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悪童の流儀(2)※
(24)
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艶やかな眼差しでレジナルドを捉えながら、力の抜けたその手を捧げ持ち、ジェイムズはうっとりと口づける。
「これほど魅力的な姿をしていながら、見る者を切なくさせる微笑みで幻惑していながら、君がこれまで無事でいられたのは、『哀しみの聖母』のせいだ」
「何を、言って…」
「その唯一無二の微笑みで悪童をも受け止める君に、『館』の誰もが焦がれていた。だが、どれほど君が欲しくても、その微笑みを壊すような真似をしたら、もう二度と微笑んでもらえないという恐怖。そして君は誰にも公平にやさしいが、どこまでも公平だ。誰一人として君の特別にはならない。ウィズリーの腰抜けたちは、自ら聖母を遠ざけるくらいなら、恋情に蓋をして崇拝者でいることに甘んじたということだ」
同窓生をまとめて嘲るその言葉には、何故か自嘲の響きがある。体内の雄の律動が落ち着いていることに励まされ、体の奥からじわじわとにじみ出る快感に声が跳ねないように堪えながら、レジナルドは掠れた声で気になったことを訊ねた。
「君だって、昔は何もなかったし、問題児ではあったけれど、特に親しくもなかったじゃないか」
「これほど魅力的な姿をしていながら、見る者を切なくさせる微笑みで幻惑していながら、君がこれまで無事でいられたのは、『哀しみの聖母』のせいだ」
「何を、言って…」
「その唯一無二の微笑みで悪童をも受け止める君に、『館』の誰もが焦がれていた。だが、どれほど君が欲しくても、その微笑みを壊すような真似をしたら、もう二度と微笑んでもらえないという恐怖。そして君は誰にも公平にやさしいが、どこまでも公平だ。誰一人として君の特別にはならない。ウィズリーの腰抜けたちは、自ら聖母を遠ざけるくらいなら、恋情に蓋をして崇拝者でいることに甘んじたということだ」
同窓生をまとめて嘲るその言葉には、何故か自嘲の響きがある。体内の雄の律動が落ち着いていることに励まされ、体の奥からじわじわとにじみ出る快感に声が跳ねないように堪えながら、レジナルドは掠れた声で気になったことを訊ねた。
「君だって、昔は何もなかったし、問題児ではあったけれど、特に親しくもなかったじゃないか」
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