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本編
私の嫁はカッコいい(挿絵あり)
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「くっ!私の可愛い魔物たち!! あいつらを咬み殺すわよ!!」
アイスをミカエルに任せて、俺は二本の剣を構える。
植物の触手は躱しながら、その根を断ち、キマイラは毒の尾を躱しながら、翼をまずは切り裂く。
「キエエエエエエエエエエエエエ!」
魔物の断末魔を聞きながら、次々現れるモンスターをせん滅させていく。
ミカエルは今、弓を持っていないが、この国で調達した銃に魔物の動きをマヒさせる薬剤を含んだ弾丸を打ち込んで、援護してくれている。
「兵士!兵士は何をやっているの!! そこのは寝返ったようだけど、お前らの家族をこちらが握っているのを忘れたの!? そいつらに好きにさせないで頂戴!」
どんどんこちらを襲う個体が少なくなっていくのを、焦りで見つめ、女王が叫んだ。
育成しているモンスターも、底があるようだ。
「残念でした~! あなたは城の中には根を張っているけど、外にはなかったわよね? あなた怖さにちょいちょい逃亡する振りをかましながら、全員、うちの部隊と入れ替え済みよ! ちなみに国民も今頃、ぜーんぶうちの嫁が国外に出しているわ!!」
ミカエルがちらっとマシューを見る。
「マシュー…?」
アイスが首を傾げている。
「私は、この国を魔女から解放する期を図っていました。そして、あなたも救いたかった。」
「くうウウウウウウウウウウっ!!!!」
こうしている間にも、あの忌々しい男嫁が、場にいるモンスターを全て斬り伏せる。
「なんなの、なんなのよ!」
ダメだ、まずい! このままでは、魔王様が遺してくれたものが…!!
御簾の中に飛び込んだ女王の後を追いかける。
俺は、すっかりモンスターの体液で血濡れだ。
「ひぃい!」
「これは・・・・」
中には、よくわからない機械と、獣や人の体の一部が保存されていた。
これが、モンスターの材料、なんだろう。
目を細めて、剣を振る動作をする。
「させないっ!」
女王が影を伸ばして、俺の動きを止めようとする。
しかし、俺は跳んで、女王よりも早く、彼女の首をはねた。
「かっ…
血しぶきが跳び、永遠の命を得た、不老の女が、死を迎えようとしていた。
俺の心は冷ややかだ。
<こいつ…こいつの目 どこかで…。 あっ…… 3百年前の…>
女王は、灰になって消えた。
御簾の中のものは、すべて剣で打ち砕いた。
野に放たれているモンスターはまだ残っているが、これで、ここから新たに生まれてくるものはないはずだ。
「ふーーー。」
終わった。
これで、アイスはもう、この国から狙われることはない。
女王を追いかけて御簾の中へ走っていったクリスが戻ってきた。
メイド服はボロボロで、血濡れだ。すべて、始末できたらしい。
「アイス…!」
駆けよってきたクリスを抱きとめる。
「クリス!」
ずっと、ずっと抱きしめたかった。
だが、私には言わなければならないことがあった。
「クリス…。私には魔王の魂が入っている。いつか、目覚めてしまうかもしれない…。」
「大丈夫。そうしたら俺がアイスを殺すから。」
「クリス…。」
「アイスごと剣で貫いて、俺も一緒に死ぬ。」
なんてことを言うんだ。
君に殺されるなら、私は本望だけど、君には生きていてほしい。
「ま、俺が死ぬのがいやだったら、死ぬ気で一生、魔王の魂に抗ってよね?」
ニッコリ笑った私の奥さんは、本当に世界一カッコいい。
「それはそうと…。ミカエル! 敵を欺くためとはいえ、よくも私のクリスに…!」
「してない、してない!!あれは素股だってば! ていうかたたせるのも出すのも苦労したんだから!
弟みたいに可愛がってるクリスに私が欲情するわけないでしょうが!!ハデスで妄想するの大変だったのよ!」
気になるんだったら、この町にもそういうホテルあるから消毒してくればいいでしょ!!
アイスがじっと、俺を見ている。
あっ、今日寝れないやつ。
アイスをミカエルに任せて、俺は二本の剣を構える。
植物の触手は躱しながら、その根を断ち、キマイラは毒の尾を躱しながら、翼をまずは切り裂く。
「キエエエエエエエエエエエエエ!」
魔物の断末魔を聞きながら、次々現れるモンスターをせん滅させていく。
ミカエルは今、弓を持っていないが、この国で調達した銃に魔物の動きをマヒさせる薬剤を含んだ弾丸を打ち込んで、援護してくれている。
「兵士!兵士は何をやっているの!! そこのは寝返ったようだけど、お前らの家族をこちらが握っているのを忘れたの!? そいつらに好きにさせないで頂戴!」
どんどんこちらを襲う個体が少なくなっていくのを、焦りで見つめ、女王が叫んだ。
育成しているモンスターも、底があるようだ。
「残念でした~! あなたは城の中には根を張っているけど、外にはなかったわよね? あなた怖さにちょいちょい逃亡する振りをかましながら、全員、うちの部隊と入れ替え済みよ! ちなみに国民も今頃、ぜーんぶうちの嫁が国外に出しているわ!!」
ミカエルがちらっとマシューを見る。
「マシュー…?」
アイスが首を傾げている。
「私は、この国を魔女から解放する期を図っていました。そして、あなたも救いたかった。」
「くうウウウウウウウウウウっ!!!!」
こうしている間にも、あの忌々しい男嫁が、場にいるモンスターを全て斬り伏せる。
「なんなの、なんなのよ!」
ダメだ、まずい! このままでは、魔王様が遺してくれたものが…!!
御簾の中に飛び込んだ女王の後を追いかける。
俺は、すっかりモンスターの体液で血濡れだ。
「ひぃい!」
「これは・・・・」
中には、よくわからない機械と、獣や人の体の一部が保存されていた。
これが、モンスターの材料、なんだろう。
目を細めて、剣を振る動作をする。
「させないっ!」
女王が影を伸ばして、俺の動きを止めようとする。
しかし、俺は跳んで、女王よりも早く、彼女の首をはねた。
「かっ…
血しぶきが跳び、永遠の命を得た、不老の女が、死を迎えようとしていた。
俺の心は冷ややかだ。
<こいつ…こいつの目 どこかで…。 あっ…… 3百年前の…>
女王は、灰になって消えた。
御簾の中のものは、すべて剣で打ち砕いた。
野に放たれているモンスターはまだ残っているが、これで、ここから新たに生まれてくるものはないはずだ。
「ふーーー。」
終わった。
これで、アイスはもう、この国から狙われることはない。
女王を追いかけて御簾の中へ走っていったクリスが戻ってきた。
メイド服はボロボロで、血濡れだ。すべて、始末できたらしい。
「アイス…!」
駆けよってきたクリスを抱きとめる。
「クリス!」
ずっと、ずっと抱きしめたかった。
だが、私には言わなければならないことがあった。
「クリス…。私には魔王の魂が入っている。いつか、目覚めてしまうかもしれない…。」
「大丈夫。そうしたら俺がアイスを殺すから。」
「クリス…。」
「アイスごと剣で貫いて、俺も一緒に死ぬ。」
なんてことを言うんだ。
君に殺されるなら、私は本望だけど、君には生きていてほしい。
「ま、俺が死ぬのがいやだったら、死ぬ気で一生、魔王の魂に抗ってよね?」
ニッコリ笑った私の奥さんは、本当に世界一カッコいい。
「それはそうと…。ミカエル! 敵を欺くためとはいえ、よくも私のクリスに…!」
「してない、してない!!あれは素股だってば! ていうかたたせるのも出すのも苦労したんだから!
弟みたいに可愛がってるクリスに私が欲情するわけないでしょうが!!ハデスで妄想するの大変だったのよ!」
気になるんだったら、この町にもそういうホテルあるから消毒してくればいいでしょ!!
アイスがじっと、俺を見ている。
あっ、今日寝れないやつ。
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