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三百九十六話 粉々の中に残っていた物

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ザハークが何かを仕掛けようとしている。それに気付いたミレアナとミレアナはクイーンメタルスパイダーの動きを止めようとする。

「風の刃よ」
        「「踊れ」」
「火の刃よ」

ソウスケとミレアナはお互いに十数個の刃を生み出し、地面天井関係無しに動かす。
威力よりも動かす速度が重視された風と火の刃にクイーンメタルスパイダーの逃げ道は一つしかない。

攻撃は受ける躱すか。受け流すという選択肢は無いメタルスパイダーは咄嗟に宙へ逃げるという選択肢を取った。

いや、選択肢を取ってしまったというべきだろう。

「安易な選択だったな」

逃げた先には水のハンマーを持ったザハークが同じく宙を飛んでいた。
目の前にいきなり敵が現れた。

だからといってメタルスパイダーの動きが止まることは無く、麻痺や毒が混ざった自慢の糸を吐こうとする。

しかしそれをソウスケとミレアナが許すはずが無く、風と火の刃が一つずつクイーンメタルスパイダーの顎に命中。

「潰れろ ブレイクハンマー」

ザハークの腕力をフルに生かした一撃をクイーンメタルスパイダーが躱す余裕は無く……頭だけ綺麗に刈り取られてしまう。

頭部を無くしても動き続けようとしたクイーンメタルスパイダーだが、三人にサッカーボールの様に十近く程蹴飛ばされ、ようやく大人しくなった。

「……見事に粉々になってるな」

「やっぱり潰してしまうのは良く無かったか?」

「いや、別に頭部ぐらいは構わないよ」

モンスターの頭部の部位はモンスターによってはかなり貴重な部分ではあるが、ソウスケとしてはそこまで求めていない。

ただ、幸運にも八つの目だけは残っていた。

「ザハークのあの一撃に耐える目って……どんだけ頑丈なんだよ」

目は基本的にモンスターの弱点だと思っていたソウスケだが、目が弱点では無いというモンスターがいることが解った。

「とりあえず……これでミッションコンプリートってところだな」

「そうだな。残っているとしても精々はぐれの連中だろう。特に気にする必要は無い筈だ」

「私もそう思います。ところでソウスケさん、解体はいつ行いますか?」

定期的に倒したモンスターの解体を行っているソウスケ達だが、今回倒したメタルスパイダー達を解体するにはそこそこな時間が必要になる。

「そうだなぁ……まだ夕方まで時間はあるだろうし、メタルスパイダーだけでも解体するか」

ギルドが管理している入り口以外の場所から外に出た三人は、血の匂いに惹かれてやってくるかもしれないモンスターを警戒しながら解体を始める。

三人ともベテラン並み、もしくはそれ以上の腕前があるのでサクサクとメタルスパイダーが解体されていく。
勿論流れる血の匂いに惹かれてモンスターがメタルスパイダーの死体を食べようとするが、ミレアナの風の針やソウスケの土の礫にザハークの水刃で瞬殺される。

血も無駄にしないように専用の瓶に入れていき、メタルスパイダーの分の解体は終了。

「……夕方より少し前ってところか。やっぱり解体は面倒だな。数をこなしたおかげで作業時間がちょっとは短くなってると思うけど」

「数が数ですからね。それで……こっちの死体はどうしますか」

ちょっとめんどくさそうな顔をしながらミレアナは血の匂いに惹かれてやって来たモンスターの死体に目を向ける。

「そう、だなぁ……今日はもう良いや。魔石も放っておいて帰る」

ソウスケにしては珍しい選択にザハークとミレアナは少し驚くが、早く夕食を食べたいと思っていた二人にソウスケの選択は有難かった。

そして夕食を食べ終え、風呂も入り終えたソウスケは自分のステータスを確認すると、称号が追加されていた。

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