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千四十七話 慣れず、削られ続ける
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「すいません、お持たせしました」
「いえいえ、お気になさらず。ヌレールア様が強くなる……それが目的の実戦ですから」
「……ありがとうございます」
礼の言葉なら、既に貰っている。
だが、ソウスケはそれを口にすることはなく、素直に受け入れた。
「それでは、また手頃なモンスターを探しましょう」
深い場所に向かわず、新米の冒険者たちが多く訪れる場所をうろちょろしていれば、数十分後にはまた手頃なモンスターと遭遇できる。
「フゥ、フゥ……ブボォオオオッ!!!!」
オークと同じく、パワーがあるイノシシ系のモンスター、
「キキ、ゥキャァオオッ!!!!」
パワーはそこまでないが、機動力に優れた猿系のモンスター。
Eランク……時にはDランクのモンスターと戦い、時には青痣ができ、切傷が……骨にヒビが入ることもあった。
そんな中、ヌレールアは苦悶の声を零すことはあれど、泣き言は一切吐かなかった。
(前衛の奴らは、こんな戦いを、いつもしてたんだな!!!)
魔法至上主義、といった考えはヌレールアにはない。
心の奥底で、実は武器や素手による攻撃などよりも魔法の方が全面的に優れてるよな~~、なんて考えもなかった。
ただ……前衛で戦う者たちが何を考え、何を感じて戦っていたのかは、全く知らなかった。
(焦るな、良く、見るんだ!!)
オークとの戦いの際もそうだったが、今日が初めての接近戦デビューであるヌレールアは……モンスターと戦う度に、これまで感じたことがなかったプレッシャーを向けられ、メンタルをゴリゴリに削られていた。
一度オークとの戦闘に勝利すれば、オークより弱いモンスターとの戦闘は戦い易くなる?
人によってはそういった強メンタルを持つ者はいるが、残念ながらヌレールアはそちら側に分類されるタイプではない。
寧ろ、これまで後方から魔法を発動して戦うのがメインだったこともあり、至近距離から本気の戦意を、殺意を向けられることには慣れてなかった。
「せ、ヤッ!!!!」
「ギャバっ!?」
だからこそ、ヌレールアは必死でソウスケたちに教わった接近戦に関する心構えを復唱していた。
綺麗に戦おうとするのではなく、勝つ事だけに意識を向ける。
そうして戦いを重ねて重ね、日が暮れるまでの間戦い続けた結果……ヌレールアは相変わらずメンタルは削られた状態であり、最後の戦いでも切傷や青痣がいくつも体に刻まれてしまったが、それでも全勝することが出来た。
「本当にお疲れ様です、ヌレールア」
「ソウスケ先生たちが居てくれた、お陰です」
Dランク以上のモンスターが現れないエリアを探索していたが、それでも例外は起こる。
今日は一度だけだったが、Cランクのモンスターと遭遇。
一体だけであれば護衛の騎士だけでも対応出来たが、数が五、六……十と増えれば、ヌレールアを守れない可能性が高くなる。
「どうも……では、屋敷に到着したら直ぐにベッドにダイブしたくなるかもしれませんが、その前にしっかりと栄養満点の夕食を食べてください」
ソウスケたちが泊っている宿に到着し、馬車から降りようとしたタイミングで金貨が一枚、護衛の騎士に放られた。
「それ、ポーションの代金に使ってください」
「っ、ソウスケ殿。気遣いは嬉しいが、イスタンダル家はあなた達に依頼している立場だ」
「ヌレールア様が討伐した素材を全て売却すれば、それぐらいの金額になります」
戦闘が終わる度に、怪我した部分をポーションで回復する。
それは冒険者や騎士であってもおかしくないが、強くなる為に実戦を重ねるのであれば……そういった不利になる状況を重ねながら、次の戦闘に臨むのも一つの方法。
毎回負った傷にポーションを使うのは甘え……と考える者はいる。
だが、まだそこではないとソウスケは判断した。
「では、また明日」
ソウスケは騎士の言葉をそれ以上聞かず、宿へと戻った。
「いえいえ、お気になさらず。ヌレールア様が強くなる……それが目的の実戦ですから」
「……ありがとうございます」
礼の言葉なら、既に貰っている。
だが、ソウスケはそれを口にすることはなく、素直に受け入れた。
「それでは、また手頃なモンスターを探しましょう」
深い場所に向かわず、新米の冒険者たちが多く訪れる場所をうろちょろしていれば、数十分後にはまた手頃なモンスターと遭遇できる。
「フゥ、フゥ……ブボォオオオッ!!!!」
オークと同じく、パワーがあるイノシシ系のモンスター、
「キキ、ゥキャァオオッ!!!!」
パワーはそこまでないが、機動力に優れた猿系のモンスター。
Eランク……時にはDランクのモンスターと戦い、時には青痣ができ、切傷が……骨にヒビが入ることもあった。
そんな中、ヌレールアは苦悶の声を零すことはあれど、泣き言は一切吐かなかった。
(前衛の奴らは、こんな戦いを、いつもしてたんだな!!!)
魔法至上主義、といった考えはヌレールアにはない。
心の奥底で、実は武器や素手による攻撃などよりも魔法の方が全面的に優れてるよな~~、なんて考えもなかった。
ただ……前衛で戦う者たちが何を考え、何を感じて戦っていたのかは、全く知らなかった。
(焦るな、良く、見るんだ!!)
オークとの戦いの際もそうだったが、今日が初めての接近戦デビューであるヌレールアは……モンスターと戦う度に、これまで感じたことがなかったプレッシャーを向けられ、メンタルをゴリゴリに削られていた。
一度オークとの戦闘に勝利すれば、オークより弱いモンスターとの戦闘は戦い易くなる?
人によってはそういった強メンタルを持つ者はいるが、残念ながらヌレールアはそちら側に分類されるタイプではない。
寧ろ、これまで後方から魔法を発動して戦うのがメインだったこともあり、至近距離から本気の戦意を、殺意を向けられることには慣れてなかった。
「せ、ヤッ!!!!」
「ギャバっ!?」
だからこそ、ヌレールアは必死でソウスケたちに教わった接近戦に関する心構えを復唱していた。
綺麗に戦おうとするのではなく、勝つ事だけに意識を向ける。
そうして戦いを重ねて重ね、日が暮れるまでの間戦い続けた結果……ヌレールアは相変わらずメンタルは削られた状態であり、最後の戦いでも切傷や青痣がいくつも体に刻まれてしまったが、それでも全勝することが出来た。
「本当にお疲れ様です、ヌレールア」
「ソウスケ先生たちが居てくれた、お陰です」
Dランク以上のモンスターが現れないエリアを探索していたが、それでも例外は起こる。
今日は一度だけだったが、Cランクのモンスターと遭遇。
一体だけであれば護衛の騎士だけでも対応出来たが、数が五、六……十と増えれば、ヌレールアを守れない可能性が高くなる。
「どうも……では、屋敷に到着したら直ぐにベッドにダイブしたくなるかもしれませんが、その前にしっかりと栄養満点の夕食を食べてください」
ソウスケたちが泊っている宿に到着し、馬車から降りようとしたタイミングで金貨が一枚、護衛の騎士に放られた。
「それ、ポーションの代金に使ってください」
「っ、ソウスケ殿。気遣いは嬉しいが、イスタンダル家はあなた達に依頼している立場だ」
「ヌレールア様が討伐した素材を全て売却すれば、それぐらいの金額になります」
戦闘が終わる度に、怪我した部分をポーションで回復する。
それは冒険者や騎士であってもおかしくないが、強くなる為に実戦を重ねるのであれば……そういった不利になる状況を重ねながら、次の戦闘に臨むのも一つの方法。
毎回負った傷にポーションを使うのは甘え……と考える者はいる。
だが、まだそこではないとソウスケは判断した。
「では、また明日」
ソウスケは騎士の言葉をそれ以上聞かず、宿へと戻った。
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