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律葉視点 律葉の恋10
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誰の名前を書けばいいんだか、僕はちっとも分からなくて、結局日がくれても作業部屋にいた。
「こんばんは」
「わぁっ!!」
急に耳元でささやかれ、心臓が止まりそうになりながらも、後ろを振り返ると会長が居た。
「くく……。ごめんね。あんまりにも集中していたから」
「心臓が止まるかと思いました」
笑いを堪えるような顔をする会長を俺が恨みを込めた目で見ると、会長はそれすらも面白いというように、また喉の奥を鳴らした。
「誰に入れるか、まだ書けていないの?」
「はい。だって、皆んなそれぞれ良いところがあるし。そう簡単には決められないですよ」
「そっか」
会長は、1つ椅子を引いて、そこに座った。
どうやら、まだこの部屋に居るつもりらしい。
「今日も様子を見にきたんですか? もう書類整理は終わって、僕たちは何もしてないですけど」
「んー。それもあるんだけどね。校長から呼び出されてたんだよ」
「校長から?」
「そ。最近高校が増えたらしくて。いくらこの学園が名門と言っても、うちを希望する学生が減っているんだとか。それをどうにかしろって。生徒に言うことじゃあないよねぇ」
うんざり。と言うように、机に突っ伏す会長が何だか可愛く感じて僕は少し笑った。
「じゃあ、また生徒会は忙しくなりそうですね」
「まぁ、そうなるかなぁ」
以前から生徒会の仕事は多いと思っていたけど、またさらに仕事を押し付けられてきたらしい会長は、それでもなんだかんだやってのけるのだろう。
「コーヒーでも飲みますか?」
「……お願い」
「了解です」
いつもと同じようにコーヒーを入れながら、ふと心配になった。
「そういえば、僕は苦いコーヒーは飲めないんですけど、僕が入れたコーヒーって苦いんですか?」
「え? 律葉くんは苦いの飲めないの? いつも苦めだから好きなんだと思ってたよ」
「やっぱり苦いんですね。自分の分はミルク入れるから全然気がついてませんでした。少し薄めて作りましょうか?」
「ううん。俺は、律葉くんの入れてくれたコーヒー、好きだよ」
「っ……それなら良いんですけど」
僕の入れたコーヒーが好きだと言っているのであって、僕が好きだと言われたわけではないのに、胸がドキッとなって、それからギュッと切なさが込み上げた。
そして、少しだけむかつきもした。
だって以前に、1人の時間が好きだから僕がいると迷惑だと言ったくせに、どうして早く寮に帰って1人にならないで、こんな所に居るんだろうか。やっぱりあの時のあれは、僕を体よく追い出すための口実だったのだろうか。
会長はそれから静かにコーヒーを飲んで、フラッと帰って行った。
僕はその後、例の箱に紙を入れてから横の部屋に戻って、もうすでに眠りについている4人の横で布団に入って眠った。
翌朝、みんな気まずげな顔をしながら昼まで待って、作業部屋で金田先輩による開封作業が始まった。
僕たちには書いてある名前は伏せられて、全ての紙が開封されたあと、金田先輩はピラリと1枚の紙を僕たちに向けた。
「この紙を書いたのは誰?」
「僕です」
僕は手を上げてそれに応えた。
「んー。僕は、自分以外の4人の中から1人選んで名前を書いてと言ったんだけど、理解できていなかったかな?」
「理解した上で書いたものです」
金田先輩は不快そうに僕の書いた紙をクシャと握りつぶした。
「野田くん。君はルール違反で失格だね。ここまで頑張っていたのに残念だなぁ」
そう言った顔は、言葉とは裏腹に笑いそうになるのを抑えるかのように口元を歪めていた。
「遅れて申し訳ない。ちょっと聞こえていたんだけど、金田くんが持っている紙は何と書いてあったのかな?」
「会長っ」
会長が遅れて入ってきて、金田先輩にそう尋ねた。
「見せてくれるかな?」
「……はい」
会長が手を出すと、金田先輩は不服そうな顔をしながらも僕たちの投票した紙を全て渡した。
会長はそれを全て見て、ニヤリと笑った。
「面白いね。俺は良いと思うな」
「そんなっ」
金田先輩は目を見開いてうろたえたが会長はそれをスルーして続けた。
「最近、仕事が増えてどうしたものかと思っていたんだよ。会長補佐に、副会長補佐。それに新しく広報というのも良い」
「じゃあ!」
思わず叫んだ。
「まぁ、良いとは思うけど俺たちでは何とも。校長先生に伺ってからでないと。でも、良い返事を貰えるように俺が掛け合ってくるよ」
「っ、ありがとうございます!!」
どうせ、来年には大体このメンバーは生徒会に入るのだ。
そうなった時に補佐をやっていたほうが仕事をスムーズに受け継げるし、昨日会長が言っていたうちの学園を受験する生徒数の減少についても、専門で動く役職があっても良いと思い、投票の紙にそう書いた。
そう簡単に許可してもらえるとは思っていなかったけど、会長が動いてくれるならきっとこの件はうまくいってくれると思い、僕はとても嬉しくなった。
「こんばんは」
「わぁっ!!」
急に耳元でささやかれ、心臓が止まりそうになりながらも、後ろを振り返ると会長が居た。
「くく……。ごめんね。あんまりにも集中していたから」
「心臓が止まるかと思いました」
笑いを堪えるような顔をする会長を俺が恨みを込めた目で見ると、会長はそれすらも面白いというように、また喉の奥を鳴らした。
「誰に入れるか、まだ書けていないの?」
「はい。だって、皆んなそれぞれ良いところがあるし。そう簡単には決められないですよ」
「そっか」
会長は、1つ椅子を引いて、そこに座った。
どうやら、まだこの部屋に居るつもりらしい。
「今日も様子を見にきたんですか? もう書類整理は終わって、僕たちは何もしてないですけど」
「んー。それもあるんだけどね。校長から呼び出されてたんだよ」
「校長から?」
「そ。最近高校が増えたらしくて。いくらこの学園が名門と言っても、うちを希望する学生が減っているんだとか。それをどうにかしろって。生徒に言うことじゃあないよねぇ」
うんざり。と言うように、机に突っ伏す会長が何だか可愛く感じて僕は少し笑った。
「じゃあ、また生徒会は忙しくなりそうですね」
「まぁ、そうなるかなぁ」
以前から生徒会の仕事は多いと思っていたけど、またさらに仕事を押し付けられてきたらしい会長は、それでもなんだかんだやってのけるのだろう。
「コーヒーでも飲みますか?」
「……お願い」
「了解です」
いつもと同じようにコーヒーを入れながら、ふと心配になった。
「そういえば、僕は苦いコーヒーは飲めないんですけど、僕が入れたコーヒーって苦いんですか?」
「え? 律葉くんは苦いの飲めないの? いつも苦めだから好きなんだと思ってたよ」
「やっぱり苦いんですね。自分の分はミルク入れるから全然気がついてませんでした。少し薄めて作りましょうか?」
「ううん。俺は、律葉くんの入れてくれたコーヒー、好きだよ」
「っ……それなら良いんですけど」
僕の入れたコーヒーが好きだと言っているのであって、僕が好きだと言われたわけではないのに、胸がドキッとなって、それからギュッと切なさが込み上げた。
そして、少しだけむかつきもした。
だって以前に、1人の時間が好きだから僕がいると迷惑だと言ったくせに、どうして早く寮に帰って1人にならないで、こんな所に居るんだろうか。やっぱりあの時のあれは、僕を体よく追い出すための口実だったのだろうか。
会長はそれから静かにコーヒーを飲んで、フラッと帰って行った。
僕はその後、例の箱に紙を入れてから横の部屋に戻って、もうすでに眠りについている4人の横で布団に入って眠った。
翌朝、みんな気まずげな顔をしながら昼まで待って、作業部屋で金田先輩による開封作業が始まった。
僕たちには書いてある名前は伏せられて、全ての紙が開封されたあと、金田先輩はピラリと1枚の紙を僕たちに向けた。
「この紙を書いたのは誰?」
「僕です」
僕は手を上げてそれに応えた。
「んー。僕は、自分以外の4人の中から1人選んで名前を書いてと言ったんだけど、理解できていなかったかな?」
「理解した上で書いたものです」
金田先輩は不快そうに僕の書いた紙をクシャと握りつぶした。
「野田くん。君はルール違反で失格だね。ここまで頑張っていたのに残念だなぁ」
そう言った顔は、言葉とは裏腹に笑いそうになるのを抑えるかのように口元を歪めていた。
「遅れて申し訳ない。ちょっと聞こえていたんだけど、金田くんが持っている紙は何と書いてあったのかな?」
「会長っ」
会長が遅れて入ってきて、金田先輩にそう尋ねた。
「見せてくれるかな?」
「……はい」
会長が手を出すと、金田先輩は不服そうな顔をしながらも僕たちの投票した紙を全て渡した。
会長はそれを全て見て、ニヤリと笑った。
「面白いね。俺は良いと思うな」
「そんなっ」
金田先輩は目を見開いてうろたえたが会長はそれをスルーして続けた。
「最近、仕事が増えてどうしたものかと思っていたんだよ。会長補佐に、副会長補佐。それに新しく広報というのも良い」
「じゃあ!」
思わず叫んだ。
「まぁ、良いとは思うけど俺たちでは何とも。校長先生に伺ってからでないと。でも、良い返事を貰えるように俺が掛け合ってくるよ」
「っ、ありがとうございます!!」
どうせ、来年には大体このメンバーは生徒会に入るのだ。
そうなった時に補佐をやっていたほうが仕事をスムーズに受け継げるし、昨日会長が言っていたうちの学園を受験する生徒数の減少についても、専門で動く役職があっても良いと思い、投票の紙にそう書いた。
そう簡単に許可してもらえるとは思っていなかったけど、会長が動いてくれるならきっとこの件はうまくいってくれると思い、僕はとても嬉しくなった。
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