなかった。
理想の顔面が間近にあるよ~。

今でも視線は甘いけど、キ、キスする時とか。これ以上甘くとろけた目で見つめられたら、恥ずかしくて直視できないかもしれない。


「カナリア殿下、ミリオン様。夜会の準備を。」


子どもの頃からカナリアと僕を見守ってくれていた使用人の人たちは、そのまま僕たちの離宮で働いてくれている。

素晴らしい手際であっという間に僕たちは煌びやかになった。


カナリアと僕はお揃いの濃紺の正装。
金糸で縁取られて、金のボタンがキラキラしている。
僕の衣装の方はちょっと体のラインに沿ったような細身のデザインで、コートの裾は腰までだけど、ウエストコートの生地は柔らかいもので、裾が長く、ドレスのように歩くとふわりと靡く。

公式の場では、長男(王太子)が赤系、次男が緑系、三男が青系って昔から色分けされているのだそう。
子どもたちそれぞれに似合う色で、王妃様が決めたんだって。

確かに髪の色も目の色も同じで三人とも遠目ではよく似ているものね。

それで陛下と王妃様は白と。


カナリアは僕が獲ったアンシェントドラゴンの爪を磨いて作ったブローチ。
僕は人魚の泪のブローチ。

うん、なかなかいいんじゃない?



「可愛い………。美の女神がここにいる…っ。ああ、どうしよう、誰にも見せたくないっ。」

「馬鹿なこと言わないでよ。婚約したって発表しないといけないんだから。結婚式だって二人っきりで挙げるわけじゃないでしょ!」

「僕のミリオンが脳内で犯されたらどうしよう…。魔法で皆の視覚を奪うか…!?」

「一時的にもそんなことしたら混乱が起きるから我慢しようね。」


カナリアに手を差し出し、エスコートを要求する。


カナリアも腕を曲げて。


そうそう、まずは陛下たちのとこへ行こう。



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