82 / 195
止まない雨-眞司の章-
25
しおりを挟む
あれからも優紀の態度は変わらない。
俺のあんな姿を見たくせに。
俺が気を失った後の姿も見たのだろうか………?
優紀の態度からは分からない。
かといって、優紀に聞くわけにもいかないし。
(…見られたかもしれない……)
『…兄ちゃ……もっと…もっと…兄ちゃ……いいよぅ…』
兄貴に犯されながら甘え、キスをねだる………。
前に兄貴に見せられた自分の姿を思いだして吐き気を覚える。
慌てて口を手で押さえると、トイレに駆け込む。
………最近はいつもこうだ。
あの日…俺が気を失った後の事を思い出そうとすると、頭が痛くなり吐き気がする。
だから、優紀の顔を見ている事が辛くて雅樹に会いに行く。
天使みたいな雅樹。
雅樹と会っている時は優紀の事も、兄貴の事も忘れる事ができる。
でも、優紀の事も気になってしまい…結局、夜になると優紀のいる部屋に戻ってしまう。
その事を知った和巳には怒られ、殴られた。
『いい加減にしろ!!いつまで優紀をお前に縛り付けておくつもりだ!!』
そう言って。
『雅樹が好きなら好きでいいさ。ただ、それならそうとハッキリ優紀に言ってやれ。いつまでもお前に縛り付けておくな…そして優紀を自由にしてやれ』
(分かっているさ)
唇の端を切って戻ってきた俺を見て優紀は心配してきたが、俺は優紀に世話を焼かれるのが鬱陶しくて優紀を殴ってしまった。
俺に殴られ、倒れ込んだ優紀を見て唇を噛む。
(このままじゃ駄目だ)
分かっている。
分かっているんだ。
でも。
認めたくはないが…優紀はもう、俺にとってただのペット以上の存在になっている。
優紀が俺の中でペット以上の存在になっているなんて認めたくはなかった。
……………ペットはペットだ。
それ以上でも、それ以下でもない。
雅樹とどちらが大切かなんて、考えるまでもない。
だから、俺自身の自由と引き換えに優紀を兄貴に玩具として差し出す。
つもりだった。
その為に優紀をペットとして側に置いた。
はずだった。
それなのに。
俺は優紀を兄貴に差し出すどころか、ひとりで兄貴に会いに行き土下座して自由にしてくれと頼み込んだ。
もう、認めないわけにはいかない。
優紀は俺の中で、確かにペット以上の存在になっている。
悔しいけれど。
でも、優紀と雅樹、どちらかを選べと言われたら。
答は決まっている。
それに、いつまでもこのままというわけにもいかない事も分かっている。
俺は、雅樹を選んだのだから。
俺のあんな姿を見たくせに。
俺が気を失った後の姿も見たのだろうか………?
優紀の態度からは分からない。
かといって、優紀に聞くわけにもいかないし。
(…見られたかもしれない……)
『…兄ちゃ……もっと…もっと…兄ちゃ……いいよぅ…』
兄貴に犯されながら甘え、キスをねだる………。
前に兄貴に見せられた自分の姿を思いだして吐き気を覚える。
慌てて口を手で押さえると、トイレに駆け込む。
………最近はいつもこうだ。
あの日…俺が気を失った後の事を思い出そうとすると、頭が痛くなり吐き気がする。
だから、優紀の顔を見ている事が辛くて雅樹に会いに行く。
天使みたいな雅樹。
雅樹と会っている時は優紀の事も、兄貴の事も忘れる事ができる。
でも、優紀の事も気になってしまい…結局、夜になると優紀のいる部屋に戻ってしまう。
その事を知った和巳には怒られ、殴られた。
『いい加減にしろ!!いつまで優紀をお前に縛り付けておくつもりだ!!』
そう言って。
『雅樹が好きなら好きでいいさ。ただ、それならそうとハッキリ優紀に言ってやれ。いつまでもお前に縛り付けておくな…そして優紀を自由にしてやれ』
(分かっているさ)
唇の端を切って戻ってきた俺を見て優紀は心配してきたが、俺は優紀に世話を焼かれるのが鬱陶しくて優紀を殴ってしまった。
俺に殴られ、倒れ込んだ優紀を見て唇を噛む。
(このままじゃ駄目だ)
分かっている。
分かっているんだ。
でも。
認めたくはないが…優紀はもう、俺にとってただのペット以上の存在になっている。
優紀が俺の中でペット以上の存在になっているなんて認めたくはなかった。
……………ペットはペットだ。
それ以上でも、それ以下でもない。
雅樹とどちらが大切かなんて、考えるまでもない。
だから、俺自身の自由と引き換えに優紀を兄貴に玩具として差し出す。
つもりだった。
その為に優紀をペットとして側に置いた。
はずだった。
それなのに。
俺は優紀を兄貴に差し出すどころか、ひとりで兄貴に会いに行き土下座して自由にしてくれと頼み込んだ。
もう、認めないわけにはいかない。
優紀は俺の中で、確かにペット以上の存在になっている。
悔しいけれど。
でも、優紀と雅樹、どちらかを選べと言われたら。
答は決まっている。
それに、いつまでもこのままというわけにもいかない事も分かっている。
俺は、雅樹を選んだのだから。
10
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる