【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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本編

城は魔物の腹の中

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メイドとして潜入したので、武器はもってこれなかった。

女王は恐ろしい人で、どこから情報が洩れるかもしれないという。

城の中には人は少なく、人目もさほどなかったが、念のために注意しながら、俺は、掃除をするふりをして、城の中を探っていた。



城の中は、結婚式の準備をしている。

食事を持っていくとき、アイスのことを魔王様と呼んでいた。

女王は魔王と結婚しようとしている。

何故か分からないが、アイス=魔王らしい。

そして、女王は、アイスを夫にしようとして…。


そんなことはさせない。


牢屋を壊して、アイスを取り返すのは簡単だったが、女王はここでつぶしておかねばならない。

そのためには、戦力や城の内情をもう少し探っておきたい。



女王の玉座。


女王が寝てる隙に忍び込み、玉座の裏の御簾の中を確認しておかなければ。


なんか、あそこから、一番危険なにおいがする…。




その時。





御簾の奥から、モンスターの群れが湧いた。



植物モンスターの触手、キマイラの尾の蛇、翼竜の牙。

「!!!!!!!」


後ろに飛んで、攻撃をかわす。


そのとき。


カツカツとした靴音を響かせて、寝ているはずの女王が現れた。

従えている細身の男は目を伏せ、眼帯の男は拘束したアイスを床に投げ捨てる。

「なかなか身のこなしはやるじゃない。ただの女にしては。」


「その御簾の中は…!」

「ふふっ、魔王様が生前遺した、モンスターの合成室よ!ここで獣は生まれ変わるの!素敵でしょう?
私は、その子たちのさしずめ母親といったところかしら?」


モンスターの発生源は、この国だったのか…!


俺は、モンスターの群れの攻撃をよけながら、話を聞いていた。


「ああん、もう!じれったいわね!」

「ぐっ!」

女王が、アイスの首に刃をあてる。



「大人しく、捕まりなさい! でないと、この人を傷つけちゃうわよ!」


「は、お前にだってできるもんか! アイスが大事なんだろ!!」

「あら、できるわよ?即死じゃなければいいんだもの。 私が大事なのは、この入れ物に宿っている魔王様の魂だわ。それに、すぐにモンスターと合成してやるから、復活できるんだから!」


くっ…!

「いうことをきかなくていい…!クリス!!」

アイスが叫ぶが、眼帯の男に殴られる。


俺は動きを止めた。


すると、女王は指を鳴らしてモンスターを下がらせ、周囲に控えていた鎧の兵士たちに俺を拘束させる。

何を考えている?


「さぁ、あなたにはこの人の目の前で穢されてもらいましょう。ふふふ、楽しみだわあ…。」


何だって?


アイスも驚き、俺に向かって何か叫んでいるが、聞こえなかった。


「そういう嗜好なら、俺にやらせてもらえないですかね。なかなか、よさそうな女だ。」

眼帯の男が、俺を厭らしい目で見る。


「ああ、いいわよ?」


「やめろ!やめてくれ!」 アイスが叫ぶ。

「負け犬。」

眼帯の男は、アイスを見下ろし、俺の体に覆いかぶさった。





「…っ、いやっ、いやあああっ、」

俺は、眼帯の男に揺さぶられている。

視線の先のアイスは目を伏せていて、女王は笑っている。

「み…見ないでっ…。いやあ…」

男が達して、俺の足から伝うのをみて、女王は高笑いをした。


「どう?魔王様? もうあんな汚れた女なんかどうでもいいでしょう!?」


「なかなかいい女でしたよ? 女王様、せっかくですから近くで見せてやったらどうですか?そいつに。」

「そうね、マシュー。アイス様を連れてきて、見せてやって頂戴。」


マシューがアイスを連れてくる。

俺と眼帯の男は、ぱっと体を離して、アイスを保護した。


「!!?」
アイスが目を白黒させている。


「本当に分からなかったの? 記憶だって何も飛ばなかったでしょ?」


「ちょ、ちょっと…! どういうことなの!?」


鎧の兵士はマシューを保護し、俺は兵士から俺の武器を受け取った。



「レッドキングダム、斥候部隊長、神速のクリス=アッシュフォード! ここで、お前を倒し、スノーフォレストとアイスを開放する!!!」

「同じく、副部隊長・ミカエル=ホーリーランド。ことをなすには、じっくり欺かないとね!」

化粧をぬぐって、素顔になって反撃開始だ!!
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