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続編
第24話『終わりの始まり』
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4月30日、火曜日。
目を覚ますと、部屋の中がうっすらと明るくなっていた。
「ふああっ……よく寝た」
この明るさだと……夜明け頃だろうか。壁にかかっている時計を見ると、針が午前6時過ぎを指していた。もうそんな時間なのか。
あと、小さいけど雨音が聞こえてくる。そういえば、寝る前に今日の天気を確認したら、雨が降って肌寒くなる予報になっていたな。
「由弦君……」
美優先輩の声が聞こえたので見てみると、先輩は今も俺の腕をぎゅっと抱きしめながらぐっすりと寝ていた。平日を中心に先輩の方が早く起きることが多いので、こうして先輩の可愛い寝顔を見られることに幸せを感じる。平成最後の目覚めはとてもいいものになった。
ふとんがお腹のあたりまでめくれて寒いのでふとんをかける。温かいし、美優先輩の甘い匂いも感じられて幸せだな。まだ早いから二度寝するか。
「うんっ……」
美優先輩はそんな可愛らしい声を出すと、ゆっくり目を覚ました。俺と目が合うと、先輩はニッコリと笑う。
「おはよう、由弦君」
「おはようございます、美優先輩。起こしちゃいましたか? ついさっき目を覚ましたんですけど、ふとんがお腹の辺りまでめくれていたので」
「ううん、そんなことないよ。いい目覚めだったし。いい夢も見られたような気がして」
「それなら良かったです」
「……ねえ、平成最後のおはようのキスをして? リビングに誰もいないし」
「おはようのキスは毎日しますけど、今日で平成最後ですから特別な感じがしますね。まだ朝早いですし、いつもよりも多めにしましょうか」
「うん!」
美優先輩は笑顔のまま目を瞑る。キスを待つ先輩の顔も可愛いんだよな。
俺は美優先輩にそっと唇を重ねる。平日だとこれで終わりだけど、今日は休日であり平成最後でもある。両手を先輩の背中に回す。そんな俺のことを受け入れるかのように、先輩も両手を俺の背中に回してきた。
「んっ……」
抱きしめ合ってキスすることで気持ちが高まってきたのか、美優先輩は舌を絡ませてくる。先輩ってこういうキスが大好きなのかもしれない。
やがて、美優先輩の方から唇を離す。彼女はうっとりしながら俺のことを見つめる。そんな彼女の唇が湿っていることが艶やかに思えた。
「平成最後のおはようのキス、たっぷりと味わっちゃった。朝から幸せな気持ちにさせてくれてありがとう」
「そう言ってくれて俺も幸せです。まさか、平成が終わる日に、こうして同棲する恋人とおはようのキスをしているとは思いませんでした」
「私もだよ。でも、その恋人が由弦君で本当に良かった。令和になってもたくさんキスしようね」
「もちろんです」
俺がそう言うと、今度は美優先輩の方から口を重ねる。約束のキスってことかな。
明日の朝は令和最初のおはようのキスということで、今日以上にたっぷりとスするかもしれないな。
「こうしていると、昨日の夜のことを思い出すね。鎖骨や首にキスされて」
「……ですね。あのときは本当にドキドキしました。より美優先輩を感じました」
「……そう言われると、凄く照れちゃうな」
えへへっ、と美優先輩ははにかんでいる。俺も何てことを言ったんだと思う。体が熱くなっていくのが分かるけれど、自分以上に強い熱を美優先輩から伝わってきた。今日は肌寒いから、このまま美優先輩のことを抱きしめながらゆっくりしたい気分。
「ねえ、由弦君」
「何でしょう?」
「……昨日は鎖骨とか、首筋だけだったけれど、今度はそれ以外にもキスしていいよ。ううん、由弦君ならむしろそうしてほしいな」
「……分かりました」
「約束ね」
そう言って、今度は美優先輩の方からキスをしてくる。
恋人として付き合うようになってから、美優先輩はより積極的な一面を見せることが多くなった。特に2人きりの状況だと。令和では少しずつでも美優先輩のことをリードできるようになっていきたいな。
「へえ、昨日の夜はそんなことをしていたのね」
すると、ソファーから寝間着姿の雫姉さんが姿を現す。そんな姉さんは不敵な笑みを浮かべる。
「本当にゆーくんと美優ちゃんってラブラブだよね! 令和になってもお幸せに!」
「……き、きゃあああっ!」
あまりにも恥ずかしかったのか、美優先輩は顔を真っ赤にして叫び、俺のことを今一度ぎゅっと抱きしめて、顔を俺の胸の中に埋めてしまった。
まさか、雫姉さんがソファーに隠れていたなんて。今まで全然気付かなかった。
「……雫姉さん。いつからいたんだ?」
「10分くらい前かな。ここちゃん達がまだ寝ているから、ゆーくんと美優ちゃんの様子を見に来たの。昨日の夜に2人が何かしてても、さすがに早朝まで続いていることはないと思って。もちろん、昨日の夜はこっそりとここに来たり、覗いたり、聞き耳を立てたりなんてことはしてないからね」
「一応、その言葉は覚えておくよ」
「もう、信用してくれていいのに。話は戻るけれど、ここに来たら2人がぐっすりと眠っていて。2人の寝顔が可愛かったから写真を撮ったの」
「……盗撮は犯罪だぞ。あとで、俺のスマホにその写真を送ってくれるなら不問にするけど」
「じゃあ、送るね」
すると、部屋の中からスマートフォンの鳴る音が聞こえる。確か、俺と美優先輩のスマホはテレビの前にあるテーブルに置いたはず。
雫姉さんから俺のスマートフォンを渡してもらい、姉さんから送ってもらった写真を確認する。俺と美優先輩が寄り添い合って眠っていた。俺の寝顔は恥ずかしいけど、俺の腕を抱きしめて眠る先輩の寝顔が可愛らしいので許してやろう。
「まあ、この写真だったら許すよ。それで、写真を撮った後はずっとソファーに寝そべりながら隠れていたのか?」
「そうだよ。ただ、肌寒いから、寝室に戻って二度寝しようと思ったんだけど、そうしたらゆーくんが起きて。面白いことになりそうな予感がしたから、2人に気付かれないように隠れていたの」
「全然気付かなかったよ。リビングには美優先輩と俺しかいないと思ってた」
「だろうね。だから、起きてすぐの美優ちゃんとイチャイチャしていたんでしょ? 美優ちゃんの可愛い声と、2人の舌の絡む音で興奮しちゃった」
雫姉さんはその言葉通りの表情を浮かべている。今のような感じで、ソファーに寝そべりながら隠れていたと思うと気持ち悪いな。
「昨日の夜もおふとんの中で色々したみたいだし、2人が本当にラブラブなんだなと分かって今に至る。見ていたのが4人の中で一番大人なお姉ちゃんで良かったね。このことは秘密にしておくよ」
雫姉さんは唇に右手の人差し指を宛て、俺達に向かってウインクしてきた。寝顔の写真をくれたのはいいけれど、見られていたのが雫姉さんだったのは運が悪いと思う。
今もなお、美優先輩は俺の胸に顔を埋めている。
「ううっ……恥ずかしい……」
「まさか、雫姉さんがいるとは思いませんでしたよね。俺も恥ずかしいです。ただ、美優先輩は何も悪くありませんよ」
強いて言うなら悪いのは雫姉さん……と言おうとしたけど、美優先輩の寝顔も写っている写真をもらったので思い留まった。
「雫姉さん。美優先輩のためにも昨日の夜のことや、おはようのキスをたくさんしたのは黙っておいて。寝顔が可愛かったことくらいは言ってもいいけど」
「分かったわ。お姉ちゃんの心の中にしまっておくね」
雫姉さんは落ち着いた笑みを浮かべながらそう言ってくれるけど、弱みを握られた気がして複雑な気分だ。ただ、美優先輩にも関わっているので、風花や心愛達に喋ってしまうことはないだろう。
その後、美優先輩の恥ずかしさがある程度落ち着くまで、俺は先輩のことを抱きしめて、頭をずっと優しく撫で続けるのであった。
目を覚ますと、部屋の中がうっすらと明るくなっていた。
「ふああっ……よく寝た」
この明るさだと……夜明け頃だろうか。壁にかかっている時計を見ると、針が午前6時過ぎを指していた。もうそんな時間なのか。
あと、小さいけど雨音が聞こえてくる。そういえば、寝る前に今日の天気を確認したら、雨が降って肌寒くなる予報になっていたな。
「由弦君……」
美優先輩の声が聞こえたので見てみると、先輩は今も俺の腕をぎゅっと抱きしめながらぐっすりと寝ていた。平日を中心に先輩の方が早く起きることが多いので、こうして先輩の可愛い寝顔を見られることに幸せを感じる。平成最後の目覚めはとてもいいものになった。
ふとんがお腹のあたりまでめくれて寒いのでふとんをかける。温かいし、美優先輩の甘い匂いも感じられて幸せだな。まだ早いから二度寝するか。
「うんっ……」
美優先輩はそんな可愛らしい声を出すと、ゆっくり目を覚ました。俺と目が合うと、先輩はニッコリと笑う。
「おはよう、由弦君」
「おはようございます、美優先輩。起こしちゃいましたか? ついさっき目を覚ましたんですけど、ふとんがお腹の辺りまでめくれていたので」
「ううん、そんなことないよ。いい目覚めだったし。いい夢も見られたような気がして」
「それなら良かったです」
「……ねえ、平成最後のおはようのキスをして? リビングに誰もいないし」
「おはようのキスは毎日しますけど、今日で平成最後ですから特別な感じがしますね。まだ朝早いですし、いつもよりも多めにしましょうか」
「うん!」
美優先輩は笑顔のまま目を瞑る。キスを待つ先輩の顔も可愛いんだよな。
俺は美優先輩にそっと唇を重ねる。平日だとこれで終わりだけど、今日は休日であり平成最後でもある。両手を先輩の背中に回す。そんな俺のことを受け入れるかのように、先輩も両手を俺の背中に回してきた。
「んっ……」
抱きしめ合ってキスすることで気持ちが高まってきたのか、美優先輩は舌を絡ませてくる。先輩ってこういうキスが大好きなのかもしれない。
やがて、美優先輩の方から唇を離す。彼女はうっとりしながら俺のことを見つめる。そんな彼女の唇が湿っていることが艶やかに思えた。
「平成最後のおはようのキス、たっぷりと味わっちゃった。朝から幸せな気持ちにさせてくれてありがとう」
「そう言ってくれて俺も幸せです。まさか、平成が終わる日に、こうして同棲する恋人とおはようのキスをしているとは思いませんでした」
「私もだよ。でも、その恋人が由弦君で本当に良かった。令和になってもたくさんキスしようね」
「もちろんです」
俺がそう言うと、今度は美優先輩の方から口を重ねる。約束のキスってことかな。
明日の朝は令和最初のおはようのキスということで、今日以上にたっぷりとスするかもしれないな。
「こうしていると、昨日の夜のことを思い出すね。鎖骨や首にキスされて」
「……ですね。あのときは本当にドキドキしました。より美優先輩を感じました」
「……そう言われると、凄く照れちゃうな」
えへへっ、と美優先輩ははにかんでいる。俺も何てことを言ったんだと思う。体が熱くなっていくのが分かるけれど、自分以上に強い熱を美優先輩から伝わってきた。今日は肌寒いから、このまま美優先輩のことを抱きしめながらゆっくりしたい気分。
「ねえ、由弦君」
「何でしょう?」
「……昨日は鎖骨とか、首筋だけだったけれど、今度はそれ以外にもキスしていいよ。ううん、由弦君ならむしろそうしてほしいな」
「……分かりました」
「約束ね」
そう言って、今度は美優先輩の方からキスをしてくる。
恋人として付き合うようになってから、美優先輩はより積極的な一面を見せることが多くなった。特に2人きりの状況だと。令和では少しずつでも美優先輩のことをリードできるようになっていきたいな。
「へえ、昨日の夜はそんなことをしていたのね」
すると、ソファーから寝間着姿の雫姉さんが姿を現す。そんな姉さんは不敵な笑みを浮かべる。
「本当にゆーくんと美優ちゃんってラブラブだよね! 令和になってもお幸せに!」
「……き、きゃあああっ!」
あまりにも恥ずかしかったのか、美優先輩は顔を真っ赤にして叫び、俺のことを今一度ぎゅっと抱きしめて、顔を俺の胸の中に埋めてしまった。
まさか、雫姉さんがソファーに隠れていたなんて。今まで全然気付かなかった。
「……雫姉さん。いつからいたんだ?」
「10分くらい前かな。ここちゃん達がまだ寝ているから、ゆーくんと美優ちゃんの様子を見に来たの。昨日の夜に2人が何かしてても、さすがに早朝まで続いていることはないと思って。もちろん、昨日の夜はこっそりとここに来たり、覗いたり、聞き耳を立てたりなんてことはしてないからね」
「一応、その言葉は覚えておくよ」
「もう、信用してくれていいのに。話は戻るけれど、ここに来たら2人がぐっすりと眠っていて。2人の寝顔が可愛かったから写真を撮ったの」
「……盗撮は犯罪だぞ。あとで、俺のスマホにその写真を送ってくれるなら不問にするけど」
「じゃあ、送るね」
すると、部屋の中からスマートフォンの鳴る音が聞こえる。確か、俺と美優先輩のスマホはテレビの前にあるテーブルに置いたはず。
雫姉さんから俺のスマートフォンを渡してもらい、姉さんから送ってもらった写真を確認する。俺と美優先輩が寄り添い合って眠っていた。俺の寝顔は恥ずかしいけど、俺の腕を抱きしめて眠る先輩の寝顔が可愛らしいので許してやろう。
「まあ、この写真だったら許すよ。それで、写真を撮った後はずっとソファーに寝そべりながら隠れていたのか?」
「そうだよ。ただ、肌寒いから、寝室に戻って二度寝しようと思ったんだけど、そうしたらゆーくんが起きて。面白いことになりそうな予感がしたから、2人に気付かれないように隠れていたの」
「全然気付かなかったよ。リビングには美優先輩と俺しかいないと思ってた」
「だろうね。だから、起きてすぐの美優ちゃんとイチャイチャしていたんでしょ? 美優ちゃんの可愛い声と、2人の舌の絡む音で興奮しちゃった」
雫姉さんはその言葉通りの表情を浮かべている。今のような感じで、ソファーに寝そべりながら隠れていたと思うと気持ち悪いな。
「昨日の夜もおふとんの中で色々したみたいだし、2人が本当にラブラブなんだなと分かって今に至る。見ていたのが4人の中で一番大人なお姉ちゃんで良かったね。このことは秘密にしておくよ」
雫姉さんは唇に右手の人差し指を宛て、俺達に向かってウインクしてきた。寝顔の写真をくれたのはいいけれど、見られていたのが雫姉さんだったのは運が悪いと思う。
今もなお、美優先輩は俺の胸に顔を埋めている。
「ううっ……恥ずかしい……」
「まさか、雫姉さんがいるとは思いませんでしたよね。俺も恥ずかしいです。ただ、美優先輩は何も悪くありませんよ」
強いて言うなら悪いのは雫姉さん……と言おうとしたけど、美優先輩の寝顔も写っている写真をもらったので思い留まった。
「雫姉さん。美優先輩のためにも昨日の夜のことや、おはようのキスをたくさんしたのは黙っておいて。寝顔が可愛かったことくらいは言ってもいいけど」
「分かったわ。お姉ちゃんの心の中にしまっておくね」
雫姉さんは落ち着いた笑みを浮かべながらそう言ってくれるけど、弱みを握られた気がして複雑な気分だ。ただ、美優先輩にも関わっているので、風花や心愛達に喋ってしまうことはないだろう。
その後、美優先輩の恥ずかしさがある程度落ち着くまで、俺は先輩のことを抱きしめて、頭をずっと優しく撫で続けるのであった。
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