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七百八十二話 最後まで冷静
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「アラッドって、ちゃんとお兄ちゃんだよね~~」
「どういう意味だ?」
現在、アラッドたちは特に冒険者ギルドで依頼を受けず、適当に森の中をぶらぶらと散策していた。
「アッシュ君やシルフィーちゃんに対しては当然って感じで、普通なら仲が悪くなるドラング君に対してもお兄ちゃんらしい思いを持ってるって言うか」
「言葉通り、俺はあいつらの兄だぞ? お兄ちゃんらしいのは当然じゃないか?」
「えぇ~~、そんな事ないと思うけどな~~~。ほら、私故郷を離れる前まではアマゾネスの集落で暮らしてたって言ったでしょ」
「あぁ、覚えてるぞ」
「皆家族~って感じなんだけど、私より歳上なのに子供っぽい人とか結構いたわよ」
ガルーレより子供っぽい人? と、疑問符を頭の上に浮かべるアラッドとスティーム。
「……そこら辺は、人によりけりとしか言えないな。ドラングとの仲に関しては、確かに一般的な兄弟なら仲が悪くなるのが必然かもしれないが……俺には、子供の頃少し冷たく接し過ぎてたかもしれない負い目? みたいなものがあるからな」
(このアラッドの言いたい事はなんとなく解るんだけど、話を聞く限り……話通りの接し方をされたら、普通に冷たい態度を取ってしまうと思うんだけどな)
アラッドが普通の人間、貴族の令息ではないことは重々承知してるが、それでも……あまりにも大人過ぎるのでは? と、偶に感じることがある。
「前に説明したとは思うが、ドラングの立場に立った時……俺みたいな存在がいれば、最高に迷惑だろ」
もしアラッドが逆の立場であれば、嫉妬心やら憎しみやら……諸々の負の感情を抑えきれる自信はない。
「「…………」」
「はっはっは! 二人共、別に俺に遠慮する必要はない。悩み過ぎで、変な顔になってるぞ」
「……まぁ、日々の生活に息苦しさは感じるかな」
「私も悪い方向に進まないとは断言出来ないね~~~」
一応、アラッドの考え方、捉え方に関して納得は出来た二人。
ただ……人の言葉を理解出来るアラッドの従魔、クロは基本的にドラングに対して良い感情を持たない状態が継続していた。
「っ……」
「どうした、クロ」
昼食を食べ終え、それ以降も適当に狩りを続けていたアラッド達。
現在の時刻は三時過ぎであり……一応まだ明るい。
そんな中、クロはある方向を注視した。
「どうやら、何かが来るみたいだね」
スティームの従魔であるファルも同じ方向に意識を向けており、三人ともいつでも動けるように構える。
「ん? …………おいおい、あれってもしかして」
「そのもしかして、かもしれないね」
アラッドたちに向かってくるモンスターの正体は……巨大な巨大な蜘蛛。
そのモンスターの名は、パラライズタラテクト。
Bランクモンスターの中でも高い繁殖能力を持ち、その繁殖力はゴブリンキングやオークキングに劣らない。
(どうやら、討伐日と被ってたみたいだな。その証拠に、パラライズタラテクトの奥に冒険者たちの気配を感じる)
何はともあれ、ここでパラライズタラテクトに逃げられるのは最悪も最悪。
タラテクトに進化してる可能性があるリーダー蜘蛛、その他の大量の蜘蛛モンスターの討伐を他の同業者たちに任せていたとはいえ、ここで見逃す……関わらないという選択肢はあり得ない。
「逃げられないように解れるぞ」
指示を受けたスティームたちは速攻で散った。
これでパラライズタラテクトがどの方向に逃げようとも、誰かしらが止める、もしくは仕留める。
(さて、どの方向に…………チッ!!!! 追い詰められていても、冷静さは失ってないということか)
パラライズタラテクトが方向移動した場所に待ち構えるのは……ガルーレだった。
(多少は迷った? いや、絶対に直ぐ動いた……嘗められてるわね~~~)
迷うことなくパラライズタラテクトが自分の方向へと向かってきた。
この事実に、ガルーレは多少の苛立ちを感じれど、パラライズタラテクトの冷静な判断に感心した。
いつも行動している三人の中で、諸々の手段を使用すれば、一番弱いのはガルーレ。
一度本気の全力でぶつかり合ったことがあるわけではないが、それでもガルーレは自分が一番下だと自覚していた。
(でも、援護を待つだけの可愛い後衛じゃないのよ!!!!)
ガルーレの切り札であるペイル・サーベルスは任意発動出来るスキルではなく、一定以上のダメージを受ける必要がある。
故に、一気にトップギアに入ることが出来ない。
その状態を考慮すれば……手負いとはいえ、完璧にパラライズタラテクトを足止めするのは、難易度が高いミッション。
しかし……既にパラライズタラテクトをどう対処するか、それだけしか考えていないガルーレにとって……不利な条件や難易度が高いミッションなど……どうでも良かった。
(こ、こだッ!!!!!!!!!)
パラライズタラテクトはなるべく上に行き過ぎないよう飛びながらも、ガルーレに粘着性の高い糸を吐出し、動きを封じようとした。
だが、糸の発射口の動きを見逃さなかったガルーレは粘々ネットを後方に飛んで回避。
そしてそのまま同じく宙に跳び、狙いを定めた。
「どういう意味だ?」
現在、アラッドたちは特に冒険者ギルドで依頼を受けず、適当に森の中をぶらぶらと散策していた。
「アッシュ君やシルフィーちゃんに対しては当然って感じで、普通なら仲が悪くなるドラング君に対してもお兄ちゃんらしい思いを持ってるって言うか」
「言葉通り、俺はあいつらの兄だぞ? お兄ちゃんらしいのは当然じゃないか?」
「えぇ~~、そんな事ないと思うけどな~~~。ほら、私故郷を離れる前まではアマゾネスの集落で暮らしてたって言ったでしょ」
「あぁ、覚えてるぞ」
「皆家族~って感じなんだけど、私より歳上なのに子供っぽい人とか結構いたわよ」
ガルーレより子供っぽい人? と、疑問符を頭の上に浮かべるアラッドとスティーム。
「……そこら辺は、人によりけりとしか言えないな。ドラングとの仲に関しては、確かに一般的な兄弟なら仲が悪くなるのが必然かもしれないが……俺には、子供の頃少し冷たく接し過ぎてたかもしれない負い目? みたいなものがあるからな」
(このアラッドの言いたい事はなんとなく解るんだけど、話を聞く限り……話通りの接し方をされたら、普通に冷たい態度を取ってしまうと思うんだけどな)
アラッドが普通の人間、貴族の令息ではないことは重々承知してるが、それでも……あまりにも大人過ぎるのでは? と、偶に感じることがある。
「前に説明したとは思うが、ドラングの立場に立った時……俺みたいな存在がいれば、最高に迷惑だろ」
もしアラッドが逆の立場であれば、嫉妬心やら憎しみやら……諸々の負の感情を抑えきれる自信はない。
「「…………」」
「はっはっは! 二人共、別に俺に遠慮する必要はない。悩み過ぎで、変な顔になってるぞ」
「……まぁ、日々の生活に息苦しさは感じるかな」
「私も悪い方向に進まないとは断言出来ないね~~~」
一応、アラッドの考え方、捉え方に関して納得は出来た二人。
ただ……人の言葉を理解出来るアラッドの従魔、クロは基本的にドラングに対して良い感情を持たない状態が継続していた。
「っ……」
「どうした、クロ」
昼食を食べ終え、それ以降も適当に狩りを続けていたアラッド達。
現在の時刻は三時過ぎであり……一応まだ明るい。
そんな中、クロはある方向を注視した。
「どうやら、何かが来るみたいだね」
スティームの従魔であるファルも同じ方向に意識を向けており、三人ともいつでも動けるように構える。
「ん? …………おいおい、あれってもしかして」
「そのもしかして、かもしれないね」
アラッドたちに向かってくるモンスターの正体は……巨大な巨大な蜘蛛。
そのモンスターの名は、パラライズタラテクト。
Bランクモンスターの中でも高い繁殖能力を持ち、その繁殖力はゴブリンキングやオークキングに劣らない。
(どうやら、討伐日と被ってたみたいだな。その証拠に、パラライズタラテクトの奥に冒険者たちの気配を感じる)
何はともあれ、ここでパラライズタラテクトに逃げられるのは最悪も最悪。
タラテクトに進化してる可能性があるリーダー蜘蛛、その他の大量の蜘蛛モンスターの討伐を他の同業者たちに任せていたとはいえ、ここで見逃す……関わらないという選択肢はあり得ない。
「逃げられないように解れるぞ」
指示を受けたスティームたちは速攻で散った。
これでパラライズタラテクトがどの方向に逃げようとも、誰かしらが止める、もしくは仕留める。
(さて、どの方向に…………チッ!!!! 追い詰められていても、冷静さは失ってないということか)
パラライズタラテクトが方向移動した場所に待ち構えるのは……ガルーレだった。
(多少は迷った? いや、絶対に直ぐ動いた……嘗められてるわね~~~)
迷うことなくパラライズタラテクトが自分の方向へと向かってきた。
この事実に、ガルーレは多少の苛立ちを感じれど、パラライズタラテクトの冷静な判断に感心した。
いつも行動している三人の中で、諸々の手段を使用すれば、一番弱いのはガルーレ。
一度本気の全力でぶつかり合ったことがあるわけではないが、それでもガルーレは自分が一番下だと自覚していた。
(でも、援護を待つだけの可愛い後衛じゃないのよ!!!!)
ガルーレの切り札であるペイル・サーベルスは任意発動出来るスキルではなく、一定以上のダメージを受ける必要がある。
故に、一気にトップギアに入ることが出来ない。
その状態を考慮すれば……手負いとはいえ、完璧にパラライズタラテクトを足止めするのは、難易度が高いミッション。
しかし……既にパラライズタラテクトをどう対処するか、それだけしか考えていないガルーレにとって……不利な条件や難易度が高いミッションなど……どうでも良かった。
(こ、こだッ!!!!!!!!!)
パラライズタラテクトはなるべく上に行き過ぎないよう飛びながらも、ガルーレに粘着性の高い糸を吐出し、動きを封じようとした。
だが、糸の発射口の動きを見逃さなかったガルーレは粘々ネットを後方に飛んで回避。
そしてそのまま同じく宙に跳び、狙いを定めた。
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