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律葉視点 律葉の恋13
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もしかしたら僕を泊めてくれるのは会長かなぁ、と思いながらも放課後になって、結局誰の部屋に向かえば良いのか分からないまま、生徒会室に向かった。
「お疲れ様でーす」
「ああ、律葉くん。お疲れ様」
「あれ? 今日は金田先輩いないんですか?」
いつも会長の周りを仕事も放棄気味でうろついているのに今日は珍しく金田先輩の姿がない。
扉横にあるホワイトボードには、いないメンバーが何をしているのか記されていて、副会長や副会長補佐は別件で仕事に出ていることが書かれていたし、広報補佐も席を外していることが書かれていたが金田先輩のところは空白になっていた。
「ああ、何だか家の方で問題が起こったらしくてね。今日は早退したみたい」
「そうなんですね」
会長が片付けている書類の終了分を受け取って、それぞれ整理を始めると、会長は「ふぅ」と息を吐いた。
「お疲れですね」
「この雨だからねぇ。雨って気分まで落ちるからさ。ああ、そうだ。律葉くんは俺の部屋に寝泊りすることになったからね」
「え?」
「約束したでしょ? 嵐の時は俺の部屋に来るって」
会長はそう言っていつも通り目を弓なりにして微笑んだ。
確かに、会長かなぁと思っていたし期待もしていたけど、あんまりにもあっさりしているから、びっくりした。
「それとも、約束している相手がいた?」
「え、いえ。そんなことないです。会長の部屋で嬉しいです」
「ふふ。律葉くんは可愛いことを言ってくれるね」
「っ」
会長がそう言って優しい顔をして微笑むから、僕は顔に一気に熱が集まるのが分かった。
「もう。生徒会室でイチャイチャするのやめてもらえる!? 僕たちが居るの見えてるの!?」
「す、鈴木くん、ごめん」
書記に任命された鈴木くんが、目を吊り上げて怒り始めた。
部屋の中には鈴木くんの他に、中井くんもいたけど、中井くんは我関せずと言う感じでパソコンに向かってカタカタと作業をしている。
「でも、イチャイチャなんてそんな。大体、会長は僕を嫌いなんだから」
「はあ!?」
驚きの声を上げたのは、鈴木くんではなく、会長だった。
「え……え……?」
鈴木くんは叫ぶどころかむしろ会長の奇行に怯え、僕と一緒に肩を抱き合ってガタガタと震えている。
そんな僕たちの様子を見て、会長はぐっと歯を食いしばったように見えた。
「……はぁ。いや……。ごめんね。声を荒げて」
「え、い、いえ」
それから少しの間、みんな無言だった。
「その。こんな天気ですし、気が立つのも仕方ないですよ」
肩を抱き合っていた鈴木くんを、そっと離して、会長に向かってそう言った。
だって、せっかくあの会長の部屋に泊めてもらえる約束をしているのに、こんな変な雰囲気のままだなんてごめんだし。
そもそも、こんなに誰にでも分け隔てない接し方の会長が、僕を嫌っているんだなんて、完全に失言だったと、今更ながら気がついてしまった。逆に自意識過剰だと思われてしまうかもしれない。けれどずっとそう思っていたから口からポロっと出てしまったのだ。
「あー、そういえば、えーと。あ、この学園の経営者が変わるんだってさ。君、知ってた?」
「え、知らなかった。そうなんだ」
鈴木くんが空気を変えようとしてくれているのが分かって、僕もそれにすぐさま乗った。
それに、学園の経営者が変わるなんて話、全然知らなかったから純粋に驚いた。
「そうらしいよ。だから校長とか先生たちとか忙しいらしいし、新しい学園の経営者の兼ね合いで、金持ち連中の家が騒がしいんだってさ」
「そうなんだ。まぁ、でも。僕たちは金持ちとは程遠いし学園の方針に大きく影響しない限りは、何も変わらなそうだね」
「そうだねぇ」
そんな風に話していると、それ以降会長も何事もなく普通に話してくれて、変な空気もなくなった。鈴木くんには大感謝だ。
金持ち連中が忙しいと言っていたから、もしかしたら金田先輩もそういう事情で居ないのかもと思った。
中井くんと鈴木くんは仕事を終えて一緒に帰って行き、後には会長と僕が残された。けれどいつも通り仕事する間、先ほどまで鈴木くんたちが居てくれたおかげで、とくに気まずい思いをしなくて済んだ。
会長がサラサラとボールペンで書類に書き込む音が止まって、ふぅと息を吐いた。
「そろそろ帰ろうか」
「はい! えっと、お世話になります」
「ん」
そうして僕は、自分の部屋とは違ってやや豪華で新しい寮に、会長と会話しながら向かった。
「お疲れ様でーす」
「ああ、律葉くん。お疲れ様」
「あれ? 今日は金田先輩いないんですか?」
いつも会長の周りを仕事も放棄気味でうろついているのに今日は珍しく金田先輩の姿がない。
扉横にあるホワイトボードには、いないメンバーが何をしているのか記されていて、副会長や副会長補佐は別件で仕事に出ていることが書かれていたし、広報補佐も席を外していることが書かれていたが金田先輩のところは空白になっていた。
「ああ、何だか家の方で問題が起こったらしくてね。今日は早退したみたい」
「そうなんですね」
会長が片付けている書類の終了分を受け取って、それぞれ整理を始めると、会長は「ふぅ」と息を吐いた。
「お疲れですね」
「この雨だからねぇ。雨って気分まで落ちるからさ。ああ、そうだ。律葉くんは俺の部屋に寝泊りすることになったからね」
「え?」
「約束したでしょ? 嵐の時は俺の部屋に来るって」
会長はそう言っていつも通り目を弓なりにして微笑んだ。
確かに、会長かなぁと思っていたし期待もしていたけど、あんまりにもあっさりしているから、びっくりした。
「それとも、約束している相手がいた?」
「え、いえ。そんなことないです。会長の部屋で嬉しいです」
「ふふ。律葉くんは可愛いことを言ってくれるね」
「っ」
会長がそう言って優しい顔をして微笑むから、僕は顔に一気に熱が集まるのが分かった。
「もう。生徒会室でイチャイチャするのやめてもらえる!? 僕たちが居るの見えてるの!?」
「す、鈴木くん、ごめん」
書記に任命された鈴木くんが、目を吊り上げて怒り始めた。
部屋の中には鈴木くんの他に、中井くんもいたけど、中井くんは我関せずと言う感じでパソコンに向かってカタカタと作業をしている。
「でも、イチャイチャなんてそんな。大体、会長は僕を嫌いなんだから」
「はあ!?」
驚きの声を上げたのは、鈴木くんではなく、会長だった。
「え……え……?」
鈴木くんは叫ぶどころかむしろ会長の奇行に怯え、僕と一緒に肩を抱き合ってガタガタと震えている。
そんな僕たちの様子を見て、会長はぐっと歯を食いしばったように見えた。
「……はぁ。いや……。ごめんね。声を荒げて」
「え、い、いえ」
それから少しの間、みんな無言だった。
「その。こんな天気ですし、気が立つのも仕方ないですよ」
肩を抱き合っていた鈴木くんを、そっと離して、会長に向かってそう言った。
だって、せっかくあの会長の部屋に泊めてもらえる約束をしているのに、こんな変な雰囲気のままだなんてごめんだし。
そもそも、こんなに誰にでも分け隔てない接し方の会長が、僕を嫌っているんだなんて、完全に失言だったと、今更ながら気がついてしまった。逆に自意識過剰だと思われてしまうかもしれない。けれどずっとそう思っていたから口からポロっと出てしまったのだ。
「あー、そういえば、えーと。あ、この学園の経営者が変わるんだってさ。君、知ってた?」
「え、知らなかった。そうなんだ」
鈴木くんが空気を変えようとしてくれているのが分かって、僕もそれにすぐさま乗った。
それに、学園の経営者が変わるなんて話、全然知らなかったから純粋に驚いた。
「そうらしいよ。だから校長とか先生たちとか忙しいらしいし、新しい学園の経営者の兼ね合いで、金持ち連中の家が騒がしいんだってさ」
「そうなんだ。まぁ、でも。僕たちは金持ちとは程遠いし学園の方針に大きく影響しない限りは、何も変わらなそうだね」
「そうだねぇ」
そんな風に話していると、それ以降会長も何事もなく普通に話してくれて、変な空気もなくなった。鈴木くんには大感謝だ。
金持ち連中が忙しいと言っていたから、もしかしたら金田先輩もそういう事情で居ないのかもと思った。
中井くんと鈴木くんは仕事を終えて一緒に帰って行き、後には会長と僕が残された。けれどいつも通り仕事する間、先ほどまで鈴木くんたちが居てくれたおかげで、とくに気まずい思いをしなくて済んだ。
会長がサラサラとボールペンで書類に書き込む音が止まって、ふぅと息を吐いた。
「そろそろ帰ろうか」
「はい! えっと、お世話になります」
「ん」
そうして僕は、自分の部屋とは違ってやや豪華で新しい寮に、会長と会話しながら向かった。
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