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「――と、ラヴィーニ、早く帰れ、用は済んだろ?」
「えー、まだ済んでいないよ」
「テレビも観て、緑茶も飲んだんだからいいだろう」
「うッふゥン、やだなあ、ヴィフレア、それじゃあ用が済んでないじゃぁ~ん?」
「……はぁ」わかりやすく溜め息を吐くヴィフレア。
「おまえの用はあってないようなものだろう」
「ひどぉ~い、ヴィフレアぁン」
ウソ泣きをするラヴィーニ。
その時、風が吹き、ラヴィーニの片眼鏡が飛んで割れた。
「鬱陶しい」
「ぷぎゃあ! ひどぉ~い、ヴィフレアぁ~~ン」
――斬新! ヴィフレアの眼鏡の叩き割り方、斬新!
しくしく、と泣きながら? 割れた片眼鏡を拾い上げ新しい片眼鏡をポンチョのような衣から取り出す。衣装も派手な色だがポンチョもまあまあ派手。
……慣れている。
片眼鏡を割られたというのにそんなに動揺もせず手際良く対処しているのを見て、きっとそのやりとりはヴィフレア達の間で習慣化されたやりとりなんだろうと想像した。そして何事もなかったかのようにラヴィーニは言う。
「うッふゥン、とりあえず緑茶お替わりくれるゥ?」
僕に目線を向けて言って来るので
「……は、はい」と言って緑茶を急須から湯呑に注ごうとすると
「待ったァ。ボクがやるよぉ」
「え?」
「さっき緑茶知らないと思われてたからボクが茶の一つや二つ淹れる事ができるって見せてあげるン♪」
……根に持っていたのか!
座卓を挟んだ向かいの位置にいるラヴィーニが膝立ちになる。手を伸ばし僕から茶筒、急須を取り上げ茶を淹れ出す。
言うだけあって『お茶の淹れ方』を調べた僕も関心するほど上手だった。
……緑茶を飲む経験が多かったのかな?
「緑茶に限らず、お茶を飲む経験は多いからねえン」
びっくりしたー。……心を読まれたのかと思った…。
「うッふゥン、僕のお茶を飲んで」
差し出されたお茶を飲む。……うまい。
「どう?」
「美味しいです」
「うッふゥン、でしょお? ヴィフレアも飲んでよお~」
「断る」
あきらかに顔がいやがっている。さっさと帰って欲しいのかヴィフレアが渋々、
「では、一口だけだ」
と、大きな溜め息を吐きながら飲んだ。
「えー、まだ済んでいないよ」
「テレビも観て、緑茶も飲んだんだからいいだろう」
「うッふゥン、やだなあ、ヴィフレア、それじゃあ用が済んでないじゃぁ~ん?」
「……はぁ」わかりやすく溜め息を吐くヴィフレア。
「おまえの用はあってないようなものだろう」
「ひどぉ~い、ヴィフレアぁン」
ウソ泣きをするラヴィーニ。
その時、風が吹き、ラヴィーニの片眼鏡が飛んで割れた。
「鬱陶しい」
「ぷぎゃあ! ひどぉ~い、ヴィフレアぁ~~ン」
――斬新! ヴィフレアの眼鏡の叩き割り方、斬新!
しくしく、と泣きながら? 割れた片眼鏡を拾い上げ新しい片眼鏡をポンチョのような衣から取り出す。衣装も派手な色だがポンチョもまあまあ派手。
……慣れている。
片眼鏡を割られたというのにそんなに動揺もせず手際良く対処しているのを見て、きっとそのやりとりはヴィフレア達の間で習慣化されたやりとりなんだろうと想像した。そして何事もなかったかのようにラヴィーニは言う。
「うッふゥン、とりあえず緑茶お替わりくれるゥ?」
僕に目線を向けて言って来るので
「……は、はい」と言って緑茶を急須から湯呑に注ごうとすると
「待ったァ。ボクがやるよぉ」
「え?」
「さっき緑茶知らないと思われてたからボクが茶の一つや二つ淹れる事ができるって見せてあげるン♪」
……根に持っていたのか!
座卓を挟んだ向かいの位置にいるラヴィーニが膝立ちになる。手を伸ばし僕から茶筒、急須を取り上げ茶を淹れ出す。
言うだけあって『お茶の淹れ方』を調べた僕も関心するほど上手だった。
……緑茶を飲む経験が多かったのかな?
「緑茶に限らず、お茶を飲む経験は多いからねえン」
びっくりしたー。……心を読まれたのかと思った…。
「うッふゥン、僕のお茶を飲んで」
差し出されたお茶を飲む。……うまい。
「どう?」
「美味しいです」
「うッふゥン、でしょお? ヴィフレアも飲んでよお~」
「断る」
あきらかに顔がいやがっている。さっさと帰って欲しいのかヴィフレアが渋々、
「では、一口だけだ」
と、大きな溜め息を吐きながら飲んだ。
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