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兄の物語[4]挑むことには賛成

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ささっと受ける依頼を決め、受理してもらった四人は直ぐにギルド内から退室。

バルガス行った行動はどこの冒険者ギルドで行われている日常茶飯事。
特別驚かれる行動ではないが……クライレットたちは冒険者ギルドに入ってきた時点から、同業者からの注目を集めていた。

彼等は特別横柄な態度で現れたりはしてない。
しかし……身に纏う空気が年齢不相応であり、ここ最近見ない顔であるため、新顔であることが解かる。

そんな同業者が現れたとなれば、一先ず警戒してしまうのも無理はない。
同業者たちの考えを同じ冒険者として解る部分はある……解っているからこそ、面倒が起こる前にギルドから速足で立ち去った。

「それにしても、あの声を上げた人たち、特に文句を言ってこなかったわね」

「声を? …………あぁ~~。いたようないなかったような……玉無しなんじゃねぇか?」

「あんたはまた直ぐ……ドーウルスは他の街と比べて冒険者の数が多いから、いつもより早く絡まれるかと思ったわ」

「……多分、滞在する。もしくは拠点にしている冒険者が多いからこそ、あまり僕たちみたいなパーティーが珍しくないのかもしれない」

己の実力に自信を持っているからこそ、自分たちみたいなパーティーがそんなに幾つもいてたまるか……といった言葉が零れそうになったが、既にクライレットの弟……ゼルートという諸々とあたまおかしい存在が訪れていたため、そこまで珍しくないという理由に納得。

「ん~~~……でも、高確率で後々絡まれるよね」

「クライレット! そうなった時は、遠慮なしにぶっ飛ばして良いんだよな!!!」

全くもって良くないが、冒険者たちは基本的に揉め事を犯した場合、そういった方法で解決するのが楽だという結論に至る。

「そうだね…………もし、話しても相手の感情が収まらないのであれば、そうするしかないだろうね。ただ、今回は僕がその役目を行うよ」

珍しいリーダーの提案。

やる気満々だったバルガスとしては何故? という疑問が大きかったが……クライレットがその気というのは、非常に珍しい。
それはバルガスにとってワクワクする流れだった。


「ふ~~~ん……ザコでも、多少は他の場所で生息してる奴らより強いみたいね」

森に入って目的の果実を探し始めてから数十分、ペトラたちの足元にはコボルトの死体が複数転がっていた。

「油断禁物、だね」

「俺としては、せめて上位種が出てきて欲しかったな。そっちの方が体が暖まるぜ!!」

バルガスのバカ発言には三人共慣れているため、その場でツッコムことはなかった。

「つーか、やっぱりあれか。クライレットとしては、オークキングと戦ってみたいか?」

「ん? ……あぁ、そういう事か。そうだね……ふふ、戦えるなら戦ってみたいね」

かつてゼルートがこの地で倒した強敵、オークキング。
弟からその肉は涎が出るほど美味いという話も聞いてるため、運良く遭遇できたのであれば、絶対に逃がさず仕留めたい獲物の一体である。

「オークキングねぇ……運良くそういう個体が一体だけで行動してるかしら?」

「そうだね。王なんだから、それなりに強い配下を連れてそうだよね」

フローラやペトラとしても、クライレットがソロでオークキングに挑むのを止めようとは思わない。
今のクライレットであれば寧ろ高確率で勝てるという期待があった。

しかし、そのキングに大量の配下が居るとなれば話は別である。

「それもそうか。二体とか三体とかならあれだけど…………うん、そうだな。なんだかんだで俺たちだけじゃちょっと無理か」

バルガスはクライレットが弟から貰った錬金獣の強さを知っている。

あまり学がなく、賢くはないバルガスでも……あれはヤバいという正常な感覚が働いた。

「ッ、またお客さんが来るぜ!」

「そうみたいね」

バルガスの鼻とペトラの耳がほぼ同時に察知。
四人は即座に武器を構え、戦闘態勢を取った。
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