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ハイド・パークの昼食、あるいはデート
(14)
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優雅な仕草でワイングラスを手にする様は、いつもと変わらない貴族のそれだ。だが気は抜けない。それとなく目を遣りつつ自分のグラスに水を満たし、クラレットを飲まない代わりに珈琲も碗に注いだ。
受け取ったサンドウィッチを口に運べば、相変わらずの美味だ。だが、なかなか喉を通らない。緊張で口の中が乾いているせいだ。グラスに手を伸ばし水で喉を湿らせていると、それまで黙っていたジェイムズが声を掛けてくる。
「さっきから落ち着かないようだが?」
(誰のせいだ、誰の!)
詰め寄りたいのをぐっと堪え、何事もないように答える。
「気のせいじゃないか?」
「こちらを窺っているようだが…私に見惚れているなら、好きなだけそうするといい」
「ぐっ…!!」
液体であるはずの水が固体となって喉に詰まった。どうにか飲み込んだが、派手に咳き込んでしまう。
涙を浮かべて苦しい呼吸を繰り返すレジナルドの背中を撫でてやりながら、諸悪の根源はしみじみとその感想を述べた。
「相変わらず随分と細いな、監督生。もう少し肉を付けないと、抱き心地が悪そうだ」
「ジェイムズ!!」
受け取ったサンドウィッチを口に運べば、相変わらずの美味だ。だが、なかなか喉を通らない。緊張で口の中が乾いているせいだ。グラスに手を伸ばし水で喉を湿らせていると、それまで黙っていたジェイムズが声を掛けてくる。
「さっきから落ち着かないようだが?」
(誰のせいだ、誰の!)
詰め寄りたいのをぐっと堪え、何事もないように答える。
「気のせいじゃないか?」
「こちらを窺っているようだが…私に見惚れているなら、好きなだけそうするといい」
「ぐっ…!!」
液体であるはずの水が固体となって喉に詰まった。どうにか飲み込んだが、派手に咳き込んでしまう。
涙を浮かべて苦しい呼吸を繰り返すレジナルドの背中を撫でてやりながら、諸悪の根源はしみじみとその感想を述べた。
「相変わらず随分と細いな、監督生。もう少し肉を付けないと、抱き心地が悪そうだ」
「ジェイムズ!!」
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