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兄の救出作戦

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「そんな……兄上が………。」

「何ということだ!」


俺は、ベネディクトの記憶の兄を思い出す。

学問は優秀で、語学力もあり。
魔法はあまり得意ではなかったけれど、その分剣才があったから、剣に魔法を乗せた魔法剣の使い手。

ベネディクトは家族との交流も乏しかったから、あまり思い出もなかったが、今なら分かる。

彼らは自分たちがアルファだから、万が一にも愛しい俺を襲いたくなくて、避けてたんだ。

嫌われてる、醜いと、自己肯定感が低く、いつも自信のなかった俺と違い、いつも自信にあふれ、キラキラしていた。

蜂蜜色の金髪に、母の面影もある甘い端正な容姿。


一度だけ、優しくしてもらった。


俺があまりにも、俯いていたから。
頭を撫でてくれた。

あれは、なんて言ってくれたんだっけ。


《ベネディクト、大丈夫。私たちが守るから。嫌ってない。愛しているんだよ。ごめんね、ベネディクト……。》




胸の奥が熱くなる。


「それで、兄はどこへ捕えられて?!」

「城の牢などには、おられなんだが。」


「王の寝室ですよ。」



衝撃を受けた。

魔法がかけられていなかったら、俺がそうなっていたはずなのに。


「取り返そう。」


そういうと、レイもグリーンも頷いてくれた。







ただ。

痛みと、時が過ぎるのをやり過ごすだけ。


禄に動かせなくなった身体は、そのうち筋肉が衰えて、細くなってしまうんだろう。

毎日、抱かれるだけ。

弟だけは、無事でいて欲しかった。




ガッ!




突然、躰の上の重さが消え、ズルリと嫌なものが出ていく。

「うぅ………! 誰だッ!!」

叔父が叫ぶ。


恐る恐る目を開けると、そこには顔まで黒い布で覆った男が三人。



「いつの間に! 曲者め!! おい!であえ!」


叔父はサッとバスローブを羽織ると、私にシーツを被せて隠し、兵士を呼ぶ。

何が起きているのか、起こるのかわからない。


黒い男の一人が、私をシーツごと剣で貫いた。

痛み、熱。

痛みが強いと、意外と痛さを感じないことを知る。


「この………ッ、よくも!」

あいつが狼狽える。


ははは。私は、死ねるのだな。
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