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三百九十五話 考えている間に終了

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「さてと」

残りのメタルナイトスパイダーはミレアナとザハークに任せる。

なのでソウスケの仕事は後ろのデカい奴を逃がさない事。

「だ~か~ら~。子供だけ置いて逃げようとするのはいかがなものかと思うよ、クイーンメタルスパイダー」

身体強化を二重に発動したソウスケは一瞬でクイーンメタルスパイダーの前に立ちふさがる。

「生き物の本能的に生き残りたいって気持ちは解るけど、もう少し根性見せたらどうだ? いや、クイーンに根性見せろっていうのもおかしいのか?」

まるで戦う気が無いような言葉。
クイーンメタルスパイダーにソウスケの言葉は解からないが、表情から自分がどのような事を言われているのか大体理解出来る。

完全に自分の事を嘗めている。
戦意や殺気は感じられない。そこでクイーンメタルスパイダーはメタルナイトスパイダーがミレアナとザハークと戦っている間にソウスケを倒せないかと考える。

「とりあえず……二人が戦い終わるまでは完全通行止めだ」

ソウスケ自身から攻撃するつもりは無いが、自分より後ろには一歩も行かせないという強い意志。
それを感じたクイーンメタルスパイダーは出しかけた糸を止める。

どんな手を使えばこの場から逃げられるのか。それだけを考え続ける。
もうクイーンメタルスパイダーの頭の中に戦うという考えはなかった。

どうにかして生き延びる。生き延びれば自分を守る子供は幾らでも作れる。
だからどうにかして逃げ道を探さなければならい。

「正直、メタルスパイダーと強さはさほど変わりませんでしたね」

「ナイトとはいえ、脚は多少鋭かったがそれだけだ」

メタルナイトスパイダー達はミレアナに一切傷をつけることが出来ず、脳天を貫かれて昆虫特有のしぶとさで必死に一矢報いようとするが死亡。

ザハークに対しては脚と糸が直撃することはあったが、体の防御力を上げるスキルを使ったザハークの体に傷をつけることは出来ず、体を切断されて終了。

クイーンメタルスパイダーが逃走策を考えている間にメタルナイトスパイダーは全滅。
考えが纏まる暇さえ無かった。

「二人共余裕の勝利だったね」

(ミレアナの奴本当にメタルナイトスパイダーの攻撃を良く読めてたな。回避の技術に関しては俺より上かな。防御力もザハークに……蛇腹剣を使えば勝てるかな? って程度だね)

二人の成長を感じ取ったソウスケは左手に形を元に戻した蛇腹剣を握る。

「安心しろって。直ぐに子供達の元に送るからさ」

今度は明確にソウスケからの殺意を感じたクイーンメタルスパイダーは無数のネットを回転しながら噴射。
一秒でも、その何十分の一でも時間を稼ごうという考えでの攻撃。

「数多いな」

「大丈夫ですか、ザハーク」

「問題無い」

ソウスケは念の為に蛇腹剣に風の魔力を纏わせ、ミレアナは風の刃で、ザハークは水のチェーンカッターで切断。
クイーンメタルスパイダーが放った全てのネットはソウスケ達に当たることなく壁に張り付いた。

「素材としてはやっぱり欲しいよなぁ……いつも通り、頭を狙って潰すか」

「「了解」」

先程から戦意は放たれていた。しかし三人の目が一気に狩る側の目になり、クイーンメタルスパイダーに幻影を見せる程の恐怖を与える。

それでも負けじと爪、毒や麻痺に石化の効果を含んだ液体、メタルナイトスパイダー以上の切れ味にメタルスパイダー以上の粘着性を含んだ糸で応戦する。
糸には毒や麻痺も含まれており、搦手には十分な武器だった。

しかし魔力操作に長けたソウスケやミレアナには足裏に風の魔力を纏う事で弾かれ、ザハークは足裏に生み出した水に少し弾力性を持たせて移動する度に足場を作っていく。

そしてソウスケ達三人はあまりクイーンメタルスパイダーの体を傷付けないように各自、一点のみを集中して狙ってダメージを与える。
一か所だけならばクイーンメタルスパイダーは躱し続けることが出来たかもしれないが、三点ともなれば全てを躱すことは出来ない。

「終わりだ、クイーンメタルスパイダー」

ザハークが何かを仕掛けようとしている事に気が付いたソウスケとミレアナは即座にサポートに回った。
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