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第四十四話 ダンス対決とボスを殴り倒し
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僕は水に飛ばされ、吹き出る水の上に着地した。着地した場所は人間が五人、乗れるだけの広さがある。
トモは僕の目の前に広がっている水で出来た観客席に座っていた。観客席にはこの階層のモンスターが集まっている。
「一体、これはどういう状況なんだぁぁぁぁぁ!」
この状況が全く飲み込めなかった。僕の絶叫が響き渡る。
僕の右隣にも水が噴き出ており、その上に乗っている人間の形をした水属性モンスターがダンスを踊っている。
観客席にいるモンスターもノリノリになっている。観客席に飛ばされたトモも周囲のモンスターに合わせて体を動かしている。
「ダンス対決をしろと言うことか……」
僕は状況を整理した後に呟く。
小さい頃、運動神経を良くするために一年間だけダンスを習っていた時期があるが、今となっては上手に踊れるか分からない。それに観客有りで踊るのは初めてなので、内心恥ずかしいと思っている。
しばらくしてダンスを終えたモンスターが僕を指差してくる。ダンスを振られてしまった。観客席のトモやモンスターの視線が集まる。
「こうなったら踊るしかないか……」
僕は羞恥《しゅうち》を押し殺してダンスを踊ろうと決意する。頭の上に乗っていたフウラは踊りたいらしく、頭の上から僕の左側に降りる。観客席のモンスターをびっくりさせないために大きさはそのままで踊るらしい。
「頑張ろうな! フウラ!」
「フォッコォォ!」
僕はフウラに掛け声をかけるとダンスを始める。僕が踊るダンスのジャンルはブレイクダンスだ。まずは体を慣らすために難易度の低い技を組み合わせて踊る。
フウラも体を動かしながらタイミングよく九本の尻尾で作った火の玉を一つずつ打ち上げる。勝ち上がった火の玉は上空で鬼の文字を作って爆発する。まるで花火みたいだ。
僕はこれを【鬼文字《きもんじ》】と名付ける。戦闘でも使えそうなスキルだ。
「かっこいいぞ! ヒビト!」
観客席から僕のことを眺めているだけのトモから賞賛の言葉が贈られる。(トモも見てないで参加せい!)と言いたくなるが、不可能なので今はトモの言葉をありがたく受け取っておく。
観客席にいるモンスターも隣で最初に踊っていたモンスターのダンスよりも盛り上がってくれている様子だ。
僕が今のところ優勢かな……。
隣にいるモンスターは今回、負けたと判断したのか、気持ちをすぐに切り替えてさっきよりも難易度の高い技を繰り出している。
「やるからには、絶対に負けない!」
僕は決意を固めつつ、さっきの踊りよりも難易度の高い技を組み合わせて踊る。フウラもしっかりと僕のリズムに合わせて体を動かしながら【鬼文字】を発動する。
お互いにダンスの披露が終了した。判定は最初にダンスを披露した時の様子を見る限り、観客席のモンスターの盛り上がり具合だと思われる。
結果的に僕はダンス対決に勝利した。負けたモンスターは消滅する。さらにいつの間にかボス部屋の前に転送されていた。
【ダンスを獲得しました‼︎ 水門の鍵を手に入れました‼︎】
「さっきまでの出来事は夢だったのか……?」
僕は数秒前の出来事に疑問が雲のごとく湧き起こる。
「何かスキルを手に入れたのか?」
「手に入れたよ」
「それなら夢ではないと思うぞ!」
「それは分かってるんだけど、なんか不思議だと思った」
「まぁ……確かに……よく作り込まれている!」
「だよな! このダンジョンの制作者のファンになった!」
僕は顔に喜色を浮かべながら言う。
「俺もだ!」
トモも僕と同じ表情で言葉を発する。
「ボス部屋に入るぞ!」
「いつでも」
僕とトモは扉を開けて中に入っていく。部屋に入ると巨大なタコがポツリと立っていた。
「余裕で倒せそうだな!」
水がないところでのタコは弱いイメージしかないので、こんな感想を述べた。
「そうだな! 今回は殴り倒そうぜ!」
「いいよ! 前の階層では僕のわがままを聞いてくれたからな!」
「よっしゃぁ! やるぜ!」
トモは気合を入れて、接近を開始する。僕もトモの後に続く。
巨大タコから五メートルくらいまで接近した時に巨大タコが足を上げる。すると巨大タコの下から水が溢れてくる。僕とトモは水の流れに逆らえずに十メートルくらい流される。そして部屋は二十秒も経たずに水で埋め尽くされた。
僕とトモは呼吸をするために上に向かって泳ぐが、空気があるところはなかった。このままでは溺れ死んでしまう。
HPがみるみると減っていく。HPが残り二割をきった頃にストレージの中から水門の鍵が出てきた。僕は鍵を手に取り鍵を開ける動作をやってみる。すると僕とトモを包むように空気の泡が出現する。
「死ぬかと思った……」
「助かったぜ……ヒビト……」
僕とトモは大きく息を吸い込み呟く。トラップを踏まなかったら開始早々死ぬという現象が起きる仕組みらしい。やっぱりこのダンジョンは良くできている。
僕とトモは地面に着地して回復を行い、巨大タコを見る。巨大タコの名前はクラーケンでHPは十万くらいある。
「仕切り直しだ! いくぜ、ヒビト!」
「おう!」
僕とトモはクラーケンに向かって一直線に泳いで進んでいく。クラーケンは口から水のブレスを放ってくるが全く効かないのでそのまま進み同時に口にフックを直撃させる。
武器はないものの僕とトモはSTRに多めに振っているので、しっかりとクラーケンのHPを奪うことができる。クラーケンは少しだけ後退する。
「まず一発! この調子で攻めるぞ!」
「おう!」
トモがはつらつとした声で言ってくるので、僕も明るく弾んだ声で答える。
クラーケンは足を鞭のように振ってくる。クラーケンが足を振ると水の斬撃が発生する。
僕とトモは避けず、もう一撃当てるために接近する。僕はクラーケンの上から拳を振るう。トモはクラーケンの下から拳を振るう。タコの頭を挟み込む形になった。
「柔らか!」
「気持ちいな! この頭!」
クラーケンの頭は弾力があり、触り心地が良かったのだ。この後も順調に攻撃を当てていき、クラーケンのHPは一割ほどになった。
クラーケンは体を高速回転させて突っ込んでくる。
「向かい打つぞ! ヒビト!」
「その言葉を待ってた!」
僕とトモは多くのMPを消費して、拳に気を貯める。
「悪鬼羅刹《あっきらっせつ》‼︎」
僕とトモは拳をクラーケンにぶつけ、気を放出する。このスキルはクラーケンに殴り続けたことで手に入れたものだ。拳とクラーケンがぶつかった時に衝撃でこの場だけ、水が消し飛ぶ。僕とトモはそのままクラーケンを押し切り消滅させた。
【水没を手に入れました‼︎ レベルが61になりました‼︎】
「また変なスキル手に入れた! ヒビトと一緒にいるとこういうスキルが手に入るわ~!」
「今回の倒し方はトモの発案だぞ!」
「それもそうだ!」
僕とトモは笑い合う。その雰囲気のまま。次の階層に登っていった。
トモは僕の目の前に広がっている水で出来た観客席に座っていた。観客席にはこの階層のモンスターが集まっている。
「一体、これはどういう状況なんだぁぁぁぁぁ!」
この状況が全く飲み込めなかった。僕の絶叫が響き渡る。
僕の右隣にも水が噴き出ており、その上に乗っている人間の形をした水属性モンスターがダンスを踊っている。
観客席にいるモンスターもノリノリになっている。観客席に飛ばされたトモも周囲のモンスターに合わせて体を動かしている。
「ダンス対決をしろと言うことか……」
僕は状況を整理した後に呟く。
小さい頃、運動神経を良くするために一年間だけダンスを習っていた時期があるが、今となっては上手に踊れるか分からない。それに観客有りで踊るのは初めてなので、内心恥ずかしいと思っている。
しばらくしてダンスを終えたモンスターが僕を指差してくる。ダンスを振られてしまった。観客席のトモやモンスターの視線が集まる。
「こうなったら踊るしかないか……」
僕は羞恥《しゅうち》を押し殺してダンスを踊ろうと決意する。頭の上に乗っていたフウラは踊りたいらしく、頭の上から僕の左側に降りる。観客席のモンスターをびっくりさせないために大きさはそのままで踊るらしい。
「頑張ろうな! フウラ!」
「フォッコォォ!」
僕はフウラに掛け声をかけるとダンスを始める。僕が踊るダンスのジャンルはブレイクダンスだ。まずは体を慣らすために難易度の低い技を組み合わせて踊る。
フウラも体を動かしながらタイミングよく九本の尻尾で作った火の玉を一つずつ打ち上げる。勝ち上がった火の玉は上空で鬼の文字を作って爆発する。まるで花火みたいだ。
僕はこれを【鬼文字《きもんじ》】と名付ける。戦闘でも使えそうなスキルだ。
「かっこいいぞ! ヒビト!」
観客席から僕のことを眺めているだけのトモから賞賛の言葉が贈られる。(トモも見てないで参加せい!)と言いたくなるが、不可能なので今はトモの言葉をありがたく受け取っておく。
観客席にいるモンスターも隣で最初に踊っていたモンスターのダンスよりも盛り上がってくれている様子だ。
僕が今のところ優勢かな……。
隣にいるモンスターは今回、負けたと判断したのか、気持ちをすぐに切り替えてさっきよりも難易度の高い技を繰り出している。
「やるからには、絶対に負けない!」
僕は決意を固めつつ、さっきの踊りよりも難易度の高い技を組み合わせて踊る。フウラもしっかりと僕のリズムに合わせて体を動かしながら【鬼文字】を発動する。
お互いにダンスの披露が終了した。判定は最初にダンスを披露した時の様子を見る限り、観客席のモンスターの盛り上がり具合だと思われる。
結果的に僕はダンス対決に勝利した。負けたモンスターは消滅する。さらにいつの間にかボス部屋の前に転送されていた。
【ダンスを獲得しました‼︎ 水門の鍵を手に入れました‼︎】
「さっきまでの出来事は夢だったのか……?」
僕は数秒前の出来事に疑問が雲のごとく湧き起こる。
「何かスキルを手に入れたのか?」
「手に入れたよ」
「それなら夢ではないと思うぞ!」
「それは分かってるんだけど、なんか不思議だと思った」
「まぁ……確かに……よく作り込まれている!」
「だよな! このダンジョンの制作者のファンになった!」
僕は顔に喜色を浮かべながら言う。
「俺もだ!」
トモも僕と同じ表情で言葉を発する。
「ボス部屋に入るぞ!」
「いつでも」
僕とトモは扉を開けて中に入っていく。部屋に入ると巨大なタコがポツリと立っていた。
「余裕で倒せそうだな!」
水がないところでのタコは弱いイメージしかないので、こんな感想を述べた。
「そうだな! 今回は殴り倒そうぜ!」
「いいよ! 前の階層では僕のわがままを聞いてくれたからな!」
「よっしゃぁ! やるぜ!」
トモは気合を入れて、接近を開始する。僕もトモの後に続く。
巨大タコから五メートルくらいまで接近した時に巨大タコが足を上げる。すると巨大タコの下から水が溢れてくる。僕とトモは水の流れに逆らえずに十メートルくらい流される。そして部屋は二十秒も経たずに水で埋め尽くされた。
僕とトモは呼吸をするために上に向かって泳ぐが、空気があるところはなかった。このままでは溺れ死んでしまう。
HPがみるみると減っていく。HPが残り二割をきった頃にストレージの中から水門の鍵が出てきた。僕は鍵を手に取り鍵を開ける動作をやってみる。すると僕とトモを包むように空気の泡が出現する。
「死ぬかと思った……」
「助かったぜ……ヒビト……」
僕とトモは大きく息を吸い込み呟く。トラップを踏まなかったら開始早々死ぬという現象が起きる仕組みらしい。やっぱりこのダンジョンは良くできている。
僕とトモは地面に着地して回復を行い、巨大タコを見る。巨大タコの名前はクラーケンでHPは十万くらいある。
「仕切り直しだ! いくぜ、ヒビト!」
「おう!」
僕とトモはクラーケンに向かって一直線に泳いで進んでいく。クラーケンは口から水のブレスを放ってくるが全く効かないのでそのまま進み同時に口にフックを直撃させる。
武器はないものの僕とトモはSTRに多めに振っているので、しっかりとクラーケンのHPを奪うことができる。クラーケンは少しだけ後退する。
「まず一発! この調子で攻めるぞ!」
「おう!」
トモがはつらつとした声で言ってくるので、僕も明るく弾んだ声で答える。
クラーケンは足を鞭のように振ってくる。クラーケンが足を振ると水の斬撃が発生する。
僕とトモは避けず、もう一撃当てるために接近する。僕はクラーケンの上から拳を振るう。トモはクラーケンの下から拳を振るう。タコの頭を挟み込む形になった。
「柔らか!」
「気持ちいな! この頭!」
クラーケンの頭は弾力があり、触り心地が良かったのだ。この後も順調に攻撃を当てていき、クラーケンのHPは一割ほどになった。
クラーケンは体を高速回転させて突っ込んでくる。
「向かい打つぞ! ヒビト!」
「その言葉を待ってた!」
僕とトモは多くのMPを消費して、拳に気を貯める。
「悪鬼羅刹《あっきらっせつ》‼︎」
僕とトモは拳をクラーケンにぶつけ、気を放出する。このスキルはクラーケンに殴り続けたことで手に入れたものだ。拳とクラーケンがぶつかった時に衝撃でこの場だけ、水が消し飛ぶ。僕とトモはそのままクラーケンを押し切り消滅させた。
【水没を手に入れました‼︎ レベルが61になりました‼︎】
「また変なスキル手に入れた! ヒビトと一緒にいるとこういうスキルが手に入るわ~!」
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「それもそうだ!」
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