【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

新章 溺愛編

ジャホンまでの定期航路

タケルに手紙を送ったから、きっとこうなるって思ってた。


手紙を送って１か月で、ジャホンとの定期航路ができたのだ。



お母さまは復職したし、一人でジャホンに行くことにした。


タケルは僕より２歳上だから、もう８歳になるのかな。




ザオラルは寂しがってたけど、この間タケルにだけ会ってないし、一番僕に会えないんだから、ごめんね。って言ってきた。

一人で行くのはいいけど、帰りは迎えにきてくれるそうだ。

オーロラ母さんと迎えに来るらしい。




一番会えない分。きっと大人になっても、一番一緒にいられない分。

会える時は１対１で会ってやりたいと思う。




「アリスさまっ…！」


籠に乗って迎えに来たタケルは、きれいになっていた。

髪の毛は腰まで伸びて、黒い目がキラキラしている。



「よくぞ、おいでくださいました！」


「君と一緒にいたいから、今回は一人で来たよ。お父様もいない、僕だけだ。」


「うれしいです…。ここにいる間は、私がアリス様を独り占めできるのですね。」


頬を染める。可愛いなと思う。




「それにしても、紅い葉っぱが落ちてきれいだね。以前来た時も思ったけれど、ここは美しい国だ。」


「レッドキングダムやサウス王国とも文化圏が違います。四季がはっきりしていて、風情を愛でる文化ですから。」




タケルは、国のきれいなところ、他とは違うところを案内してくれた。

彼は、彼なりによく国をまわしている。



ただ、害獣駆除には悩まされているようだ。




「僕が倒してこようか？」



「ありがとうございます、うれしいです！」


で、どんな害獣なの？



「大きなヒヒです。田畑を荒らし、女や子どもを食い殺すのです。討伐隊も出しているのですが、みな返り討ちにあってしまって…。」




分かったよ、君の憂いは僕が取り除いてあげる。




だって、君にはこれから、うんと我慢を強いてしまうことが分かってるんだもの。




僕が大きくなるまで、先に大人になるのに、さらに待たなければならない。

王なのに、嫁になって。

遠い国にいる男の子を孕んで、一人この地で育てなければならない。

僕は、めったには来られない。




君に一番つらい思いをさせてしまうんだから。