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真犯人は誰

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それから自分は大丈夫だからしばらくはそのままにしておこうと忠次が言うので、俺は噂の元を辿りながら、表向きは何も行動を起こさなかった。
ただ、琢磨しかできる人物がいないとしても俺は琢磨を信じたかった。
そんな卑怯な真似をするような人間だと思いたくなかった。

でも。


もしも琢磨だったとしたら。

そう思ったら会長に話すのも怖くなった。
俺と友達になりたいと言った会長に言っても琢磨みたいになってしまうかもしれない。

会長はそんなことはしないと分かっている。
でも俺は琢磨に対してもそう思っていたんだ。

琢磨はその噂が流れるようになってから、また俺を避けるようになった。
俺と目が合うと泣き笑いみたいな顔で去っていく。
俺と今まで通り友達でいたいと言っていたのにな。

俺たちが行動を起こさないのをいいことに、噂はどんどん大きくなっていった。

「琢磨を信じてあげてよっ」

ある日、下校時間に下駄箱で和馬からそう言われた。

「和馬」
「リンくんは……琢磨が流したと思っているかもしれないけど、琢磨はリンくんが大好きなんだよ? リンくんのことを傷つけるかもしれないのに……あんな噂流すわけないでしょ!」

和馬は涙目で俺に訴えてきた。
だが俺はどうしようもなく違和感に駆られた。

「ああ。俺もそう信じたい」
「じゃあ」
「ところで、和馬は何の噂のことを言っている?」
「そんなの、副会長のだよ」
「そうか」
「あ、ねぇリンくん?」

俺を呼び止める和馬を置いて俺は先を急いだ。
そして、一服エリアに向かった。

和馬が後ろをついてきていないのを確認して、その辺りを捜索した。
そして探していたものを見つけた。

俺たちがいつも座るベンチの下に小さな盗聴器が付けられていた。

俺はその場で電話をかけた。

「忠次? ねぇすぐエッチしようよ。今すぐきて」
『はぁ!? お前かけ間違ってんじゃねぇよ……ったく。おい、結城お前に電話だ』

電話の向こうで会長が焦ったようにそう言った。

「あ、ちょっと待ってよ。場所はさ、旧校舎横のベンチだよ。ていうか今どこ?」
『……生徒会室だが』

会長は察してくれたのか答えてくれた。

「えぇ~。誰といるの。俺以外の男とあんま仲良くしないでよね」
『結城と俺の2人だけだ。よく分かんねぇけど今から向かう』

そう言ってプツリと電話を切られた。

すぐにスマホで忠次にメッセージを送った。

『会長と一緒に旧校舎横に来て。こっそり。そんで会長にはどっか潜んでてもらって』

そうしてすぐに忠次が到着した。
ちなみに会長に電話をする必要はなかったが何となくからかいたい気分だったので仕方ない。

「忠次、会いたかった。旧校舎でしようよ」
「はい。何だかするのは久しぶりな気がしますね」
「ああ。だからもう我慢できない」

忠次も状況をよく分かってないくせにノリノリだ。

俺は忠次と一緒に旧校舎に入った。
これで犯人……いや、和馬は誘き出されてくれるだろうか。
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