僕が玩具になった理由

Me-ya

文字の大きさ
29 / 195
ずれてゆくこわれてゆく-優紀の章-

28

しおりを挟む
「一緒に住むか」

「………え?」

眞司に指示され引っ越しの手伝いをしている時、不意に言われた言葉に僕は思わず聞き返してしまった。

-昨夜、殴られ蹴られ気を失うまで犯されて…まだ躰の節々が痛いし、縛られた後も生々しく残っているし、躰の中…切れた処も奥も…尿道だってまだ痛い。

…少し微熱もあるかもしれない…。

本当は今日1日寝ていたい。

だが、朝早くから引っ越しをするからと叩き起こされ、手伝わされている。

だから…つい、ぼんやりしていて…眞司の言葉を聞き逃してしまった。

「だから、一緒に住むかって言ったんだよ。その方が何かと便利だしな」

「………え………」

「その方が何かと便利だろ…尿道も毎日、開発してやらないとだし…壊れないように…アハハ…昨夜の優紀、サイコーだったぜ。スイッチ入れた途端、白目剥いて『壊れる~、ちんぽが壊れる~』だもんな』

眞司がゲラゲラ笑っている姿を、僕はボンヤリ見ていた。

…どうやら僕が眞司と一緒に住む事は決定事項らしい…。

僕が家族と一緒に住んでいるなんて事は眞司の頭の中にはないんだろうな…眞司が腹を抱えて未だにゲラゲラ笑っている姿を見詰めながら、ボンヤリと家族の顔を思い浮かべていた。

…弟ばかり可愛がる両親。

まるで僕など居ないかのように。

そして、勝ち誇ったかのように僕を見る弟。

あの家から僕が居なくなっても、誰も困らない。

…いや、居ない事に気付きもしないかもしれない。


(…って、家族の事なんかどうでもいい)

-今日から僕は眞司と一緒に住む。

今まで以上に眞司の傍に居る事ができる。

それは僕にとっては、まるで夢みたいな話だった。

…たとえ、便利に使われているとしても。

たとえ、利用されているだけだとしても。

たとえ、金蔓としか思われていなくても。

たとえ…ペットとしてしか思われていなくても。

眞司の傍に居られるのなら…。

(それでいい…)
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

処理中です...