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続編
第23話『いつもと違う夜』
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俺達がお風呂から出たとき、時刻は午後10時を過ぎていた。
リビングに戻ると、白鳥3姉妹はソファーに座りテレビを観ながら談笑している。
移動の疲れもあってか特に心愛と朱莉ちゃん、葵ちゃんは眠たそうだ。また、葵ちゃんはもうそろそろ寝る時刻らしいので、今日はもう寝ることにした。
さて、問題の寝る場所だが。
雫姉さん、心愛、朱莉ちゃん、葵ちゃんはお風呂できょうだいや姉妹の時間を過ごしたので、美優先輩と俺で一緒に眠ってほしいという。
ベッドの横に敷いたふとんに雫姉さんと心愛、美優先輩のベッドに朱莉ちゃんと葵ちゃんが一緒に横になることができたので、寝室で4人が寝ることに。そのため、先輩と俺はリビングにふとんを敷いて寝ることにした。
風花に6人ともうちで寝る旨をメッセージで伝えると、すぐに、
『分かった。誰か来るかなって楽しみにしていたけどね。おやすみ、また明日』
という返信が届いた。誰かと一緒に寝られるかもと期待するほど、4人と仲良くなれたようで良かった。
「姉さんのベッドをお借りしますね。姉さん、由弦さん、おやすみなさい」
「おやすみ! お姉ちゃん! 由弦さん!」
「この4人で同じ部屋に寝るなんて、合宿とか修学旅行みたいで楽しそう。美優さん、お兄ちゃん、おやすみなさい。また明日ね」
「おやすみ、ゆーくん、美優ちゃん。私達は邪魔するつもりはないから、2人きりの夜の時間をたっぷりと楽しんでね」
「お、お姉様! まあ、由弦君と2人きりで、同じふとんで眠れるのは嬉しいですけど。……あううっ」
美優先輩は赤くなった頬に両手を当てている。俺と目が合うと露骨に視線を逸らす。まったく、俺だけじゃなくて心愛達のいる前で変なことを言って。
「まあ、雫姉さん以外は変なことはしないって信じてるよ。雫姉さん、リビングを覗いたり、スマホやデジカメで盗撮したりしないでね」
「もう、ゆーくんったら。そんなことしないわよ。だって、寝室にはここちゃんに朱莉ちゃんに葵ちゃんっていう3人の可愛い女の子がいるんだもの」
雫姉さんは幸せそうな笑みを浮かべながらそう言う。さっき、俺の背中にいたずらをしたのであまり信用できないけど、可愛い女の子3人と一緒に寝るのは事実。
「心愛、朱莉ちゃん、葵ちゃん。雫姉さんから何か変なことや嫌なことをされたら、いつでもリビングに逃げてきていいからね」
「もう、ゆーくんったら。3人に変なことはしないって」
「い、一応覚えておきますね、由弦さん。では、葵、心愛ちゃん、雫さん。寝室に行きましょうか。では、おやすみなさい」
4人はリビングを後にして、寝室に入っていった。
アルバムやホームビデオを見たり、夕食を一緒に食べたりすることを通じて4人の仲が良くなっているように見えるし、姉さんが変なことをしない限りは大丈夫だろう。
「じゃあ、私達も寝ようか」
「そうですね」
廊下に繋がる扉を閉め、照明を消すと、窓から入ってくる月明かりのおかげで、リビングの中の様子が何とか分かる状況だ。
窓の近くに敷いたふとんには美優先輩が既に横になっており、俺のためにスペースを空けてくれている。俺の方を向いて、ふとんをポンポンと軽く叩く。これまで、ベッドで一緒に眠るときにもこういうことはあったけど、なぜか今日はその光景が艶やかに思えるのだ。
「由弦君、おいで」
「はい。失礼します」
俺も横になって、胸の辺りまで掛け布団をかける。
すると、すぐに美優先輩が俺の腕を抱きしめてきた。そのせいなのか、それとも美優先輩のベッドよりも狭いからなのか、はたまたお風呂から出てそこまで時間が経っていないからなのか。いつもよりも強くボディーソープの甘い匂いを感じる。もちろん、美優先輩自体の匂いも。
「あぁ、あったかい」
「温かくて気持ちいいですね。美優先輩、眩しくはないですか? もしそうなら、レースだけじゃなくてカーテンの方も閉めますが」
「ううん、閉めなくていいよ。今くらいの方が由弦君のことをよく見ることができるし」
「分かりました。では、とりあえずはこのままにしましょう」
確かに、月明かりの差し込む今くらいの方が、美優先輩のことをしっかりと見ることができていいか。
「由弦君の姉妹と私達の妹達が同時に来るから、いったいどうなるのかなって思ったけど、4人が仲良くなったみたいで良かった。お姉様も心愛ちゃんも由弦君みたいに素敵な人で」
「雫姉さんの行動はたまに頭を抱えることがありますが、そう言ってくれて一安心です。朱莉ちゃんと葵ちゃんも素敵な女の子です。可愛らしくて。美優先輩の妹さん達だなぁって納得しました」
「……そう言われると何だか照れちゃうな。これから妹達もよろしくお願いします」
「こちらこそ、姉妹もよろしくお願いします」
こういう話をしていると、もう結婚するんじゃないかと思ってしまう。美優先輩が雫姉さんのことをお姉様と言っているのもその一因かもしれない。
「それにしても、こうしているとドキドキするね。付き合ってからは、こうして一緒に寝るのが当たり前になってきているのに」
「ですね。普段と違ってリビングで寝るからでしょうか。あとは、寝室に4人がいるからかもしれません。彼女達の存在もあって、今がより2人きりの時間なんだって実感できるんですよね」
「そうだね。……ねえ、由弦君。キスしていい?」
「……もちろん」
すると、美優先輩と俺は横になりながら体を向かい合わせにし、抱きしめ合いながらキスをしていく。今日はみんなと一緒にいる時間が多くて、キスがあまりできていなかったからか……いつも以上にいいなって思える。
「んっ……」
美優先輩の方から舌を絡ませてくる。普段とは違う状況だからなのか、先輩の唇や舌がいつも以上に熱い気がする。
キスすることに夢中になったせいか、いつしか俺が美優先輩を押し倒しているような体勢になってしまった。
「はあっ、はあっ……」
美優先輩の荒い吐息が俺の顔にまで届いて。その声が俺の体の奥まで響く。
月明かりしかないこの状況でも分かるくらいに、美優先輩の顔は赤くなっている。あと、抱きしめ合ったからか、先輩の寝間着のボタンが一つ外れてしまっていて。それがとてもセクシーで。そんな先輩は俺のことをうっとりとした様子で見つめている。
「由弦君……」
美優先輩はとても可愛らしい声で俺の名前を囁いてくる。そのことにキュンとなった。
雫姉さんが夕方にあんなものをプレゼントしたからか、どうしても変なことを考えてしまう。今は寝室に雫姉さん達がいるからここで踏み留まっているけれど、普段のように2人きりだったらどうしていたか分からない。
美優先輩はふふっ、と笑い、
「由弦君、いつになく顔が赤くなってる。アルバムやホームビデオでの由弦君と同じくらいに可愛いよ」
「……そう言われると恥ずかしいですね。女の子の服を着させられたのは俺にとっての黒歴史ですよ。それに、可愛さでいったら今の美優先輩には遠く及びません。それに、寝間着のボタンが一つ空いているからか、凄く大人っぽくて」
「えっ? きっと、抱きしめ合ったときに外れちゃったんだろうね。……せっかくだから、ここにキスしてみる?」
「……はい」
俺はボタンが外れたことではっきりと見える鎖骨にそっとキスをする。唇とは違った温もりがあって。ボディーソープの甘い匂いも感じられて。
ただ、そのことでドキドキし、この流れで首筋にもキスをする。
「んっ」
首筋にキスされるとは思わなかったのか、唇が触れた瞬間に美優先輩は可愛らしい声を出していた。
さっきよりも至近距離で美優先輩のことを見つめ合うと、先輩ははにかむ。
「まさか、鎖骨だけじゃなくて首筋までされるとは思わなかったよ」
「すみません。ドキドキして首までキスしていまいました」
「ううん、いいんだよ。むしろ、そういうことをしてくれて嬉しいから。ちなみに、キスした箇所によって意味があることを知ってる?」
「少しですが知ってます。唇だと愛情で、頬だと親愛な気持ちですよね。ただ、今キスした2カ所はよく分からないです」
「ふふっ、そっか。確か……鎖骨は欲求、首筋は執着の意味だったかな」
「欲求と執着って。そう考えると物凄いですね」
「そうだね。さっき、たくさん唇にキスしたから、それらの気持ちのベースは私への愛情だって言えるかも」
美優先輩は楽しそうな笑顔を浮かべながらそう言う。
まあ、美優先輩のことは大好きでいつまでも一緒にいたい。それに……欲求だってある。だから、合ってはいるかな。
すると、美優先輩は少し体を起こして、俺の鎖骨、首筋にキスをした。
「……私もこういう気持ちを抱いてるよ」
「美優先輩……」
「……2人きりだったらどうなったか分からない。ただ、今は朱莉や葵達が寝室にいるからね。キスよりも先のことをする勇気はないかな。もし、見られたり、覗かれたりしたら恥ずかしいし」
「……俺も同じようなことを考えていました。今のキスも見られていたら恥ずかしいですけど」
そう言って周りを見るけど、リビングの中に誰かがいたり、廊下に続く扉の向こうでこっそりと立っていたりする様子は見られなかった。窓の方もレースのカーテンが引いてあるので、俺達の様子を見られた可能性はほぼないだろう。
「美優先輩と俺のペースで……愛情を深めていきましょう。段階を踏んでいきましょう。もちろん、ずっと一緒にいましょう」
「うん、そうだね。それが2人にとっての令和での目標の一つだね」
「そうですね」
もちろん、令和だけではなく、その先の時代でも、美優先輩とはずっと一緒にいたいと思う。俺達なりのペースで歩んでいけるといいな。
「じゃあ、約束のキスを唇にしてくれるかな、由弦君」
「……はい。大好きです」
「私も大好きだよっ」
俺から美優先輩に約束のキスをした。きっと、令和という新しい時代では数え切れないほどキスを交わすのだろう。
しばらくの間キスした後、俺は美優先輩に腕を抱かれながら眠りにつくのであった。
リビングに戻ると、白鳥3姉妹はソファーに座りテレビを観ながら談笑している。
移動の疲れもあってか特に心愛と朱莉ちゃん、葵ちゃんは眠たそうだ。また、葵ちゃんはもうそろそろ寝る時刻らしいので、今日はもう寝ることにした。
さて、問題の寝る場所だが。
雫姉さん、心愛、朱莉ちゃん、葵ちゃんはお風呂できょうだいや姉妹の時間を過ごしたので、美優先輩と俺で一緒に眠ってほしいという。
ベッドの横に敷いたふとんに雫姉さんと心愛、美優先輩のベッドに朱莉ちゃんと葵ちゃんが一緒に横になることができたので、寝室で4人が寝ることに。そのため、先輩と俺はリビングにふとんを敷いて寝ることにした。
風花に6人ともうちで寝る旨をメッセージで伝えると、すぐに、
『分かった。誰か来るかなって楽しみにしていたけどね。おやすみ、また明日』
という返信が届いた。誰かと一緒に寝られるかもと期待するほど、4人と仲良くなれたようで良かった。
「姉さんのベッドをお借りしますね。姉さん、由弦さん、おやすみなさい」
「おやすみ! お姉ちゃん! 由弦さん!」
「この4人で同じ部屋に寝るなんて、合宿とか修学旅行みたいで楽しそう。美優さん、お兄ちゃん、おやすみなさい。また明日ね」
「おやすみ、ゆーくん、美優ちゃん。私達は邪魔するつもりはないから、2人きりの夜の時間をたっぷりと楽しんでね」
「お、お姉様! まあ、由弦君と2人きりで、同じふとんで眠れるのは嬉しいですけど。……あううっ」
美優先輩は赤くなった頬に両手を当てている。俺と目が合うと露骨に視線を逸らす。まったく、俺だけじゃなくて心愛達のいる前で変なことを言って。
「まあ、雫姉さん以外は変なことはしないって信じてるよ。雫姉さん、リビングを覗いたり、スマホやデジカメで盗撮したりしないでね」
「もう、ゆーくんったら。そんなことしないわよ。だって、寝室にはここちゃんに朱莉ちゃんに葵ちゃんっていう3人の可愛い女の子がいるんだもの」
雫姉さんは幸せそうな笑みを浮かべながらそう言う。さっき、俺の背中にいたずらをしたのであまり信用できないけど、可愛い女の子3人と一緒に寝るのは事実。
「心愛、朱莉ちゃん、葵ちゃん。雫姉さんから何か変なことや嫌なことをされたら、いつでもリビングに逃げてきていいからね」
「もう、ゆーくんったら。3人に変なことはしないって」
「い、一応覚えておきますね、由弦さん。では、葵、心愛ちゃん、雫さん。寝室に行きましょうか。では、おやすみなさい」
4人はリビングを後にして、寝室に入っていった。
アルバムやホームビデオを見たり、夕食を一緒に食べたりすることを通じて4人の仲が良くなっているように見えるし、姉さんが変なことをしない限りは大丈夫だろう。
「じゃあ、私達も寝ようか」
「そうですね」
廊下に繋がる扉を閉め、照明を消すと、窓から入ってくる月明かりのおかげで、リビングの中の様子が何とか分かる状況だ。
窓の近くに敷いたふとんには美優先輩が既に横になっており、俺のためにスペースを空けてくれている。俺の方を向いて、ふとんをポンポンと軽く叩く。これまで、ベッドで一緒に眠るときにもこういうことはあったけど、なぜか今日はその光景が艶やかに思えるのだ。
「由弦君、おいで」
「はい。失礼します」
俺も横になって、胸の辺りまで掛け布団をかける。
すると、すぐに美優先輩が俺の腕を抱きしめてきた。そのせいなのか、それとも美優先輩のベッドよりも狭いからなのか、はたまたお風呂から出てそこまで時間が経っていないからなのか。いつもよりも強くボディーソープの甘い匂いを感じる。もちろん、美優先輩自体の匂いも。
「あぁ、あったかい」
「温かくて気持ちいいですね。美優先輩、眩しくはないですか? もしそうなら、レースだけじゃなくてカーテンの方も閉めますが」
「ううん、閉めなくていいよ。今くらいの方が由弦君のことをよく見ることができるし」
「分かりました。では、とりあえずはこのままにしましょう」
確かに、月明かりの差し込む今くらいの方が、美優先輩のことをしっかりと見ることができていいか。
「由弦君の姉妹と私達の妹達が同時に来るから、いったいどうなるのかなって思ったけど、4人が仲良くなったみたいで良かった。お姉様も心愛ちゃんも由弦君みたいに素敵な人で」
「雫姉さんの行動はたまに頭を抱えることがありますが、そう言ってくれて一安心です。朱莉ちゃんと葵ちゃんも素敵な女の子です。可愛らしくて。美優先輩の妹さん達だなぁって納得しました」
「……そう言われると何だか照れちゃうな。これから妹達もよろしくお願いします」
「こちらこそ、姉妹もよろしくお願いします」
こういう話をしていると、もう結婚するんじゃないかと思ってしまう。美優先輩が雫姉さんのことをお姉様と言っているのもその一因かもしれない。
「それにしても、こうしているとドキドキするね。付き合ってからは、こうして一緒に寝るのが当たり前になってきているのに」
「ですね。普段と違ってリビングで寝るからでしょうか。あとは、寝室に4人がいるからかもしれません。彼女達の存在もあって、今がより2人きりの時間なんだって実感できるんですよね」
「そうだね。……ねえ、由弦君。キスしていい?」
「……もちろん」
すると、美優先輩と俺は横になりながら体を向かい合わせにし、抱きしめ合いながらキスをしていく。今日はみんなと一緒にいる時間が多くて、キスがあまりできていなかったからか……いつも以上にいいなって思える。
「んっ……」
美優先輩の方から舌を絡ませてくる。普段とは違う状況だからなのか、先輩の唇や舌がいつも以上に熱い気がする。
キスすることに夢中になったせいか、いつしか俺が美優先輩を押し倒しているような体勢になってしまった。
「はあっ、はあっ……」
美優先輩の荒い吐息が俺の顔にまで届いて。その声が俺の体の奥まで響く。
月明かりしかないこの状況でも分かるくらいに、美優先輩の顔は赤くなっている。あと、抱きしめ合ったからか、先輩の寝間着のボタンが一つ外れてしまっていて。それがとてもセクシーで。そんな先輩は俺のことをうっとりとした様子で見つめている。
「由弦君……」
美優先輩はとても可愛らしい声で俺の名前を囁いてくる。そのことにキュンとなった。
雫姉さんが夕方にあんなものをプレゼントしたからか、どうしても変なことを考えてしまう。今は寝室に雫姉さん達がいるからここで踏み留まっているけれど、普段のように2人きりだったらどうしていたか分からない。
美優先輩はふふっ、と笑い、
「由弦君、いつになく顔が赤くなってる。アルバムやホームビデオでの由弦君と同じくらいに可愛いよ」
「……そう言われると恥ずかしいですね。女の子の服を着させられたのは俺にとっての黒歴史ですよ。それに、可愛さでいったら今の美優先輩には遠く及びません。それに、寝間着のボタンが一つ空いているからか、凄く大人っぽくて」
「えっ? きっと、抱きしめ合ったときに外れちゃったんだろうね。……せっかくだから、ここにキスしてみる?」
「……はい」
俺はボタンが外れたことではっきりと見える鎖骨にそっとキスをする。唇とは違った温もりがあって。ボディーソープの甘い匂いも感じられて。
ただ、そのことでドキドキし、この流れで首筋にもキスをする。
「んっ」
首筋にキスされるとは思わなかったのか、唇が触れた瞬間に美優先輩は可愛らしい声を出していた。
さっきよりも至近距離で美優先輩のことを見つめ合うと、先輩ははにかむ。
「まさか、鎖骨だけじゃなくて首筋までされるとは思わなかったよ」
「すみません。ドキドキして首までキスしていまいました」
「ううん、いいんだよ。むしろ、そういうことをしてくれて嬉しいから。ちなみに、キスした箇所によって意味があることを知ってる?」
「少しですが知ってます。唇だと愛情で、頬だと親愛な気持ちですよね。ただ、今キスした2カ所はよく分からないです」
「ふふっ、そっか。確か……鎖骨は欲求、首筋は執着の意味だったかな」
「欲求と執着って。そう考えると物凄いですね」
「そうだね。さっき、たくさん唇にキスしたから、それらの気持ちのベースは私への愛情だって言えるかも」
美優先輩は楽しそうな笑顔を浮かべながらそう言う。
まあ、美優先輩のことは大好きでいつまでも一緒にいたい。それに……欲求だってある。だから、合ってはいるかな。
すると、美優先輩は少し体を起こして、俺の鎖骨、首筋にキスをした。
「……私もこういう気持ちを抱いてるよ」
「美優先輩……」
「……2人きりだったらどうなったか分からない。ただ、今は朱莉や葵達が寝室にいるからね。キスよりも先のことをする勇気はないかな。もし、見られたり、覗かれたりしたら恥ずかしいし」
「……俺も同じようなことを考えていました。今のキスも見られていたら恥ずかしいですけど」
そう言って周りを見るけど、リビングの中に誰かがいたり、廊下に続く扉の向こうでこっそりと立っていたりする様子は見られなかった。窓の方もレースのカーテンが引いてあるので、俺達の様子を見られた可能性はほぼないだろう。
「美優先輩と俺のペースで……愛情を深めていきましょう。段階を踏んでいきましょう。もちろん、ずっと一緒にいましょう」
「うん、そうだね。それが2人にとっての令和での目標の一つだね」
「そうですね」
もちろん、令和だけではなく、その先の時代でも、美優先輩とはずっと一緒にいたいと思う。俺達なりのペースで歩んでいけるといいな。
「じゃあ、約束のキスを唇にしてくれるかな、由弦君」
「……はい。大好きです」
「私も大好きだよっ」
俺から美優先輩に約束のキスをした。きっと、令和という新しい時代では数え切れないほどキスを交わすのだろう。
しばらくの間キスした後、俺は美優先輩に腕を抱かれながら眠りにつくのであった。
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