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七百九十話 保証はない
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一分も経たないうちに、騎士一人と冒険者の魔法使いが一人戦死。
戦力バランスが崩れ、ソウスケたち側に少し余裕が生まれた。
(二人とも流石だな!!)
その更に数十秒後、ザハークとミレアナがルクローラ王国側の冒険者、騎士を討伐。
まだ戦力バランスが崩れたため、ソウスケは無理に攻めず、サポートに回った。
ソウスケたちが押しているとはいえ、ルクローラ王国側の騎士や冒険者に重傷を負わされた者もいる。
当然、騎士や兵士も傷や減った魔力を回復するポーションは用意してきているが、激戦の中で直ぐにそれらを飲めるか……もしくはぶっかけられるか?
答えは、そんな余裕殆どない。
戦力バランスが崩れた現在……自分たちの仲間が既に数人殺られた。
個々の戦力や数の力でも負けが見えている。
ではれば逃げるか?
それも一つの手ではあるが。
現在衝突した冒険者たちや騎士の情報を持ち帰り、今度は優位な技術や魔法を持つ者や、上位互換に相当する強者をぶつける。
そういった手段もあるが……私情が、このまま逃げることを許さない。
そして、仮に逃走を決断しても、敵が易々と逃がしてくれるとは思えない。
これらの考えが全員の共通認識となり……その結果、一人でも敵の戦力を削ろうという決断に至る。
(今だ!)
重傷者を一斉に狙おうとするが、ザハークを含めた殆ど傷がない者たちが、それを許さない。
その一瞬の隙に、ソウスケは亜空間からポーションを取り出し、重傷者に投げる。
勿論、決死の覚悟を決めた敵たちへの牽制も忘れない。
魔力の残量など気にせず、ジャベリン系の攻撃魔法を多数頭上から落とし、あわよくばそのまま討ち取ろうとも考えていた。
まだどれだけ体力や魔力が残っていれど、頭部を貫かれてしまえば、ブラックアウトは免れない。
運良く、一つのジャベリンを防ぎきれなかった冒険者を討ち取り、更に数を減らした。
「助かったぜソウスケ!!!」
「どうも!!」
重傷が癒えた冒険者は即座に最前線に戻り、数の暴力を増やす。
結果、三分後には衝突したルクローラ王国側の騎士や、冒険者の全滅成功。
「…………良し、少し休息を取ろう」
一つの戦闘が終わっても、直ぐには休息に移らない。
乱戦や戦争……冒険者にとっては、普段の狩りでも弱った標的を遠距離から狙うことは珍しくない。
全員が周囲の安全を確認してから休息に入る。
「戦死者、脱落者はなしか……滑り出しとしては、上々だな」
負傷者、重傷者は一人や二人ではない。
ザハークも最終的には幾つか傷を負った。
「さっきは本当に助かったぜ、ソウスケ」
「どういたしまして」
先程重傷を負い、バトル中にポーションを受け取った冒険者は、懐から一本のポーションをソウスケに渡した。
「ほら、多分一緒ぐらいのランクだ」
「? 別にいりませんよ」
「おいおい、そういう訳にはいかないだろ」
「いや、でも……さっき使ったポーションとかは、少し前に探索していたダンジョンから手に入れた宝箱に、そこそこ入ってたんで」
ポーションのランクによっては、宝箱に一本の場合もある。
だが、上級者向けダンジョンの様な難易度が高い下層で手に入る宝箱には、ランク三やランク四のポーションが十数本から数十本単位で入っている事は珍しくない。
「そ、そういえば学術都市のダンジョンに潜ってたんだっけ……でも、恩は直ぐに返したい主義なんだよ」
「それなら、戦争が終わった後に美味い飯を奢ってください。その約束の為に、このポーションが必要になるかもしれないで、受け取れません」
「……ふふ、まいったな。分かったよ、恩は飯で返させてもらうよ」
この戦争で死んではならない約束を結んでしまったため、死ねない理由が増えた冒険者は小さく笑い、「大したルーキーだと」褒めた。
だが、戦争はまだまだ始まったばかり。
今回の衝突で死ななかったからといって、次も死なない保証はない。
戦力バランスが崩れ、ソウスケたち側に少し余裕が生まれた。
(二人とも流石だな!!)
その更に数十秒後、ザハークとミレアナがルクローラ王国側の冒険者、騎士を討伐。
まだ戦力バランスが崩れたため、ソウスケは無理に攻めず、サポートに回った。
ソウスケたちが押しているとはいえ、ルクローラ王国側の騎士や冒険者に重傷を負わされた者もいる。
当然、騎士や兵士も傷や減った魔力を回復するポーションは用意してきているが、激戦の中で直ぐにそれらを飲めるか……もしくはぶっかけられるか?
答えは、そんな余裕殆どない。
戦力バランスが崩れた現在……自分たちの仲間が既に数人殺られた。
個々の戦力や数の力でも負けが見えている。
ではれば逃げるか?
それも一つの手ではあるが。
現在衝突した冒険者たちや騎士の情報を持ち帰り、今度は優位な技術や魔法を持つ者や、上位互換に相当する強者をぶつける。
そういった手段もあるが……私情が、このまま逃げることを許さない。
そして、仮に逃走を決断しても、敵が易々と逃がしてくれるとは思えない。
これらの考えが全員の共通認識となり……その結果、一人でも敵の戦力を削ろうという決断に至る。
(今だ!)
重傷者を一斉に狙おうとするが、ザハークを含めた殆ど傷がない者たちが、それを許さない。
その一瞬の隙に、ソウスケは亜空間からポーションを取り出し、重傷者に投げる。
勿論、決死の覚悟を決めた敵たちへの牽制も忘れない。
魔力の残量など気にせず、ジャベリン系の攻撃魔法を多数頭上から落とし、あわよくばそのまま討ち取ろうとも考えていた。
まだどれだけ体力や魔力が残っていれど、頭部を貫かれてしまえば、ブラックアウトは免れない。
運良く、一つのジャベリンを防ぎきれなかった冒険者を討ち取り、更に数を減らした。
「助かったぜソウスケ!!!」
「どうも!!」
重傷が癒えた冒険者は即座に最前線に戻り、数の暴力を増やす。
結果、三分後には衝突したルクローラ王国側の騎士や、冒険者の全滅成功。
「…………良し、少し休息を取ろう」
一つの戦闘が終わっても、直ぐには休息に移らない。
乱戦や戦争……冒険者にとっては、普段の狩りでも弱った標的を遠距離から狙うことは珍しくない。
全員が周囲の安全を確認してから休息に入る。
「戦死者、脱落者はなしか……滑り出しとしては、上々だな」
負傷者、重傷者は一人や二人ではない。
ザハークも最終的には幾つか傷を負った。
「さっきは本当に助かったぜ、ソウスケ」
「どういたしまして」
先程重傷を負い、バトル中にポーションを受け取った冒険者は、懐から一本のポーションをソウスケに渡した。
「ほら、多分一緒ぐらいのランクだ」
「? 別にいりませんよ」
「おいおい、そういう訳にはいかないだろ」
「いや、でも……さっき使ったポーションとかは、少し前に探索していたダンジョンから手に入れた宝箱に、そこそこ入ってたんで」
ポーションのランクによっては、宝箱に一本の場合もある。
だが、上級者向けダンジョンの様な難易度が高い下層で手に入る宝箱には、ランク三やランク四のポーションが十数本から数十本単位で入っている事は珍しくない。
「そ、そういえば学術都市のダンジョンに潜ってたんだっけ……でも、恩は直ぐに返したい主義なんだよ」
「それなら、戦争が終わった後に美味い飯を奢ってください。その約束の為に、このポーションが必要になるかもしれないで、受け取れません」
「……ふふ、まいったな。分かったよ、恩は飯で返させてもらうよ」
この戦争で死んではならない約束を結んでしまったため、死ねない理由が増えた冒険者は小さく笑い、「大したルーキーだと」褒めた。
だが、戦争はまだまだ始まったばかり。
今回の衝突で死ななかったからといって、次も死なない保証はない。
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