僕が玩具になった理由

Me-ya

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止まない雨-眞司の章-

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あれからも優紀の態度は変わらない。

俺のあんな姿を見たくせに。

俺が気を失った後の姿も見たのだろうか………?

優紀の態度からは分からない。

かといって、優紀に聞くわけにもいかないし。

(…見られたかもしれない……)

『…兄ちゃ……もっと…もっと…兄ちゃ……いいよぅ…』

兄貴に犯されながら甘え、キスをねだる………。

前に兄貴に見せられた自分の姿を思いだして吐き気を覚える。

慌てて口を手で押さえると、トイレに駆け込む。

………最近はいつもこうだ。

あの日…俺が気を失った後の事を思い出そうとすると、頭が痛くなり吐き気がする。

だから、優紀の顔を見ている事が辛くて雅樹に会いに行く。

天使みたいな雅樹。

雅樹と会っている時は優紀の事も、兄貴の事も忘れる事ができる。

でも、優紀の事も気になってしまい…結局、夜になると優紀のいる部屋に戻ってしまう。

その事を知った和巳には怒られ、殴られた。

『いい加減にしろ!!いつまで優紀をお前に縛り付けておくつもりだ!!』

そう言って。

『雅樹が好きなら好きでいいさ。ただ、それならそうとハッキリ優紀に言ってやれ。いつまでもお前に縛り付けておくな…そして優紀を自由にしてやれ』

(分かっているさ)

唇の端を切って戻ってきた俺を見て優紀は心配してきたが、俺は優紀に世話を焼かれるのが鬱陶しくて優紀を殴ってしまった。

俺に殴られ、倒れ込んだ優紀を見て唇を噛む。

(このままじゃ駄目だ)

分かっている。

分かっているんだ。

でも。

認めたくはないが…優紀はもう、俺にとってただのペット以上の存在になっている。

優紀が俺の中でペット以上の存在になっているなんて認めたくはなかった。

……………ペットはペットだ。

それ以上でも、それ以下でもない。

雅樹とどちらが大切かなんて、考えるまでもない。

だから、俺自身の自由と引き換えに優紀を兄貴に玩具として差し出す。

つもりだった。

その為に優紀をペットとして側に置いた。

はずだった。

それなのに。

俺は優紀を兄貴に差し出すどころか、ひとりで兄貴に会いに行き土下座して自由にしてくれと頼み込んだ。

もう、認めないわけにはいかない。

優紀は俺の中で、確かにペット以上の存在になっている。

悔しいけれど。

でも、優紀と雅樹、どちらかを選べと言われたら。

答は決まっている。

それに、いつまでもこのままというわけにもいかない事も分かっている。

俺は、雅樹を選んだのだから。
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