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ランチのために
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忠次は本当に嫉妬してくれていたのだろうか。
もしそうだとしたら、いや、そうだとしなかったとしても俺は今まで最低なことをしていたかもしれない。付き合っている相手をほっぽらかして他のやつと楽しくお昼を食べていたなんて。
「忠次、仕事順調か?」
ノックをしてガラリと開けた生徒会室の中にいたのは忠次だけだった。
担任と話している間に時間が経っていたので、他の役員は寮へ帰ったのだろう。
忠次は俺の顔を見ると嬉しそうに微笑んだ。
「凛太郎、どうしたんですか?」
「あ、いや。忠次と話したいなぁと思って」
「ふふ。最近はどちらかの部屋で一緒に過ごしているから、こんなところにわざわざ来なくても会えるのに……でも、嬉しいです」
そう言って笑う忠次はやはりこの間までのわずかな暗さがない。
「あ、のさ。この間のことなんだが」
「あ~。凛太郎が可愛かった日のことですか?」
「いや、まぁ、そう。その日のことなんだけが」
「はい」
「あの日まで、忠次少し暗いことあっただろ」
そう言うと、忠次はびっくりした顔をした。
まさか俺にバレているとは思っていなかったような顔だ。
俺はそのまま続けた。
「俺、忠次が悩みについて言いたくないんだと思って聞けなかったけど、もしかして俺に関係してる?」
「っ……!」
忠次の体があからさまにギクリと強張るのが分かった。
「あ、えっと。言いたくねぇなら良いんだけど。俺の思い上がりだったら盛大に笑ってくれて構わねぇし、何なら勘違いやろうだと殴ってくれても良いんだけど……嫉妬してくれたり……した?」
回りくどくなってしまったが聞きたいことを聞くことができた。
忠次は珍しく視線をあちこちに散らして動揺しているようだった。
「……すみません」
忠次はうなだれながら本当に申し訳なさそうに蚊のなくような声で謝って来た。
「えっ。何で忠次が謝るんだよ」
「だってこんな醜い感情を……。大人気ないし、私は嫌な性格です」
「醜くなんかないだろ! えっと、少なくとも俺は嬉しい。忠次が嫉妬してくれて。だけど……ごめん。全然気がつかなくて」
「凛太郎は何も悪くないでしょう?」
「いや無神経だった。これからは気をつけたいし直したい。だから嫌なことがあったらすぐに言ってくれないか? 忠次を嫌な気持ちにさせたくない。これからはお昼も教室で取るようにする」
「私は……。確かに優生くんに嫉妬していました。だけど、今は……。あの日凛太郎に抱かれてからは何だか心に余裕ができたんです。だから今まで通りお昼は優生くんと食べてください」
「でも……」
「お願いです。でも、私も食べられる日があったら一緒にいいですか?」
「え!? そんな日があるのか!?」
「あ、ええっと。1ヶ月に1回くらいは……」
「本当か!! そうしよう!!」
「はい」
忠次も嬉しそうに笑ってくれた。
だが俺は忠次とお昼を食べられる可能性を視野に入れてしまったら1ヶ月に1回じゃ満足できない。
もっとその機会を増やしてもらうために俺はあることを取り組み始めた。
初めて忠次とここでコーヒーを飲んだ時、読んだ本。そう、エクセルの勉強だ。
多分忠次がやっている作業にも、その他の役員がやっている作業にも自動化できる作業があるはずだ。それをもしも俺が実装できたとしたら忠次の仕事が減る。そして俺とお昼を食べられる。
俺は早速忠次に許可を得て生徒会室にあったエクセルの本を寮へと持ち帰って勉強を始めた。
もしそうだとしたら、いや、そうだとしなかったとしても俺は今まで最低なことをしていたかもしれない。付き合っている相手をほっぽらかして他のやつと楽しくお昼を食べていたなんて。
「忠次、仕事順調か?」
ノックをしてガラリと開けた生徒会室の中にいたのは忠次だけだった。
担任と話している間に時間が経っていたので、他の役員は寮へ帰ったのだろう。
忠次は俺の顔を見ると嬉しそうに微笑んだ。
「凛太郎、どうしたんですか?」
「あ、いや。忠次と話したいなぁと思って」
「ふふ。最近はどちらかの部屋で一緒に過ごしているから、こんなところにわざわざ来なくても会えるのに……でも、嬉しいです」
そう言って笑う忠次はやはりこの間までのわずかな暗さがない。
「あ、のさ。この間のことなんだが」
「あ~。凛太郎が可愛かった日のことですか?」
「いや、まぁ、そう。その日のことなんだけが」
「はい」
「あの日まで、忠次少し暗いことあっただろ」
そう言うと、忠次はびっくりした顔をした。
まさか俺にバレているとは思っていなかったような顔だ。
俺はそのまま続けた。
「俺、忠次が悩みについて言いたくないんだと思って聞けなかったけど、もしかして俺に関係してる?」
「っ……!」
忠次の体があからさまにギクリと強張るのが分かった。
「あ、えっと。言いたくねぇなら良いんだけど。俺の思い上がりだったら盛大に笑ってくれて構わねぇし、何なら勘違いやろうだと殴ってくれても良いんだけど……嫉妬してくれたり……した?」
回りくどくなってしまったが聞きたいことを聞くことができた。
忠次は珍しく視線をあちこちに散らして動揺しているようだった。
「……すみません」
忠次はうなだれながら本当に申し訳なさそうに蚊のなくような声で謝って来た。
「えっ。何で忠次が謝るんだよ」
「だってこんな醜い感情を……。大人気ないし、私は嫌な性格です」
「醜くなんかないだろ! えっと、少なくとも俺は嬉しい。忠次が嫉妬してくれて。だけど……ごめん。全然気がつかなくて」
「凛太郎は何も悪くないでしょう?」
「いや無神経だった。これからは気をつけたいし直したい。だから嫌なことがあったらすぐに言ってくれないか? 忠次を嫌な気持ちにさせたくない。これからはお昼も教室で取るようにする」
「私は……。確かに優生くんに嫉妬していました。だけど、今は……。あの日凛太郎に抱かれてからは何だか心に余裕ができたんです。だから今まで通りお昼は優生くんと食べてください」
「でも……」
「お願いです。でも、私も食べられる日があったら一緒にいいですか?」
「え!? そんな日があるのか!?」
「あ、ええっと。1ヶ月に1回くらいは……」
「本当か!! そうしよう!!」
「はい」
忠次も嬉しそうに笑ってくれた。
だが俺は忠次とお昼を食べられる可能性を視野に入れてしまったら1ヶ月に1回じゃ満足できない。
もっとその機会を増やしてもらうために俺はあることを取り組み始めた。
初めて忠次とここでコーヒーを飲んだ時、読んだ本。そう、エクセルの勉強だ。
多分忠次がやっている作業にも、その他の役員がやっている作業にも自動化できる作業があるはずだ。それをもしも俺が実装できたとしたら忠次の仕事が減る。そして俺とお昼を食べられる。
俺は早速忠次に許可を得て生徒会室にあったエクセルの本を寮へと持ち帰って勉強を始めた。
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