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千一話 そうなったら死んでた
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「そういえばソウスケさん。その噂なんですけど、爵位を貰う可能性もあったって、本当ですか?」
ソウスケより数歳上の冒険者が敬語を使いながら、戦争の内容とは少々違う質問をした。
その問いは……他の冒険者たちが心の中で「空気読めよ!!!!」と怒ることはなく、寧ろ興味津々な内容だった。
「さぁ、どうなんだろうな。俺もその話は人伝の人伝の、更にまた人伝のって感じで、殆ど噂みたいな流れで耳に入ってきただけだからな。ただ……特別な褒美として、宝物庫にあった名槍を貰ったから、もしかしたらその噂は間違いじゃなかったのかもしれないとは思ったかな」
「ま、マジですか……騎士、もしくは男爵を授与されるとしたら、やっぱり受けてました?」
「いや、多分受けないよ」
速攻で爵位が授与される可能性があったとしても、断ると宣言したソウスケの答えに、複数の冒険者が首を傾げる。
「俺……理不尽な理由で面倒な絡み方とかされたら、物理的に解決したいタイプなんだ」
「それは、思いっきりぶん殴って黙らせるってことですか?」
「殴る前にこう……本当にその対応で、態度で良いんだなって圧を掛けて、それでも変えないようなら……最終手段として物理的に解決したいかな」
冒険者らしいと言えば冒険者らしいその回答に、ソウスケに対して親近感を持つ者が急速に増えた。
「あ、あの。ミレアナさんも、ソウスケさんと同じなんですか?」
「……私の事をとやかく言われるのは構いませんが、ソウスケさんやザハークのことに関して何かくだらない事を言うようであれば……是非とも切り裂きたいですね」
ミレアナの回答を聞いて若干体が震えるも、その答えにどれだけ仲間を大切に思っているのか……その想いの強さが伝わってくる。
「ん? 俺も二人と同じ回答だ」
「そういえば、ザハークはギルドの中で俺が面倒な冒険者に絡まれて馬鹿にされた時、ミレアナと一緒にそこそこ本気で潰そうとしたことがあったな」
そこそこ本気で、ザハークとミレアナという……強者特有のオーラをビンビン発している二人が潰そうとしてきた。
その様子をイメージしただけで、数名の冒険者は心の底から恐ろしさで震えた。
「そんな事があったような、なかったような…………どちらにしろ、ソウスケさんが笑って話すということは、結局潰さずに済んだのだろう」
「そりゃそうに決まってるだろ。二人が本気で蹴りか拳を叩き込んでたら、余裕で死んでるって。まぁ、俺たちはこんな感じだからさ、貴族になんかなったら下手にそうやって解決できないだろ」
冒険者であってもそういった解決方法はあまり好ましくないのだが、確かに貴族という立場になれば、揉め事が起こった際に暴力……または脅迫と言うのは、よろしくない解決方法である。
「だから、そういった褒美を貰えたとしても、俺は断ってたよ」
「っ……やっぱり凄いっすね!!!!」
「そ、そうか?」
どこがそんなに凄いと思われてるのか分からないが、それでも悪い気はしない。
「自分、まだその……騎士とかに憧れてる部分があったんですよ」
「そうなんだ。別に悪い目標ではないと思うけど」
「で、でも! その、なったらなったで面倒な事があるんですよね!!」
「……あんまり表立って面倒面倒って連呼出来ないけど、騎士になったら規律? って感じでルールは本当に真面目に守らないと駄目だろうし、やっぱり貴族出身の人が多いだろうから……そこら辺でマウントを取られるかもしれないな」
そこら辺は冒険者も一緒ではないか? と、心の中で呟いた者が何人もいたが……実際にその酷さを比べてみた場合……騎士の方が酷いという意見の方が多いのは事実だった。
「やっぱりそうなんですよね……俺、騎士を目指すのなんか止めて、ソウスケさんや先輩たちみたいに冒険者として成功してみせます!!!」
「そ、そうか……死なない程度に頑張れよ」
「はい!!!!!」
この短い間のやり取りで、質問してきたこの青年は騎士になっても上手くやれるのでは? と思ったが、既に堅く決まってしまった様に見え……言葉にせず飲み込んだ。
ソウスケより数歳上の冒険者が敬語を使いながら、戦争の内容とは少々違う質問をした。
その問いは……他の冒険者たちが心の中で「空気読めよ!!!!」と怒ることはなく、寧ろ興味津々な内容だった。
「さぁ、どうなんだろうな。俺もその話は人伝の人伝の、更にまた人伝のって感じで、殆ど噂みたいな流れで耳に入ってきただけだからな。ただ……特別な褒美として、宝物庫にあった名槍を貰ったから、もしかしたらその噂は間違いじゃなかったのかもしれないとは思ったかな」
「ま、マジですか……騎士、もしくは男爵を授与されるとしたら、やっぱり受けてました?」
「いや、多分受けないよ」
速攻で爵位が授与される可能性があったとしても、断ると宣言したソウスケの答えに、複数の冒険者が首を傾げる。
「俺……理不尽な理由で面倒な絡み方とかされたら、物理的に解決したいタイプなんだ」
「それは、思いっきりぶん殴って黙らせるってことですか?」
「殴る前にこう……本当にその対応で、態度で良いんだなって圧を掛けて、それでも変えないようなら……最終手段として物理的に解決したいかな」
冒険者らしいと言えば冒険者らしいその回答に、ソウスケに対して親近感を持つ者が急速に増えた。
「あ、あの。ミレアナさんも、ソウスケさんと同じなんですか?」
「……私の事をとやかく言われるのは構いませんが、ソウスケさんやザハークのことに関して何かくだらない事を言うようであれば……是非とも切り裂きたいですね」
ミレアナの回答を聞いて若干体が震えるも、その答えにどれだけ仲間を大切に思っているのか……その想いの強さが伝わってくる。
「ん? 俺も二人と同じ回答だ」
「そういえば、ザハークはギルドの中で俺が面倒な冒険者に絡まれて馬鹿にされた時、ミレアナと一緒にそこそこ本気で潰そうとしたことがあったな」
そこそこ本気で、ザハークとミレアナという……強者特有のオーラをビンビン発している二人が潰そうとしてきた。
その様子をイメージしただけで、数名の冒険者は心の底から恐ろしさで震えた。
「そんな事があったような、なかったような…………どちらにしろ、ソウスケさんが笑って話すということは、結局潰さずに済んだのだろう」
「そりゃそうに決まってるだろ。二人が本気で蹴りか拳を叩き込んでたら、余裕で死んでるって。まぁ、俺たちはこんな感じだからさ、貴族になんかなったら下手にそうやって解決できないだろ」
冒険者であってもそういった解決方法はあまり好ましくないのだが、確かに貴族という立場になれば、揉め事が起こった際に暴力……または脅迫と言うのは、よろしくない解決方法である。
「だから、そういった褒美を貰えたとしても、俺は断ってたよ」
「っ……やっぱり凄いっすね!!!!」
「そ、そうか?」
どこがそんなに凄いと思われてるのか分からないが、それでも悪い気はしない。
「自分、まだその……騎士とかに憧れてる部分があったんですよ」
「そうなんだ。別に悪い目標ではないと思うけど」
「で、でも! その、なったらなったで面倒な事があるんですよね!!」
「……あんまり表立って面倒面倒って連呼出来ないけど、騎士になったら規律? って感じでルールは本当に真面目に守らないと駄目だろうし、やっぱり貴族出身の人が多いだろうから……そこら辺でマウントを取られるかもしれないな」
そこら辺は冒険者も一緒ではないか? と、心の中で呟いた者が何人もいたが……実際にその酷さを比べてみた場合……騎士の方が酷いという意見の方が多いのは事実だった。
「やっぱりそうなんですよね……俺、騎士を目指すのなんか止めて、ソウスケさんや先輩たちみたいに冒険者として成功してみせます!!!」
「そ、そうか……死なない程度に頑張れよ」
「はい!!!!!」
この短い間のやり取りで、質問してきたこの青年は騎士になっても上手くやれるのでは? と思ったが、既に堅く決まってしまった様に見え……言葉にせず飲み込んだ。
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