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八百四十一話 戦友の報告合戦
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「次は君たちの番だ」
戦争で活躍した騎士たちの授与式が終わり、今度は冒険者たちの番。
とはいえ、基本的に冒険者たちが受け取るのは褒美のみ。
一部の者がミレアナ、ザハークといった超猛者を従える、パーティーのリーダーであるソウスケに爵位を授与しては? と発言したが、ソウスケと共に行動しながらルクローラ王国の戦闘者を倒していた騎士の言葉から、それは止めておいた方が良いだろうという結論に至った。
「ソウスケ、緊張してんのか?」
「逆に緊張しない理由がないと思うんですけど」
王城に入るというだけで緊張する。
加えて、これから国王がいる場に入り、褒美を貰う。
日本人であったソウスケからすれば、天皇陛下がいる空間に足を踏み入れるのと同じ……意味が解らない流れである。
「その気持ちは解らなくもねぇけど、今まで出会ってきたモンスターの中で、恐ろしかった連中を思い浮かべれば、その緊張感も多少は薄まると思うぜ」
「な、なるほど……」
先輩冒険者から教えられた通り、これまで出会ってきた難敵を思い出す。
高レベルのワイバーンに、コボルトキング。
そしてパラデットスコーピオンや赤毛のアシュラコング、ヒートミノタウロスにガルムなどを思い出すと……確かに、先程までと比べて、いささか楽にはなった。
とはいえ、緊張感が完全に消えたわけではない。
「……なぁ。ミレアナ、ザハーク。なんでお前らはそんな平気そうな顔してるんだ?」
「なんでと仰られても……私が一番敬意を抱いている方は、ソウスケさんなので」
「国王陛下という存在は、別にこれから俺たちと戦う訳ではないのだろう? 後は、ミレアナと同じ理由だ」
相変わらず嬉しい事を言ってくれる二人である。
しかし、周囲にちらほらと騎士がいるこの状況では、あまり国王陛下という存在に対して興味がないといった態度を取るのは止めてほしかった。
ちなみに……ミレアナとザハークがどういった者なのかを知っている他の冒険者たちは、二人らしい反応だと思い、苦笑いを浮かべていた。
「お前らなぁ……俺の寿命が縮むようなこと言わないでくれ」
こんな事を言うソウスケだが、二人が侮辱されれば、一番ブチ切れるのはソウスケである。
「中に入れば、陛下の御前。事前に伝えている通りに動くのだ」
「はいよ、解ってる解ってる」
「ここに来てそういう口調だから、釘を刺されるんだよ」
「うっせ」
騎士から睨まれる二人。
和やかな普段通りの表情でいられるのもここまで。
その雰囲気を察知し、ソウスケも四の五の言わず、無理矢理ポーカーフェイスを浮かべた。
(たた褒美を受け取って、退室するだけだ)
国王陛下の御前、多くの近衛騎士や宰相などの重役たちがいる前へと歩を進める間、ソウスケはずっと己に言い聞かせ続けた。
「お主たちは我らがエイリスト王国の為に多くの敵を打倒した。その功績を評し、褒美を与える」
「「「「「「「「「「誠に光栄でございます」」」」」」」」」」
打ち合わせ通り、全員声を揃えて感謝の言葉を述べる。
そして今回、特別に国直々に褒美を与えられる者たちの前に、あらかじめ用意されていた。
近衛騎士が抱える袋を、一つ一つ冒険者たちに渡していく。
そんな中……やけにソウスケとザハークだけの袋が大きい。
「「?」」
首を傾げる二人の疑問に、宰相が答えた。
「お前たちは特に重要な者たちを殺さず、捕虜として捕らえた。それ故の報酬だ」
それだけ伝えると、元の場所に戻った。
だが、ご褒美タイムはまだ終わらない。
この場にいる冒険者たちは、絶対に高位騎士と行動していた。
彼らの活躍を間近で見ており、その活躍ぶりはしっかり上の方に報告されている。
一緒に視線を潜り抜けてきた戦友ということもあり、自分の戦友がどれだけ強かったのかを報告する騎士は多い。
しかし……その中でも、やはりあの人物だけは飛び抜けて活躍していた。
戦争で活躍した騎士たちの授与式が終わり、今度は冒険者たちの番。
とはいえ、基本的に冒険者たちが受け取るのは褒美のみ。
一部の者がミレアナ、ザハークといった超猛者を従える、パーティーのリーダーであるソウスケに爵位を授与しては? と発言したが、ソウスケと共に行動しながらルクローラ王国の戦闘者を倒していた騎士の言葉から、それは止めておいた方が良いだろうという結論に至った。
「ソウスケ、緊張してんのか?」
「逆に緊張しない理由がないと思うんですけど」
王城に入るというだけで緊張する。
加えて、これから国王がいる場に入り、褒美を貰う。
日本人であったソウスケからすれば、天皇陛下がいる空間に足を踏み入れるのと同じ……意味が解らない流れである。
「その気持ちは解らなくもねぇけど、今まで出会ってきたモンスターの中で、恐ろしかった連中を思い浮かべれば、その緊張感も多少は薄まると思うぜ」
「な、なるほど……」
先輩冒険者から教えられた通り、これまで出会ってきた難敵を思い出す。
高レベルのワイバーンに、コボルトキング。
そしてパラデットスコーピオンや赤毛のアシュラコング、ヒートミノタウロスにガルムなどを思い出すと……確かに、先程までと比べて、いささか楽にはなった。
とはいえ、緊張感が完全に消えたわけではない。
「……なぁ。ミレアナ、ザハーク。なんでお前らはそんな平気そうな顔してるんだ?」
「なんでと仰られても……私が一番敬意を抱いている方は、ソウスケさんなので」
「国王陛下という存在は、別にこれから俺たちと戦う訳ではないのだろう? 後は、ミレアナと同じ理由だ」
相変わらず嬉しい事を言ってくれる二人である。
しかし、周囲にちらほらと騎士がいるこの状況では、あまり国王陛下という存在に対して興味がないといった態度を取るのは止めてほしかった。
ちなみに……ミレアナとザハークがどういった者なのかを知っている他の冒険者たちは、二人らしい反応だと思い、苦笑いを浮かべていた。
「お前らなぁ……俺の寿命が縮むようなこと言わないでくれ」
こんな事を言うソウスケだが、二人が侮辱されれば、一番ブチ切れるのはソウスケである。
「中に入れば、陛下の御前。事前に伝えている通りに動くのだ」
「はいよ、解ってる解ってる」
「ここに来てそういう口調だから、釘を刺されるんだよ」
「うっせ」
騎士から睨まれる二人。
和やかな普段通りの表情でいられるのもここまで。
その雰囲気を察知し、ソウスケも四の五の言わず、無理矢理ポーカーフェイスを浮かべた。
(たた褒美を受け取って、退室するだけだ)
国王陛下の御前、多くの近衛騎士や宰相などの重役たちがいる前へと歩を進める間、ソウスケはずっと己に言い聞かせ続けた。
「お主たちは我らがエイリスト王国の為に多くの敵を打倒した。その功績を評し、褒美を与える」
「「「「「「「「「「誠に光栄でございます」」」」」」」」」」
打ち合わせ通り、全員声を揃えて感謝の言葉を述べる。
そして今回、特別に国直々に褒美を与えられる者たちの前に、あらかじめ用意されていた。
近衛騎士が抱える袋を、一つ一つ冒険者たちに渡していく。
そんな中……やけにソウスケとザハークだけの袋が大きい。
「「?」」
首を傾げる二人の疑問に、宰相が答えた。
「お前たちは特に重要な者たちを殺さず、捕虜として捕らえた。それ故の報酬だ」
それだけ伝えると、元の場所に戻った。
だが、ご褒美タイムはまだ終わらない。
この場にいる冒険者たちは、絶対に高位騎士と行動していた。
彼らの活躍を間近で見ており、その活躍ぶりはしっかり上の方に報告されている。
一緒に視線を潜り抜けてきた戦友ということもあり、自分の戦友がどれだけ強かったのかを報告する騎士は多い。
しかし……その中でも、やはりあの人物だけは飛び抜けて活躍していた。
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