【完結R18】エリートビジネスマンの裏の顔

シラハセ カヤ

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03.

01.都合のいい男

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行くあてもなく、何となく、電車に乗った。

泣きながら強い酎ハイを飲んだせいで
朦朧として、ウトウトしていたが、
石橋くんの最寄駅で目が覚めた。

もうとっくに帰宅してる時間だろうけど、
家になんて行けない。
会えるわけないのに、ホームに降りて椅子に座った。

石橋くんに会いたい。

ホームは待合室がなくて、寒くて、
たまに停まる電車だけが明るかった。

小さくなって、電車に乗る前に買ったビールを飲む。

檜垣さんが仕事以外でお酒を飲まないので、
日課だった晩酌は檜垣さんちに住み始めてから
していない。

さっき頬の内側が切れたので、少しだけ、
血の味がした。

500ml飲み干して、また膝を抱える。

携帯以外何も持っていないので、
携帯の位置情報を切ってしまえば、
檜垣さんは私がどこにいるかわからないと思う。

今日は私がどこにいようと、
迎えには来ないと思うが。




「…お姉さん大丈夫ですか~
 こんなとこで寝たら風邪引きますよ~」

肩を揺さぶられて目が覚める。
関西弁のイントネーションの
聞き慣れた声に顔を上げる。

「…石橋くんー、待ってた」
「えっ緋莉さん?怪我しとるやん…」


軽く事情を話すと、すぐ私に肩を貸してくれた。
「僕が酔っ払いお節介関西人でよかったですね」
私の肩を支えて、エレベーターのボタンを押しながら
私の顔を横目で見る。

「もう帰ってるかと思った、飲み会だったの?今日」
「チーム飲み」
「そっか…運が良かったなあ私」
「緋莉さんっぽいお姉さん寝とるなーと思ったら
 ほんまに緋莉さんって何なん」

玄関に靴を適当に脱いで、
シャワーを借りて、お茶も飲ませてもらって。
情けな。

「僕ら火水休みやからええけど、
 緋莉さん明日仕事でしょ、行けるの」
「明日有休にしてたんだ、たまたま」

来客用の布団は相変わらず無く、
ベッドに入れてもらう。

「朝になったらちゃんと出てくから、
 心配しないで、ありがとね」

私が目を閉じると、石橋くんの腕が私を引き寄せる。
「…やっぱ何されても放っておかれへん
 緋莉さんのこと」
「人を見る目ないね…営業として致命的だと思うよ」
そうは言いつつも、ふわふわした気持ちで、
石橋くんに顔を寄せる。

「…痛そう」
私の首に、頬に指先で触れながら眉を下げる。
「うん…まあね」

「どのくらいあそこにいたの」
「んー、2時間くらい…かなあ」
「……僕に会いたくて待ってたんすか」
「…言わせるなよ~」

私はずるい人間だ。クズで、最低だ。
石橋くんを利用して、守ってもらって、
彼の得になるようなことは何もしてあげられないし、
傷つけるようなことしかしていない。

「石橋くん、ごめんね…」
私は安全な所にいるのを実感したまま、
眠りについた。


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