59 / 1,390
五十九話 初の社交界
しおりを挟む
「一か月後に王都のパーティーに行くから。アラッドも付いてきてね」
「……えっ」
フールの部屋に呼び出され、伝えられた言葉を聞いて思わず固まった。
「聞こえなかったかい? 一か月後に開かれる王都のパーティーにアラッドも参加するんだよ」
「いや、内容はバッチリ聞こえました。ただ……何故俺を連れて行くのかと思って」
アラッドは成長するにつれ、少々強面方向に向かっている。
アリサやエリア、リーナ曰く本気で戦っている時のフールに似ていると断言している。
アラッドとしては何故そんな細かい部分を引いてしまったんだと思ったが、それなりにイケメンになるであろう面なので大きな不満は無い。
しかし、社交界向けの顔ではないと思っている。
「何故って、アラッドも僕の息子だからね。そろそろ社交界に一回は出ないとね」
「……そういうものなんですね」
「うん、そういうものだね」
駄々をこねても無理だろう。
そもそも我儘を聞いてもらっている時点で、本気で断ろうという気持ちがアラッドの中にはない。
「でも、父さん。俺は結婚とかにはまだまだ興味ないですよ」
(同年代の女の子なんて更に興味ない。こっちは前世の年齢を入れれば余裕で二十歳は超えてる。スタイルの良いお姉さんとかじゃないとこう……うん、そそられない)
中身と考えが立派なおっさんであるため、まだ十歳にもなっていないSJクラスには全く興味ない。
アラッド改め、工藤英二は決してロリコンではない。
「分かってるよ。ただね……アラッドを一目見てみたいと思ってる人が多いんだよ」
「それは何故ですか?」
リバーシや積み木をつくった人物がアラッドという情報はまだ広まっていない。
故に、娯楽の件に関してアラッドに会いたいと思う人物はいない。
だが……それでもアラッドに興味がある人物がいる原因は……フールにあった。
「はっはっは、ついパーティーでアラッドが凄いということを自慢してしまってね。一目アラッドを見てみたいという知人が多いんだよ」
「……な、なるほど。そういうことでしたか」
父親が外で自分のことを自慢してくれているのは非常に嬉しい。
嬉しいが、やはり恥ずかしい。
(父さんがヘマするとは思えないから、リバーシや積み木に関してバラしてはいないはず……なら、単純に俺の強さとかを自慢してるのか? ……嬉しいけど、やっぱり少し恥ずかしいところがあるな)
リバーシは現在も好評発売中。
一時ほどの勢いはないが、国外でも売れているのでアラッドへの製作は未だに止まらない。
「分かりました。ただ、あいさつ回りが終わったら自由にしてて良いんですよね」
「そうだね。美味しい料理を食べるのも良いし、同年代の友達をつくるのもありだよ」
(美味い料理は是非とも食べたい。ただ、友達は冒険者になってからでいいかな)
学校に通う気はないので、本当に気の合う人物でなければ同じ貴族の令息と友達になろうとは思わない。
(仮に友人になったとして、どこかで俺がリバーシや積み木の制作者だってのがバレるかもしれないし)
アラッド自身がついうっかり喋ってしまう可能性もゼロではない。
本人もそれが分かっているので、あまり今は友人をつくる気にはなれなかった。
「あと、当日はリーナとドラングも一緒にパーティーに行くから」
「そ、そうですか……分かりました」
地獄みたいな空間になりそうだと思いながら退出。
最近、ドラングがアラッドに絡むことはない。
しかし仲が良くなったわけでもない。
というより、二人が仲良くなることはまずない。
(ドレングと同じ空間で何日も過ごすのか……死にそうだな)
勝手にドラングが敵視ライバル視していることもあり、居心地が悪いのは百パーセント間違いない。
だが、もう行くと言ってしまった。
今更ドラングと一緒なら行きません、等と言えない。
「はぁ~~~~~……道中は延々と錬金術のことでも考えるか」
現在アラッドは七歳。
ポーション造りも欠かさず行っており、その腕は完全に素人の域を超えていた。
「……えっ」
フールの部屋に呼び出され、伝えられた言葉を聞いて思わず固まった。
「聞こえなかったかい? 一か月後に開かれる王都のパーティーにアラッドも参加するんだよ」
「いや、内容はバッチリ聞こえました。ただ……何故俺を連れて行くのかと思って」
アラッドは成長するにつれ、少々強面方向に向かっている。
アリサやエリア、リーナ曰く本気で戦っている時のフールに似ていると断言している。
アラッドとしては何故そんな細かい部分を引いてしまったんだと思ったが、それなりにイケメンになるであろう面なので大きな不満は無い。
しかし、社交界向けの顔ではないと思っている。
「何故って、アラッドも僕の息子だからね。そろそろ社交界に一回は出ないとね」
「……そういうものなんですね」
「うん、そういうものだね」
駄々をこねても無理だろう。
そもそも我儘を聞いてもらっている時点で、本気で断ろうという気持ちがアラッドの中にはない。
「でも、父さん。俺は結婚とかにはまだまだ興味ないですよ」
(同年代の女の子なんて更に興味ない。こっちは前世の年齢を入れれば余裕で二十歳は超えてる。スタイルの良いお姉さんとかじゃないとこう……うん、そそられない)
中身と考えが立派なおっさんであるため、まだ十歳にもなっていないSJクラスには全く興味ない。
アラッド改め、工藤英二は決してロリコンではない。
「分かってるよ。ただね……アラッドを一目見てみたいと思ってる人が多いんだよ」
「それは何故ですか?」
リバーシや積み木をつくった人物がアラッドという情報はまだ広まっていない。
故に、娯楽の件に関してアラッドに会いたいと思う人物はいない。
だが……それでもアラッドに興味がある人物がいる原因は……フールにあった。
「はっはっは、ついパーティーでアラッドが凄いということを自慢してしまってね。一目アラッドを見てみたいという知人が多いんだよ」
「……な、なるほど。そういうことでしたか」
父親が外で自分のことを自慢してくれているのは非常に嬉しい。
嬉しいが、やはり恥ずかしい。
(父さんがヘマするとは思えないから、リバーシや積み木に関してバラしてはいないはず……なら、単純に俺の強さとかを自慢してるのか? ……嬉しいけど、やっぱり少し恥ずかしいところがあるな)
リバーシは現在も好評発売中。
一時ほどの勢いはないが、国外でも売れているのでアラッドへの製作は未だに止まらない。
「分かりました。ただ、あいさつ回りが終わったら自由にしてて良いんですよね」
「そうだね。美味しい料理を食べるのも良いし、同年代の友達をつくるのもありだよ」
(美味い料理は是非とも食べたい。ただ、友達は冒険者になってからでいいかな)
学校に通う気はないので、本当に気の合う人物でなければ同じ貴族の令息と友達になろうとは思わない。
(仮に友人になったとして、どこかで俺がリバーシや積み木の制作者だってのがバレるかもしれないし)
アラッド自身がついうっかり喋ってしまう可能性もゼロではない。
本人もそれが分かっているので、あまり今は友人をつくる気にはなれなかった。
「あと、当日はリーナとドラングも一緒にパーティーに行くから」
「そ、そうですか……分かりました」
地獄みたいな空間になりそうだと思いながら退出。
最近、ドラングがアラッドに絡むことはない。
しかし仲が良くなったわけでもない。
というより、二人が仲良くなることはまずない。
(ドレングと同じ空間で何日も過ごすのか……死にそうだな)
勝手にドラングが敵視ライバル視していることもあり、居心地が悪いのは百パーセント間違いない。
だが、もう行くと言ってしまった。
今更ドラングと一緒なら行きません、等と言えない。
「はぁ~~~~~……道中は延々と錬金術のことでも考えるか」
現在アラッドは七歳。
ポーション造りも欠かさず行っており、その腕は完全に素人の域を超えていた。
438
あなたにおすすめの小説
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます
水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。
勇者、聖女、剣聖――
華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。
【戦術構築サポートAI】
【アンドロイド工廠】
【兵器保管庫】
【兵站生成モジュール】
【拠点構築システム】
【個体強化カスタマイズ】
王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。
だが――
この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。
最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。
識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。
「今日からお前はレイナだ」
これは、勇者ではない男が、
メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。
屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、
趣味全開で異世界を生きていく。
魔王とはいずれ戦うことになるだろう。
だが今は――
まずは冒険者登録からだ。
魔界を追放された俺が人間と異種族パーティを組んで復讐したら世界の禁忌に触れちゃう話〜魔族と人間、二つの種族を繋ぐ真実〜
真星 紗夜(毎日投稿)
ファンタジー
「...俺が...、元々は人間だった...⁉︎」
主人公は魔界兵団メンバーの魔族コウ。
しかし魔力が使えず、下着ドロボウを始め、禁忌とされる大罪の犯人に仕立て上げられて魔界を追放される。
人間界へと追放されたコウは研究少女ミズナと出会い、二人は互いに種族の違う相手に惹かれて恋に落ちていく...。
あんなトコロやこんなトコロを調べられるうちに“テレパシー”を始め、能力を次々発現していくコウ。
そして同時に、過去の記憶も蘇ってくる...。
一方で魔界兵団は、コウを失った事で統制が取れなくなり破滅していく。
人間と異種族パーティを結成し、復讐を誓うコウ。
そして、各メンバーにも目的があった。
世界の真実を暴くこと、親の仇を討つこと、自らの罪を償うこと、それぞれの想いを胸に魔界へ攻め込む...!
玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。
昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。
入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。
その甲斐あってか学年首位となったある日。
「君のことが好きだから」…まさかの告白!
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる