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少年期[604]二つ持ってるからこそ
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「黒曜金貨八枚、丁度や」
「……確かに黒曜金貨八枚、受け取った」
鑑定眼を使用して本物かどうかを調べて確認したゼルートはそれをアイテムバッグの中にしまった。
「お前さん、そんなスキルまで持っとるんか」
「多芸が俺の特徴なんでな」
自分が鑑定系のスキルを持っていることは既にバレていると確信しているので、特に慌てることなく素直に答える。
(多芸って……いや、確かに多芸ではあるけどよ)
接近戦が得意なのに魔法の方がレベルが高いと聞いていたが、あそこまで多くの属性魔力を操るのは多芸と言えるだろう。
「………お前さんら、この街のダンジョンに用があるって言うとったな。もしかしてだが……最下層まで攻略するつもりか?」
ホーリーパレスはまだ完全攻略されていないダンジョン。
最下層が七十階層なのか……それとも八十階層なのか、まだ誰も解らない。
銀獅子の皇の様な大手のクランが必死に探索を進めているが、そう簡単に進むものではない。
(最下層……これ、今更だけどダンジョンに転移機能がなかったらマジで大変だよな)
階層更新の為に何度も何度も長い距離を走って走って走りまくる。
そして戻る時も走って走って走る……今のゼルートはスタミナもレベル上げや地道なトレーニングのお陰でちょっとやそっとじゃ尽きないが、流石に六十階層分のダッシュは地獄だろうなと考えただけでゾッとする。
「最下層の攻略は興味あるけど……まずは目的を果たすのが第一優先だ。最下層の更新はそれを達成して日数に余裕があったらの話だな」
「はっ!! 随分と簡単に話すのう……お前さんらが十分過ぎるほど強いのは解かったが、流石に油断し過ぎなんちゃうか」
「……油断というか、どっかで楽しみにしている気持ちはあるかも……なっ、お前ら」
ゼルートの声にアレナ以外の全員が頷いた。
「まだ誰も到達していない未知の階層……好奇心が疼くじゃないか」
「ルウナ殿の言う通りですな。ホーリーパレスの未開拓階層ともなればさぞや暴れられるのでしょう」
「空間の大きさにもよりますが、私が暴れても大丈夫でしょう……それを考えると降りるのが楽しみですね」
「降りれば美味いお肉が待ってるかもしれない……そう考えると楽しみだよね!!!」
四人はまるで未知の階層に恐怖を感じておらず、寧ろ挑む気満々の様子だ。
そんな四人の様子に呆れた表情を浮かべるオーラスだが、四人の気持ちや考えが嘘や虚勢を張っているとは思えなかった。
(こいつら……マジで頭のネジが外れてそうやな。ただ……全員の実力が本物や。それにリーダーであるゼルート君の実力がぶっ飛び過ぎている……こりゃマジであるかもな)
自分達より個や集団としての戦力が上であろう存在が目の前にいると解り、自分達が地道に行っている未探索の階層を更新したとしてもきっと悔しいという感情は生まれないなと思ってしまった。
「そういう訳だ。自分で言うのはあれなんだろうけど……俺達はそこら辺のパーティーとは訳が違う。今回は未探索の階層攻略をしないかもしれないが……俺達は冒険者だ。また暇なときにやって来て攻略するかもしれないな」
「そうかい……それはそれで楽しみに待ってるわ。今回無茶な交渉をしようとした詫びや、受け取ってくれ」
そう言うと、オーラスはアイテムポーチの中から一つのコンパスを取り出した。
「こいつは絶対針のコンパス。一度使えば半日の間は願ったものがある方向に赤色の入りが動くんだ。あんまり細かいものは無理だが、例えばダンジョン内だと次の階層への階段の場所や宝箱、特定のモンスターとかが存在する方向に向かって針が動くんだ」
「……オーラスさん、あなたこれを二つ持ってるのよね」
「当然だ。でなければ流石に詫びの品でもこれは出せない」
絶対針のコンパスを手に取ったゼルートは早速鑑定眼を使って調べる。
(……うん、超ヤバいな。確かにこれは二つ持ってないっと一つを詫びの品として渡すなんて出来ないな)
ランクは八、オーラスの言葉通り使用者が願うものが存在する場所へと案内する。
しかし一つ欠点があり、一回使用すると一日は完全にスリープしてしまう。
そしてもう一つ……一回使用するのにかなりの魔力を消費してしまう。
二つともそれなりにデメリットな内容だが、二つ目に関しては魔力量が他と比べて飛び抜けて多いゼルートにとっては屁でもない内容だ。
「……確かに黒曜金貨八枚、受け取った」
鑑定眼を使用して本物かどうかを調べて確認したゼルートはそれをアイテムバッグの中にしまった。
「お前さん、そんなスキルまで持っとるんか」
「多芸が俺の特徴なんでな」
自分が鑑定系のスキルを持っていることは既にバレていると確信しているので、特に慌てることなく素直に答える。
(多芸って……いや、確かに多芸ではあるけどよ)
接近戦が得意なのに魔法の方がレベルが高いと聞いていたが、あそこまで多くの属性魔力を操るのは多芸と言えるだろう。
「………お前さんら、この街のダンジョンに用があるって言うとったな。もしかしてだが……最下層まで攻略するつもりか?」
ホーリーパレスはまだ完全攻略されていないダンジョン。
最下層が七十階層なのか……それとも八十階層なのか、まだ誰も解らない。
銀獅子の皇の様な大手のクランが必死に探索を進めているが、そう簡単に進むものではない。
(最下層……これ、今更だけどダンジョンに転移機能がなかったらマジで大変だよな)
階層更新の為に何度も何度も長い距離を走って走って走りまくる。
そして戻る時も走って走って走る……今のゼルートはスタミナもレベル上げや地道なトレーニングのお陰でちょっとやそっとじゃ尽きないが、流石に六十階層分のダッシュは地獄だろうなと考えただけでゾッとする。
「最下層の攻略は興味あるけど……まずは目的を果たすのが第一優先だ。最下層の更新はそれを達成して日数に余裕があったらの話だな」
「はっ!! 随分と簡単に話すのう……お前さんらが十分過ぎるほど強いのは解かったが、流石に油断し過ぎなんちゃうか」
「……油断というか、どっかで楽しみにしている気持ちはあるかも……なっ、お前ら」
ゼルートの声にアレナ以外の全員が頷いた。
「まだ誰も到達していない未知の階層……好奇心が疼くじゃないか」
「ルウナ殿の言う通りですな。ホーリーパレスの未開拓階層ともなればさぞや暴れられるのでしょう」
「空間の大きさにもよりますが、私が暴れても大丈夫でしょう……それを考えると降りるのが楽しみですね」
「降りれば美味いお肉が待ってるかもしれない……そう考えると楽しみだよね!!!」
四人はまるで未知の階層に恐怖を感じておらず、寧ろ挑む気満々の様子だ。
そんな四人の様子に呆れた表情を浮かべるオーラスだが、四人の気持ちや考えが嘘や虚勢を張っているとは思えなかった。
(こいつら……マジで頭のネジが外れてそうやな。ただ……全員の実力が本物や。それにリーダーであるゼルート君の実力がぶっ飛び過ぎている……こりゃマジであるかもな)
自分達より個や集団としての戦力が上であろう存在が目の前にいると解り、自分達が地道に行っている未探索の階層を更新したとしてもきっと悔しいという感情は生まれないなと思ってしまった。
「そういう訳だ。自分で言うのはあれなんだろうけど……俺達はそこら辺のパーティーとは訳が違う。今回は未探索の階層攻略をしないかもしれないが……俺達は冒険者だ。また暇なときにやって来て攻略するかもしれないな」
「そうかい……それはそれで楽しみに待ってるわ。今回無茶な交渉をしようとした詫びや、受け取ってくれ」
そう言うと、オーラスはアイテムポーチの中から一つのコンパスを取り出した。
「こいつは絶対針のコンパス。一度使えば半日の間は願ったものがある方向に赤色の入りが動くんだ。あんまり細かいものは無理だが、例えばダンジョン内だと次の階層への階段の場所や宝箱、特定のモンスターとかが存在する方向に向かって針が動くんだ」
「……オーラスさん、あなたこれを二つ持ってるのよね」
「当然だ。でなければ流石に詫びの品でもこれは出せない」
絶対針のコンパスを手に取ったゼルートは早速鑑定眼を使って調べる。
(……うん、超ヤバいな。確かにこれは二つ持ってないっと一つを詫びの品として渡すなんて出来ないな)
ランクは八、オーラスの言葉通り使用者が願うものが存在する場所へと案内する。
しかし一つ欠点があり、一回使用すると一日は完全にスリープしてしまう。
そしてもう一つ……一回使用するのにかなりの魔力を消費してしまう。
二つともそれなりにデメリットな内容だが、二つ目に関しては魔力量が他と比べて飛び抜けて多いゼルートにとっては屁でもない内容だ。
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