攻撃と確率にステ振りしていたら最強になりました

りっくり

文字の大きさ
上 下
44 / 92

第四十三話 ボスのドレイン撃破と水の間

しおりを挟む
 スルトが地面に向かって拳を打ちつけると僕たちの下から炎が立ち上る。
 他のプレイヤーなら普通は攻撃を避けるところなのだが、僕とトモは【炎無効】のスキルを持っているので、その場から一歩も動かなかった。

「トモ! どうやってこのボス倒す?」
「やっぱり殴って倒そうぜ!」
「いや、いや。食べよう! 全身から火が出てるからジューシーだって!」
「そうか? 焦げた味がしそうなんだけど……」

 炎攻撃が全く効かない僕とトモは炎の中、平然とそんな話をしていた。

「どの倒し方にせよ、足を切ってからだ!」
「そうだな!」

 僕の提案にトモも賛同してくれたので、僕はスルトの足を切るために接近を開始する。
 
「ウォォォォォォォォ!」

 スルトは雄叫びを上げながら拳を振り下ろしてくる。拳の攻撃はダメージを受けてしまうと思われるので、僕は星斗天雷刃で拳を流す。そして足に一撃を与える。

「いてーっ!」

 スルトの足に攻撃を当てた瞬間、硬かったので手が痺れてしまう。足を切ることも一筋縄ではいかないようだ。
 スルトは僕が攻撃した方の足を上に上げ、踏みつけてくる。
 僕はダッシュで後退し、緊急回避を行う。スルトの足が地面につくと予想していた通りに複数の場所で噴火が起こる。噴火に当たってもダメージはないので、避けないのだが……。

「ダメージは通るんだけどスルトの足、固すぎる」
「何回も同じところに攻撃を当るしかないな」
「やっぱりそうだよなぁ! トモも僕が攻撃したところを集中的に狙ってくれよ!」
「任せろ! そういうのは得意だ!」

 トモと作戦会議をすると僕は再びスルトに接近し、同じ場所に攻撃する。  

「ウォーターアローウ!」

 僕が攻撃した場所にトモも水の矢を撃ち込む。そんな方法で攻撃を続けているとやっと足を切ることが出来た。足を切るだけで十分もかかってしまった。

「よっしゃぁぁぁ!」

 僕とトモは同時に歓声を上げる。足を切られたスルトは巨体を支えきれずにうつ伏せに倒れる。

「ではでは、一口」

 僕はスルトにかじりつく。

「やっぱりジューシーで美味しい! トモ、騙されたと思って食べてみて!」
「ヒビトがそこまで言うなら、一口だけ」

 トモもスルトにかじりつく。

「本当だ! 美味しい!」

 僕とトモはスルトを跡形もなく平らげた。

【レベルが60になりました‼︎ 灼熱を獲得しました‼︎】

「トモ、スキルゲットした?」
「おう! 灼熱だって」
「僕も灼熱を手に入れた」
「ヒビト! どんなスキルか、一緒に見ようぜ!」
「いいよ」

 トモがリンクメニューの操作を始めたので、僕は覗き込む。

【灼熱、半径三メートル以内にいるモンスターやプレイヤーを焼き尽くす。一日一回だけ使用可能。 獲得条件、スルトをドレイン撃破すること】

「トモ、ドレインって何?」
「このゲーム内でのドレインは吸収すると言う意味だ! 本来の意味は違うけど」
「それは知ってる! 次の階に進もう!」
「おう!」

 そんな話をすると僕とトモは階段を登っていく。
 次の階層のメイン通路のサイドには川が流れており、滝の流れる音が聞こえてくる。水の奏でるせせらぎに心が洗われて癒される。

「癒されるわ~!」
「リフレッシュできる音だな!」

 僕とトモは心地いい感動で心が満腹になっていた。

「何からやろうか?」
「もちろん! 第三回採掘対決でしょ!」
「やっぱりそうきたか……!」
「当たり前だ! 前回はぼろ負けしたから、今回は勝つ!」
「分かった! やるからには僕も負けない!」

 僕とトモはまた採掘対決を行ことになった。条件は一緒なのでいい勝負になりそうだ。【水無効】のスキルも手に入れたいので、死なない程度に水属性のモンスターの攻撃を受けようと思っている。
 僕が採掘しているとメイン通路のサイドに流れている川から足がはえた魚が二匹飛び出して来た。

「魚から足がはえてるじゃん! おもしろ!」

 僕は顔に気色を浮かべる。足が生えた魚は口から水の玉を撃ってくる。僕は【水無効】のスキルを手に入れるために避けることはせず、わざと攻撃を受ける。

「これくらいのダメージなら、ヒーリングプレスレットと歌唱のスキルで対処できるな!」
 
 僕は足が生えた魚の攻撃を無視して、採掘を続ける。

「あれ? さっきよりもダメージ量が増えた気がする……」

 HPの減りが最初に攻撃を受けた時よりも増えていたのだ。HPの下には水の雫のようなアイコンが付いている。

 防御力が減少したのだろうか……。回復は追いついているので、あまり気にしなくて良いのだが……。

 第三回採掘対決は十五分間、行われた。採掘対決はこれで三回目なのだが、ログハウスの修理に使えそうな素材は手に入っていない。リリにいいように利用されている気がする。

「ヒビト! どれくらい取れた?」
「これくらいだな!」

 僕はトモに第三回採掘対決の成果を見せる。

「なるほど、なるほど。俺の方が少しだけ多いな!」
「ちっ! 負けたか……」
「よっしゃぁ! これでヒビトに追いついたぞ!」
 
 トモは少しはしゃいだ口調で言う。現在の採掘対決の勝敗はお互いに一勝一敗一分けである。
 あと何回やれるか分からないが、僕とトモのどちらが勝つのか少しだけ楽しみだ。

「トモ! 水無効スキル手に入れた?」
「もちろんだ!」

 どうやら僕とトモは同じことを考えていたらしい。簡単にダンジョンを攻略するためにはこの方法が一番いい。
 しばらく歩いていると前の階層で見たことがあるお手玉をしている水属性のモンスターがいた。

「こいつ! この階層にもいるのかよ!」
「すべての階層にいるんじゃないか?」
「そんな気がしてきた。このダンジョンを作った人はどういう意図でこういう配置にしたと思う?」
「絶対に趣味だと思う!」
「趣味ならユーモアがある人だな! この先も面白いことがあるかも!」
「だな! ちょっくらスキルゲットしてくるわ!」
「おう! いってらっしゃい!」

 トモはそう言うとお手玉をしているモンスターのもとに向かっていく。またしてもトモは技を全て真似して戻ってきた。

「スキル手に入った?」
「もちろん! お手玉(水玉)だって!」
「お手玉(炎玉)の水バージョンか?」
「その通り!」
「このまま、全属性コンプリートしないとな!」
「そのつもりだ!」
 
 トモは決意を固めているようだ。僕とトモは奥に進んでいく。歩き出してから五分、僕は右足に何か違和感を覚える。

「トモ! ヤバイ!」
「何が?」
「何かボタンを押したかもしれない……」
「おい、おい、おい!」
「何か起きたら、ごめん!」

 ボタンを踏んでから一秒後、僕とトモの真下から水が吹き出してきた。

「うわぁぁぁぁぉぁぁ!」

 僕とトモは悲鳴を上げる。そして水に押されて、何処かに飛ばされてしまった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。 かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。 その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。 ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。 BLoveさんに先行書き溜め。 なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。

暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

処理中です...